★産廃マニフェストで明らかになる8億値引きの違法性-(植草一秀氏)

アベ友事案はアベ友事件に発展するのが順当だ。

問題の根幹は、

不動産鑑定評価書が9億5600万円の国有地が1億3400万円で払い下げられたこと。

国は埋設物撤去費用を8億1974万円と算出して、これを鑑定評価額から差し引いて払い下げた。

しかし、地下3メートルまでの埋設物除去については、1億3176万円が国から森本学園に支払われている。

そして、摩訶不思議であるのが時系列である。

2016年3月11日 地下埋設物が発見されたと森友学園が近畿財務局に通告。

2016年3月14日 廃材発見の旨を財務局が航空局へ連絡。現地確認が実施された(確認はされていない)。

2016年3月24日 埋設物対策・早期開校の為、森友学園が近畿財務局へ土地を買い取りたい旨を申し出る。

2016年4月6日 森友学園が負担したとされる地下3メートルまでの埋設物除去費用1億3176万円
(埋設物対策分が約8632万円、土壌汚染対策分が約4543万円)を大阪航空局が森友学園に支払う。

2016年4月14日 校地面積の約6割を対象とした、埋設物撤去費用8億円
(1万9500トン/ダンプカー4000台分と推計)の見積りを航空局が近畿財務局へ連絡。

2016年5月31日 不動産鑑定評価書を提出(鑑定評価額9億5600万円)。

2016年6月20日 当該国有地が1億3400万円で森友学園に払い下げられ、所有権が移転。


この経過について、森友学園の籠池泰典氏が

2月20日のTBSラジオ番組「荻上チキ・Session-22」に電話出演して次のように述べている。

http://www.tbsradio.jp/120844

荻上:そうした中で工事を進めていく中で、埋蔵物が見つかってそのことを報告して、

その後に購入を申し出たという事ですけれども、

あまりこういった契約に詳しくないといっている籠池さんが、

この期間でゴミが出てきたから安くなるだろうということで、

金額はまだわからない段階だろうと思うんですけど、買いますといえたのはどうしてなんでしょう?

籠池:賃借料が例えば1千円だとするでしょ。

荻上:今回は月額227万円の支払いという事になっていましたね。

籠池:なってるでしょ。その通りですけども、そうなっていると例えば一般の民家でもですね、

土地が非常にきれいな土地でありましたということでありましたらその金額でしたと。

ところが掘っていく事によってボーリングをして、

そのところに、杭打ちをしてその上に建物を建てないといけないといったときに、

下から悪いものが出てきましたと。

そのときに人体に影響のない、そして軽度のものだけれども、

何かヘンなものが出てきましたといったらやっぱり地主としては、

本来、民民の場合だったら地主さんがきれいな土地にして、それを借主に貸しますよね。

でも、お国の場合はそうじゃなかったわけですから、

やっぱりちょっと国のほうも知らなかったんだろうけれども、悪い土地というか悪いものが出てきたなと。

それだったらちょっと安くしてくれるんじゃないかなという思いは当然なりませんか?

荻上:ということは金額がどれくらい安くなるかという確信なしに、

買えるようになるだろうということで購入に変更したという事ですか?

籠池:買える金額になるだろうではなくて、例えば深いところからも出てきましたしね。

浅いところからも出てきたと。それは、これはちょっとなんというのかな。

工事の期間もかかるけどたくさん入っているかもわからないなというような気持ちが、

気持ちというか第六感が働きまして、これはちょっと賃借料にしたらかなり安くなると。

そうすると賃借料が安くなるということは購入させてもらえる金額に近づいてくるというのではないかということで、

これも自分の第六感ですが、それだったらいくらになるかわからないけど

国のほうが指し示してくれる金額で購入させていただきましょうかという風な感じを持ちました。


不動産鑑定評価額が9億5600万円の国有地が1億3400万円で払い下げられた。

この件について、籠池氏は何も知らないと述べた。

荻上:その結果8億円値引きされて、実質1億円ちょっとで購入できると知ったときはどう感じた?

