★聞かなくてもわかるトランプの議会演説があぶりだす日本の無策-(天木直人氏)

あす3月1日(米国時間2月28日夜)、トランプ大統領が大統領に就任して初めての議会演説を行う。

 その前に書いておきたい。

 これはトランプ大統領の施政方針演説にあたるものである。

 だから、本来なら世界が注目し、そこで明らかにされる米国の基本政策が、

自国との二国間関係にどのような影響を及ぼすか、世界情勢にどう影響を及ぼすか、

最大の関心が払われるはずだ。

 そして、その演説について識者の評価がメディアを賑わせるはずだ。

 しかし、今度の演説はそうならない。

 なぜなら、基本政策など語られる事はないからだ。

 トランプ大統領の一か月でわかった事は、掛け声だけで、

いまだ何一つとして確固とした政策が存在しないということだ。

 その最大の理由は、トランプ大統領の頭の中には政策がないからだ。

 政策をつくるべき主要閣僚が定まらず、それどころか矛盾しているからだ。

 なによりも、閣僚を支える幹部官僚たちの顔ぶれがさっぱり見えないからだ。

 要するにいまだ政権が動いていないのである。

 間違いなくトランプ大統領の演説は、選挙演説と同じものになり、

ツイッターでしゃべり続けた掛け声のつなぎ合わせに終わる。

 そのようなトランプ大統領の米国から一番被害を受けるのは日本である。

 なぜか。

 具体的な政策が不在のままのこれまでは、米国からの対日攻勢はない。

 あるのは日本重視のリップサービスだけだ。

 そのクライマックスが安倍・トランプゴルフ首脳会談だ。

 100%成功だと喜んでいられる。

 しかし、いくらトランプ大統領に政策がないと言っても、具体的な政策を取らなければいけない時が来る。

 具体的政策となれば、トランプ大統領は日本だけ甘い顔をするわけにはいかない。

 不合理、かつ強烈な対日要求を突きつけてくる。

 その時、安倍・トランプ蜜月をあそこまで演出した安倍首相は、トランプ大統領と敵対することは出来ない。

 要求をすべて飲まされる事になる。

 蜜月にはしゃいでいただけにその落差は大きい。

 しかし、トランプ大統領の出方を慎重に見極めて来た各国は違う。

 欧州主要国にしても中国、ロシアにしても、自らの利益を最優して身構え、対応策を考えて来たからだ。

 そういう国に対しては、トランプ大統領は譲歩せざるを得ない。

 トランプが譲歩をし始めると、結局は日本は梯子を外される事になる。

 無策なトランプ大統領をほめそやし、

個人的信頼関係を誇示するしかないもっと無策な安倍首相の日本だけが、

一番損な役回りをさせられるのである。

 それを教えてくれるのが、あす行われるトランプ大統領の議会演説なのである。

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