★日増しに追い込まれるトランプ政権ー(天木直人氏)

安倍首相に気兼ねしているのかどうかはわからないが、

日本のメディアはトランプ政権の行き詰まりについて断片的にしか書かない。

 しかし、トランプ政権は実は相当深刻な状況にある。

 なにしろ、トランプ政権の政策の一丁目一番地だった移民制限大統領令が

間違いなく最高裁で違憲にされるからだ。

 移民を制限する大統領令が、その目的であるテロの防止と直接関係ないばかりか、

テロ防止に役立たないのだから、そんな大統領令が司法で合憲とされるはずがない。

 そして、もうひとつの深刻な問題は、

なんといっても大統領選前後のロシアとのつながりだ。

 ロシアンゲート事件に発展する可能性が高まって来た。

 当然ながら、トランプ外交の鳴り物入りだった米国とロシアの関係改善は

停滞せざるを得ない。

 そして米中関係だ。

 これもまた腰砕けに終わる。

 そのことが4月の習近平の訪米と首脳会談ではっきりするだろう。

 そうなれば、北朝鮮に対する軍事行動など出来るはずがないし、

そんな事をすればトランプ政権はその瞬間にお終いだ。

 そして、内政ではついにトランプ大統領はオバマケア代替案を

撤回せざるをえなくなった。

 これは内政上の最大の失策だ。

 要するに大統領になって2か月以上たっても、

内政・外交、何ひとつまともな政策が打ち出せていないのだ。

 新政権いまだ始動せずだ。

 新政権とともに入れ替わるはずの国務省の4000人ほどの官僚の主要顔ぶれが、

まだ決まっていないという。

 新政権の初閣議が政権誕生して一か月以上たって、

やっとこの前はじめて開かれたという。

 こんな米国政権ははじめてであり、異例だ。

 そして、そんなトランプ政権が軌道に乗る見通しはまるで見えない。

 安倍首相は森友疑惑という次元の低い問題で行き詰まっているが、

トランプ政権は、政策そのもので行き詰まっている。

 トランプ政権の先行きは深刻である。

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