籠池:あのねえ、8億円云々というけど元々その金額がいくらだったのか知らないんですよ。

そして、森友学園は1億3400万円になった国有地を、なんと頭金と10回分割払いで購入しているのである。

資金代金が完済されず、抵当権も付けられずに所有権が移転するのも不可思議である。

いずれにせよ、1億3400万円の資金も支払うことができずに、

10回分割払いにしてもらった森友学園が、地下からゴミが出てきただけで、

「変える金額になる」との「第六感」が働いたというのは、不自然の領域を超えている。

1億3400万円の土地代金すら支払うことができない法人が、

地下からゴミが出てきただけで、金額も確かめずに「購入する」と伝えること自体が不自然極まりない。

上記時系列では、購入価格が判明したのは2016年5月31日ということになる。

金額が判明して20日後の6月20日には売買が実行され、所有権が移行している。

いずれにせよ、2016年3月11日から6月20日までの、

森友学園と国、近畿財務局、大阪航空局とのやり取りは、

1年を経過していない。

すべての交渉記録を開示させる必要がある。


籠池泰典氏は埋設物撤去について、次のように述べている。

荻上:そのゴミはもう撤去したんですか?

籠池:ゴミは、えー、建物が経っているところについては、撤去もしておりますね。

荻上:ほかのグラウンドなどは?

籠池:グラウンドはね、記者の方もご存知の通り運動場ですから、

運動場はずっと昔からもう土の下というんですかね、動かして何もないんですよ。そのままでいいんです。

荻上:じゃあ、ゴミ出しの作業はもう全て完了したわけですか?

籠池:うん、あのー、土地の建物のところの分に関してはですね、あのー、ほとんど完了していますね。

荻上:いくらぐらいかかりました?そのゴミ出しには?

籠池:いやー、金額のことはどうもちょっとまだまだ、建設がしているところですから、

その中にまた、結果として出てくるんだと思いますから、それについて、私はまだ存じあげておりません。

荻上:いくらぐらいかかるという見積もりで?

籠池:ちょっと今、言えないですね。あの、何ともメディアのところで言えないですけれども、

かなりかかるだろうと思いますよ。

荻上:8億、行きますか?

籠池:いや、だって、運動場の下のところは取り出さなくていいんですから、触ってないんだから。

そうですよね。運動場で使いますところは、何も触らなくていいので、そこにお金がかかることはありません。

荻上:国の方が過剰算出した可能性があるということですかね?

