★長島議員離党で期待される民進党の早期解散ー(植草一秀氏)

野党第一党の民進党は森友事案にどう対応するのか。

安倍首相が国会で

「私や妻が関係していたということになれば、まさにこれは、もう私は総理大臣も、

そりゃもう、間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということは、

はっきりと申し上げておきたい」

と述べた。

安倍昭恵氏は森友学園の籠池泰典理事長から土地問題で相談を受け、

秘書の谷査恵子が動いた。

谷氏が財務省に問い合わせ、得た回答を籠池氏にFAXで送信した。

籠池氏の要望は半年間に、ほぼ全面的に満たされた。

安倍昭恵氏による「口利き」によって、

籠池氏の要望が「満額回答」を得た「外形」が読み取れる。

最大の問題は鑑定評価額が9徳5600万円とされた国有地が

1億3400万円で払い下げられてことだ。

国有財産の売却については、財政法で、

第9条 国の財産は、法律に基く場合を除く外、これを交換しその他支払手段として
使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない。

と定められている。

「適正な対価なくしてこれを譲渡してはならない」

のである。

財務省による8770平米国有地の1億3400万円での払い下げは、

財政法第9条に違反する行為である疑いは濃厚である。


安倍首相の国会答弁を踏まえれば、安倍首相は首相と国会議員を辞任するべきである。

現状では安倍昭恵氏の森友土地問題への関与は極めて濃厚である。

しかも、その土地取引が財政法に違反する、国および国民に対する「背任」である

疑いが濃厚なのである。

安倍首相がこの疑惑を払拭したいなら、

安倍昭恵氏の国会証人喚問を認める以外に有効な方法はないだろう。

真相解明を求める野党は、安倍昭恵氏の証人喚問を強く求めるべきである。

与党がこれに応じなければ、すべての国会審議を拒絶する行動を取るべきである。

国会審議に応じても国会審議に応じなくても、

与党は「数の力」ですべての審議を強行する横暴を働いているのである。

その国会審議を意義あるものにするためにも、

「全面的な審議拒否」

は有効な、野党の対抗手段である。

審議に応じて、与党が真摯な姿勢を示すなら、

円滑な審議で実のある議論をすればよい。

ところが、与党が「数の力」を盾にして、

横暴な国会運営を続けている現状を踏まえるなら、

野党は国民に対する訴えとして、正当な要求を通すために、

審議の全面拒否程度の強い姿勢を示すべきである。


安倍昭恵氏に5人もの公務員が「秘書」としてついていること自体がおかしい。

安倍昭恵氏が私的な活動としてハワイに訪問したり、

スキーツアーに出かけて行った際にも、公務員の秘書が随行している。

その「秘書」のハワイ訪問の旅費までが血税で賄われている。

また、安倍昭恵氏が選挙の応援活動をした際にも、公務員の秘書が随行している。

安倍昭恵氏の選挙活動を支援していたなら国家公務員法違反になる事案である。

安倍昭恵氏は森友学園の籠池理事長に100万円の寄付を手渡ししたことについて、

「そのような事実はない」

と否定していない。

「記憶がない」

と言っているだけである。

その後に、「記憶がない」ことから「寄付をしていない」ということに

しているだけである。

安倍政権は籠池氏が証人喚問で証言した「100万円の寄付を受けた」ことが

「虚偽」であるなら、議院証言法に基づき、「偽証」の告発を行う必要がある。

「偽証」の告発を行わないなら、100万円寄付を事実であると認めることになる。

いま問われているのは、野党民進党の覚悟と行動である。

この問題を中途半端にして、問題をうやむやにするなら、

その責任を問われるのは野党民進党である。

そうなれば、この党に未来はない。

消滅するのみということになる。


民進党の長島昭久衆議院議員が民進党を離党することを表明した。

自民党東京都連会長の下村博文議員は、

早速、長島氏の自民党入党を歓迎する意向を表明した。

長島氏の民進党離脱は極めて順当だ。

遅すぎたとの印象も強い。

民進党は水と油の混合物である。

「清冽な地下水」と「汚れた油」は融合しない。

いつまでたっても単なる混合物でしかない。

民進党には

