★政治アナリスト伊藤惇夫氏森友事案解説の誤りー(植草一秀氏)

森友学園の籠池泰典理事長が

「この学園の建設には、安倍晋三内閣総理大臣からの、寄付をもらっています」

と述べて、国会ですべてを話す決断をしたと表明した。

この意思表示を受けて自民党も籠池氏の国会招致を受け入れる考えを表明した。

しかも、参考人招致ではなく、証人喚問を行うことになった。

証人喚問は3月23日に実施される。

安倍首相は国会答弁で

「全く寄付金集めには関わっていないことをはっきりと申し上げたい」

と答弁している。

籠池理事長は安倍昭恵氏から、安倍晋三からの寄附として100万円を受け取ったと

話している。

寄附があったのは2015年9月5日。

安倍昭恵氏が塚本幼稚園で講演を行った日である。

領収書は発行していないという。

領収書は発行してないが、記録に残すために、

籠池氏側が森友学園の口座に100万円を振り込んだ振込用紙の控えを保有している

とのことである。

安倍晋三名義での振り込みを検討したが、スタッフからの助言で森友学園の名義での

振込みになったと説明している。


安倍晋三氏側は、寄附を行った証拠がないと読んで、

寄付行為自体を否定する戦術を採用した模様である。

森友学園側が安倍氏に代わって自ら口座に振り込んだ振込用紙での振込記録が

存在するようだが、これで安倍晋三氏からの寄附と認定されるのかどうかは

微妙である。

本ブログ、メルマガでは、2月26日に

「徹底検証不可欠アベ友事案2015年9月3-5日動静」

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/201593-5-f5a8.html

「「アベ友国有地疑惑」核心に迫る五つの謎」

http://foomii.com/00050

と題する記事を掲載した。

2015年9月3-5日にかけて、森友学園に関する重要な動きが観察されることを

指摘した。

9月3日(木)

【午後】2時17分から27分、財務省の岡本薫明官房長、迫田英典理財局長。

9月4日(金)

【午前】10時21分、官邸発。47分、羽田空港着。11時15分、
全日空21便で同空港発。58分、伊丹空港着。

【午後】0時13分、同空港発。39分、大阪市中央区の読売テレビ着。
1時30分から2時29分、番組収録。3時3分から45分、情報番組に出演。
48分、同所発。4時7分、同市北区の海鮮料理店「かき鉄」着。
故冬柴鉄三元国土交通相の次男、大さん、秘書官らと食事。5時5分、同所発。
34分、伊丹空港着。6時8分、全日空36便で同空港発。57分、羽田空港着。
7時18分、同空港発。43分、自民党本部着。
44分から8時7分、谷垣禎一同党幹事長。8分、同党本部発。
31分、東京・富ケ谷の私邸着。

