★安倍昭恵氏喚問拒絶は関与の裏付けになるー(植草一秀氏)

「私や妻が関係していたということになれば、まさにこれは、もう私は総理大臣も、

そりゃもう、間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということは、

はっきりと申し上げておきたい」

と国会で発言したのは安倍晋三氏。

しかし、妻の安倍昭恵氏が森友学園が新設予定だった瑞穂の國記念小學院の

学校用地問題に関与した疑いが濃厚になった。

その疑いを明らかにする責任は安倍首相にある。

安倍昭恵氏は森友学園で3回も講演している。

そして、森友学園が運営する幼稚園の教育にも

安倍昭恵氏は感動していたことが伝えられている。

「安倍首相夫人・アッキーも感涙…園児に教育勅語教える“愛国”幼稚園
「卒園後、子供たちが潰される」と小学校も運営へ

http://www.sankei.com/west/news/150108/wst1501080001-n1.html

森友学園が小学校設置認可申請をし、異例の認可適当の答申を得る直前には、

産経新聞が小学校設置を後押しするかのような記事を掲載した。

このなかに次の記述がある。

「「教育勅語」や「五箇条の御誓文」の朗唱、伊勢神宮への参拝・宿泊…。

大阪市淀川区に超ユニークな教育を園児に施している幼稚園がある。

塚本幼稚園幼児教育学園。安倍晋三首相夫人が同園を訪れたとき、

園児らのかわいらしくもりりしい姿を見て、感涙にむせんだという。」

「教育勅語(正式には「教育ニ関スル勅語」)は、

明治23(1890)年に発布され、

第2次世界大戦前の日本政府の教育方針の根幹となった文書。

なぜいま、教育勅語なのか。

「子供に学んでほしいことは何か、とつきつめたとき、

その答えが明治天皇が国民に語りかけられた教育勅語にあったからです」と

籠池泰典園長(61)の答えは明快だ。

あどけない幼児が大きく口をあけ、難しい言葉を朗唱する姿を初めて見た人は

一様に驚き、感動する。安倍首相の昭恵夫人もそのひとりだ。」


森友事案の核心は国有地の不正売却疑惑である。

9億5600万円の鑑定評価額の国有地が1億3400万円の激安価格で

払い下げられた。

値引きの根拠は地下埋設物だとされているが、

当該土地の航空写真変遷を確認する限り、

地下埋設物が存在する箇所は土地全体のほんの一部に過ぎないと推察される。

8億円もの値引きに正当な根拠がない。

財務省は8億円値引きの「計算式」を提示しただけで、

その「計算式」の正当性を示していない。

「反戦な家づくり」さま

http://sensouhantai.blog25.fc2.com/blog-entry-1595.html

が提供されている国土地理院の航空写真を見ても、

地下埋設物が存在する可能性のある箇所は極めて限定的である。

財務省は森友学園に不当に低い価格で国有地を払い下げた疑いが濃厚である。

財務省が不当に低い価格で国有地を払い下げたことが事実なら、

これは財政法9条に違反する違法行為である。

国および国民に損害を与える「背任」の罪が問われることになる。

すでに市民から刑事告発もなされている。


安倍昭恵氏は2015年9月5日に森友学園の塚本幼稚園で講演し、

同日、新設小学校の名誉校長に就任している。

この名誉校長に籠池泰典理事長が電話で依頼し、

安倍昭恵氏が秘書の公務員に指示して行政当局への働きかけを行った。

安倍昭恵氏の秘書である公務員が籠池氏に回答した段階では、

森友学園の要望は十分に実現していないが、秘書の回答には、

「大変恐縮ながら、国側の事情もあり、現状ではご希望に沿うことはできないようで

ございますが、引き続き、当方としても見守ってまいりたいと思いますので、

何かございましたらご教示ください。

なお、本件は昭恵夫人にもすでに報告させていただいております。」

と記述された。

回答があったのは2015年11月中旬である。

「当方として見守ってまいりたい」

との記述があるが、この後に劇的な変化が生じる。

