★ついに「WTOに従わない」と言い出した米国の衝撃ー(天木直人氏)

米通商代表部が3月1日、米国議会に年次通商報告書を出した。

 その中で、貿易紛争の解決にはWTOの判断に縛られず国内法を優先すると明記した。

 そう、きょうの各紙が一斉に報じている。

 こんな事を米国以外の国が言い出せば、それではWTOから脱退しろ、ということになる。

 しかし誰もそう言わない。

 むしろ米国がそう言えば、WTOは崩壊するということになる。

 その通りだ。

 米国はみずからつくった戦後の世界自由貿易体制を否定しようとしているのである。

 この衝撃は、はかりしれない。

 しかし、WTOを否定したのはトランプ大統領がはじめてではない。

 中国にルールをつくらせないと言ってTPPを唱えたオバマ大統領がそうだ。

 もっとさかのぼれば、米・カナダ・メキシコ間の北米自由貿易協定をつくった米国がそうだ。

 トランプ大統領が、その動きに止めを刺し、WTOを明確に否定したということだ。

 世界自由貿易体制は日米安保体制とともに、戦後の日本外交を支えて来た。

 いずれも米国主導の体制だ。

 その米国が、WTOを否定し、そして日米安保体制を米国第一主義の軍事体制に舵を切ろうとしている。

 戦後の国際秩序が大きく揺らぐ今こそ、日本は日本の自主、自立した政策を追求する時だ。

 しかし、安倍政権はトランプの米国に無条件で追従しようとしている。

 これ以上ない危険な状況に日本は突き進もうとしている。

 それに異を唱える政党がいまの日本には皆無だ。

 事態は深刻である。

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