そして、9月5日に安倍昭恵氏が塚本幼稚園で講演し、

瑞穂の國記念小學院の名誉校長に就任している。


国有地払い下げの最終責任者は財務省理財局長である。

当時の理財局長が迫田英典氏である。

迫田氏は安倍晋三氏の選挙区出身者である。

迫田氏の指示の下で、財務省が森友学園による国有地激安取得や学校設置認可取得に

奔走した疑いがある。

2015年9月3-5日の安倍首相および安倍昭恵氏の行動が謎を解くカギになると

思われる。

安倍首相は

「森友学園の寄附金集めにも関わっていないことをはっきりと申し上げたい」

と国会答弁しているため、仮に安倍昭恵氏が安倍晋三氏からとの説明を付けて

寄附を行っていたなら、安倍首相の国会での答弁は虚偽ということになる。

寄附行為そのものは法令違反には該当しないが、

国会における答弁が虚偽であったことになる。

真相を明らかにするには、安倍昭恵氏への確認が必要になる。

菅官房長官が、安倍昭恵氏からの寄附もないと答弁しているが、

伝聞情報に過ぎず、安倍昭恵氏の参考人招致が必要になる可能性が高い。

この点については、籠池氏側が保管しているメールの通信記録がカギを握る

ことになるだろう。

安倍首相側は、寄附金提供の証拠はないとの読みで、寄付行為自体を否定したが、

否定後に寄附があったとの証拠が開示されれば、事実を隠蔽しようとした責任が

厳しく問われることになる。


テレビの情報番組では、安倍晋三氏を擁護するために田崎史郎氏が起用され、

真相究明を求める側のコメンテーターとして政治アナリストの伊藤惇夫氏が

起用されているが、発言内容があまりにも杜撰すぎる。

伊藤氏は2015年9月3日に安倍首相が迫田英典理財局長と会談したことについて、

豊中市議が国有地売却価格の開示を求めていた時期に該当し、

これが背景で理財局がこの問題に強い関心を払ったとの主張を繰り返した。

しかし、これは完全な事実誤認である。

国有地が払い下げられたのは2016年6月である。

森友学園が当該国有地について、定期借地から購入に切り替える意向を近畿財務局に

通告したのが2016年3月24日であり、

その後、2016年6月20日に激安払い下げが実行された。

豊中市議会議員の木村真氏が国有地売却の価格開示を求めたのは

2016年秋のことで、2015年9月ではない。


政治アナリストの伊藤惇夫氏は、2015年9月時点で、

財務省が豊中国有地問題に強い関心を払った理由は、

豊中市議による売却価格開示請求の問題が背景にあったことを繰り返し強調したが、

2015年9月時点では、国有地は払い下げられていないのである。

このような杜撰な指摘を展開したのでは、真相解明など実現しようもない。


財務省の佐川宣寿理財局長は、前任の迫田英典理財局長に対する追及が

尖鋭化しないように防御する姿勢が鮮明であるが、

このことが安倍政権に対する「忠誠」を示す行動だと理解しているのだと思われる。

また、これは推測になるが、森友学園の小学校設置、国有地取得に全面的に協力した

中心人物は、迫田英典理財局長(当時)であると思われるが、

迫田氏はこの事案で安倍首相の意向に沿う対応を実現することで、

安倍首相からの評価を高めようとしたのではないか。

この意味で、9月3日の迫田理財局長と安倍首相の面談においては、

森友学園問題が報告された可能性が高いと思われる。

9月4日に安倍首相が来阪した際、

安倍首相の秘書官が森友学園に訪問していないかどうかも再点検する必要がある。

9月4日夕刻には、大阪にあるかき料理店である「かき鐡」で会食が行われているが、

この飲食店は元国交相の冬柴鐡三氏の次男である冬柴大氏が経営している。


冬柴大氏はりそな銀行高槻支店次長を務めたのち、

冬柴パートナーズ株式会社を設立している。

冬柴パートナーズ株式会社は業務内容にコンサルティング、助成金申請援助を

含んでいる。

http://www.fuyushiba.com/naiyou.htm

また、森友学園はりそな銀行と業務提携を行っている。

https://goo.gl/QFgZRP

9月4日には、国土交通省「平成27年度サステナブル建築物等先導事業
(木造先導型)の採択プロジェクトの決定について」で、

森友学園の瑞穂の國記念小學院(=安倍晋三記念小学校)」の校舎及び体育館が

選出され、6200万円の補助金交付が決定されている。

冬柴大氏がこの補助金申請に関与していなかったのかどうかについても

事実を確認する必要があるだろう。


籠池氏の代理人弁護士である酒井康生氏が、

3月15日、代理人を辞任したことを公表した。

事態の急展開を牽引している作家の菅野完菅野完(すがのたもつ)氏は、

3月15日に東京で籠池泰典氏と面会したのちに記者団に対して会見を行ったが、

その際に、

「理事長および理事長夫人は、顧問弁護士の方から佐川理財局長から電話があって

『10日間でいいから身を隠してくれ』と言われたと」

と述べた。

このことについて財務省は、「佐川局長が森友学園側に直接連絡を取ったことはない。

身を隠すよう言うことはありえない」と否定。

また、代理人弁護士の酒井康生氏は、15日夜、マスコミにFAXを送信。

「事実誤認」であり、

「佐川理財局長とは面識もないし、話したこともない。

また、他の財務省の人からも(「身を隠すよう」)言われたこともない」

とのコメントを発表した。

この文書のなかで酒井康生氏は、

3月15日正午に籠池理事長夫妻に学校法人森友学園の代理人一切を辞任する意向を

伝え、同日午後4時30分に了承を得たと記している。

このことについて、菅野完氏は、ツイッターで次のように述べている。

「実を言うと、あの辞任の電話が籠池にかかって来てた時、俺、その会話、

全部聞いてるのよね。

あの弁護士、完全に嘘ついとる。」


森友学園の代理人弁護士を務めていた酒井康生氏は、

維新の会の足立康史(あだちやすし)議員と親交があることが判明している。

足立康史議員は2016年1月10日にツイッターで次のように発信している。

「大阪市内でのご挨拶を終え、箕面市は箕面商工会議所の新年賀会に駆け付け、

お祝いを申し上げました。

第51代の酒井康生理事長は京大出の辣腕弁護士でもあります。

忙しい中での地域貢献に心から敬意と感謝を申し上げます。...」

そして、足立議員は否定しているが、

籠池氏の長男は足立議員の私設秘書を務めていた経歴があるとも伝えられている。


この事案の最大の論点は、

財務省と大阪府、そして国交省が、異例の対応を示して、

森友学園の小学校設置に全面協力したと見られる点にある。

財務基盤がない森友学園が小学校を新設することには無理があるが、

その無理を実現するために、財務省が主導し、大阪府、国交省が協力して、

無理を乗り越えてきたと見えることが問題の核心である。

このような「無理」を押し通すには、「大きな力」が必要であり、

その「大きな力」の中心、または一端に安倍首相が関わっている疑いが

存在することが問題の核心である。

事案の全貌を明らかにするためには、

最低でも、安倍昭恵氏と迫田英典前理財局長からの事情聴取が必要である。

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