2016年3月に地下埋設物が発見されたと近畿財務局に連絡があり、

森友学園が定期借地から土地購入への切り替えを通告。

国は8億円値引きの1億3400万円で国有地を払い下げ。

しかも、10年分割払いという異例の対応を示した。

まさに、安倍昭恵氏が関与して、国有地の不正払下げが行われたとの見立てが

成り立つ状況が浮かび上がっているのだ。

安倍首相が疑惑を払拭するには、

安倍昭恵氏がウソをつけない状況下で証言することが必要不可欠である。

安倍昭恵氏に真実を語ってもらうことがまずは重要である。

これを安倍首相側が拒む理由はない。

野党は安倍昭恵氏の証人喚問が実現するまで、

すべての国会審議に応じないという毅然とした姿勢を示すべきである。

与党が辻元清美氏の証人喚問を求めるなら「渡りに船」だ。

これと引き換えに安倍昭恵氏の証人喚問を求めるべきだ。


安倍首相は正々堂々とした対応を示すべきだ。

安倍首相を侮辱したのは許せないとして籠池泰典氏の証人喚問を決めた。

しかし、籠池氏の国会証言で安倍昭恵氏の関与がより鮮明に浮上した。

安倍首相にやましいことがないなら、安倍昭恵氏の証人喚問を受け入れるべきである。

国政は誰のために存在するのかを考えるべきだ。

国民の大多数が国有地の激安払い下げに納得していない。

納得できるような説明がなされていないからだ。

不正払下げの疑惑が濃厚なのである。


そして、この国有地激安払い下げの背景に安倍昭恵氏の関与があるとの疑いが

強まっている。

国民の多くが安倍昭恵氏の説明が必要であると主張している。

安倍昭恵氏の森友学園訪問には2名の公務員が随行している。

安倍昭恵氏の行動に税金が投入されているのである。

そのことに関する疑惑が生じているのであり、

安倍昭恵氏本人の説明が必要不可欠なのである。

安倍首相が安倍昭恵氏の証人喚問を拒絶するのは、

「逃げ」

でしかないと、多くの主権者が判断している。

なぜ、正々堂々と、問題に向き合わないのか。


財政法が

第九条 国の財産は、適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けては
    ならない。

と明記している。

豊中市の国有地8770平米は、

適正な対価なく譲渡された

疑いが濃厚なのである。

詭弁を弄して、説明責任から逃げ回る姿勢は極めて見苦しい。


また、財務省が関係文書を廃棄したことは証拠隠滅であり、

公文書管理規則に違反する違法行為である疑いが濃厚である。

野党の国会での追及が甘いと言わざるを得ない。

財務省理財局の嶋田賢和課長補佐が、

籠池氏に10日間姿を隠すようにと伝達したとの疑いも明らかにされていない。

財務省と交渉して、激安払い下げの折衝をしたのは、

森友学園顧問弁護士だった酒井康生弁護士であると伝えられている。

また、首相夫人付の秘書として行動した谷査恵子氏がどのような立場で、

どのように行動したのかも、本人の説明がなければ真実は明らかにならない。

地下埋設物の実態について、事実を把握しているのは施工業者である

藤原工業株式会社である。


安倍昭恵氏、酒井康生氏、谷査恵子氏、嶋田賢和氏、

藤原工業株式会社代表者、

迫田英典前財務省理財局長、武内良樹前近畿財務局長

の証人喚問が必要不可欠だ。

問題は、首相辞任につながる重大事案である。

疑惑を晴らすことが一番必要なのは、安倍晋三氏自身である。

疑惑を晴らすためには、偽証が許されない証人喚問で対応するのが、

もっとも分かりやすい。

安倍首相にやましい部分がないなら、

もっとも厳しい基準で証言が行われる証人喚問を安倍首相が率先して

選択するべきだろう。

これによって当事者がすべての真実を証言すれば、

疑惑はすべて解消することになるだろう。

証人喚問を率先するべき安倍首相が「逃げ」の一手に駆け込むから、

疑惑が鎮静化するどころか、ますます燃え広がっているのである。

安倍首相は正々堂々とした対応を示すべきだ。

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