自民党の政策主張と同一の政策主張を示す勢力が存在する一方、

自民党の政策主張に全面的に対峙する政策主張を示す勢力が存在する。

政党として機能しない矛盾を抱えているのである。


2009年に政権交代を実現した民主党は、

日本政治を刷新する明確な政策方針を明示していた。

対米従属からの脱却

官僚天下りの根絶

企業団体献金の全面禁止

そして、

天下り根絶なき消費税増税の封印

という明確な政策公約を明示した。

この民主党が主権者国民の全面的な指示を得たことは順当なことであったし、

その結果として民主党は主権者の選択によって政権を樹立したのである。


この民主党路線を牽引したのが小沢一郎氏と鳩山由紀夫氏だった。

2009年9月に樹立された鳩山政権は、

日本政治刷新の明確な方針を示して船出したのである。

この政権は日本の既得権勢力にとって史上最大の脅威であった。

既得権勢力はメディア、検察権力等を総動員して、

脅威の新政権破壊に向けて全精力を注いだ。

鳩山新政権は政権発足と同時に、

メディアと検察・官僚組織に対する支配権を確立するべきだったが、

これが遅れ、新政権の下で、メディアと検察・官僚組織が

新政権破壊に向けて総力を注いだのである。


鳩山政権はわずか8ヵ月半の短期日に崩壊し、菅直人政権が樹立された。

民主党内に潜む「隠れ自公勢力」が「党内クーデター」により、

権力を強奪してしまったのである。

米国による日本支配

官僚による日本支配

大資本による日本支配

を堅持しようとする勢力が、日本政治刷新を目指す勢力を破壊し、権力を強奪した。

この時点で、民主党の中心勢力が

革新勢力

から

守旧勢力

に入れ替わった。


菅直人政権と野田佳彦政権は

「シロアリ退治なき消費税大増税」

の方向に突き進んだ。

鳩山政権が公約に掲げた

官僚の天下り利権根絶

の方針を反故にして、

天下りを完全に温存したまま、消費税大増税に突き進んだのだ。


このために、民主党は主権者国民の支持を完全に失った。

さらに、2011年3月に東電福島第一原発が

人類史上最悪レベルの放射能事故を引き起こした。

この原発事故で日本の国土が消滅する危機に直面した。

この事故を踏まえて、政府は「原発廃止」を決定するべきであったが、

「連合」

に支配される民主党は、原発存続の選択をした。

これも、民主党が主権者国民の支持を完全に失う背景になった。


「シロアリ退治なき消費税増税」

を容認しない、主権者との契約を遵守する勢力は、

2012年夏に民主党を離党して新党を結成した。

本来は、消費税増税を推進する勢力が離党して

「シロアリ増税新党」を結成するべき局面であったが、この本末転倒の離党が生じた。

シロアリ増税を許さない「小沢新党」が、

新たに主権者の意思を吸収する二大政党の一角を担うべきであったが、

メディアが小沢新党潰しに全精力を注ぎ、小沢新党が総攻撃を受けた。


2010年6月の党内クーデターで民主党の中枢は、

「主権者国民側の勢力」から「隠れ自公勢力」に乗っ取られた。

この状態が現在の民進党にまで続いている。

このなかで、「隠れ自公勢力」の一人である長島昭久氏が民進党を離党したことは、

民進党の分離・分裂にとって、望ましい第一歩である。

「隠れ自公勢力」は、この機会に民進党を一斉離党するべきだ。

原発

戦争

TPP

沖縄辺野古基地

消費税

の主要政策課題に対する基本スタンスが、現在の民進党には二つある。

そのうちの一つの基本スタンスは自公の政策主張と同一であり、

その基本スタンスを掲げる勢力は民進党を離党して、自公と合流するべきである。


原発阻止

戦争法廃止

TPP不参加

辺野古基地阻止

消費税増税阻止

の方針を明示する勢力だけの

ピュアな政党

「清冽な地下水」政党

に純化するなら、直ちに

自由党、社民党と合流できる。

共産党とも全面的な共闘体制を構築することができるようになる。


これが望ましい姿である。

オールジャパン平和と共生は

政策を軸に一選挙区一候補者体制の構築を目指す。

民進党の分離と、真の主権者政治勢力の構築は、

まさにオールジャパン平和と共生が目指す方向そのものだ。

民進党の一刻も早い分離・分裂が強く望まれる。

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