籠池:違います。違います。それは違うと思いますよ。

だって、要はそれをすることによって、あのー、地下に生活ごみがあるということは、

資産価値が下がるということでしょ。ですから、安くなってくるということですよね。

で、お国の方が何億円だったか、今おっしゃった8億とか9億とかおっしゃったけど、

それは土地の運動場のところの生活ごみもすべて除いたらというような算出されたんではないかなと

思いますが、私はその辺のところは専門家ではないので、分かりません。


完全にしどろもどろであるが、注意が必要なのは、

埋設物の撤去が、すでに2015年に実施されていることである。

地下3メートルまでの埋設物等の撤去は2015年に実施されており、

これについて、国は森友学園に1億3176万円を支払っているのだ。

籠池氏が述べる、地下埋設物の撤去とは、2015年に実施した、

国が全額負担した工事のことを指している疑いが強い。

そして、値引きの根拠になっている、「深い部分のゴミ」についての籠池氏の認識は、

「地下に生活ごみがあるということは、資産価値が下がるということでしょ。

ですから、安くなってくるということですよね」

というものなのだ。

つまり、地下からゴミが発見されたので、土地の価値が下がり、その分を値引いてもらったのであり、

建設工事を進める上で、どうしても取り除かなければならないゴミ以外は、

そのまま放置してある、というのが実態である疑いが濃厚である。


そして、この「ゴミ」の性質について、籠池氏は次のように述べている。

「ボーリングというか、杭打ちをしましたときにね、土の下から生活ゴミが出てきたんですね。

生活ゴミというたら、いわゆるその地で生活しておった方々の、

まあまあ、あそこは阪神大震災のときに仮設住宅が建っておったところでありましてね。

その仮設住宅を潰して平地にするときに、そこにあったものをそのまま埋めたんではないけども、

やっぱり生活しおった長靴とか靴下とかはその中に入っておったんですね。」

そして、ゴミが出てきたから、土地価格が下がると籠池氏が考えたという。

「これ、私の方の考え方だったんですが、じゃあ今の定期借地させていただいている間の金額が、

例えばこんだけだと、ああ、それだったら、このように生活ゴミが出てきたものは、

もう少し安くなるだろうと私は思ったわけですね。当然そうでしょう? 

何かあの、綺麗な土地だったら、例えば1000円で買ったものだったらは1000円ですけど、

ちょっとなんか変なもの、生活なんぼのものが出てきたらというたら800円になりますよとか、

700円になりますよ、というようなことになるんだろうと僕思うんですよね。

ですから私は、これ借地料としても安くなるのかな、

安く購入させてくれるんじゃないかなと思ったわけですね。」


問題は、この先にある。

ゴミの存在を指摘されて、国が8億200万円値引いたことだ。

杭打ちにかかる部分は除去が必要かもしれないが、

それ以外は、「有害物質」ではなく「生活ゴミ」であるから、除去する必要がない。

これが適正な処理であるなら、国が該当箇所のすべての土を入れ替える費用を控除するのは、

過大な控除になる。

財政法に次の条文が置かれている。

第九条 国の財産は、法律に基く場合を除く外、これを交換しその他支払手段として使用し、
又は適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない。

「国の財産は、適正な対価なくしてこれを譲渡してはならない」

のである。

これまで明らかになっている事実関係からすると、

完全なクロ

である。

手続きが法的に適正でも、

「適正な対価」

の算出をしていなければ、財政法第九条違反になる。


埋設物を埋め直したとの話が出ているが、

2015年の埋設物処理と2016年の本体工事建設に伴う埋設物処理を厳正に区別して検証する必要がある。

問題の敷地内で、大阪航空局が2009年から2012年にかけて

地下埋蔵物状況や土壌汚染状況を調査した結果、

浅い部分から鉛やヒ素の土壌汚染と廃材・コンクリートガラ等の地下埋蔵物が発見された。

このため、2013年4月に野田町1501番の一部471平米が土壌汚染対策法に基づいて

形質変更時要措置指定され、

これに対応して、2015年に埋設物撤去などの工事が実施されたことになっている。

その結果として、2015年10月に指定が解除されている。

この工事を担当したのは

株式会社中道組

http://www.nakamichi-gumi.com/ja/

である。

同社は、

「森友学園に関する報道について」

と題する「お知らせ」をHPに掲載している。

http://www.nakamichi-gumi.com/ja/info_20170223.html


産業廃棄物の処理に関しては、

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」

第12条が、

「事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者は、

産業廃棄物の運搬または処分を受託した者に対し、

当該委託に係る産業廃棄物の種類及び数量、運搬又は処分を受託した者の氏名又は名称

その他環境省令で定める事項を記載した産業廃棄物管理票を交付しなければならない」

ことを定めている。

産業廃棄物の「マニフェスト制度」と呼ばれているものである。

したがって、当該国有地における2015年の埋設物撤去にかかる

産業廃棄物管理票=マニフェスト

および

土壌汚染状況調査書

を、国会は国政調査権を活用して公表させる必要がある。


これによって、2016年の国有地売却価格算定において、

埋設物を撤去する必要があったのかどうかが明らかになる。

撤去する必要のない埋設物を撤去する費用が控除されていたのなら、これは過大控除となり、

近畿財務局=財務省は「背任」または「善管注意義務違反」を問われることになる。

他方、森友学園が事実とは異なる事実を国に伝えて、

土地取得価格を過大に引き下げさせたのなら、「詐欺罪」の疑いが生じることになる。

したがって、

「アベ友事案」は「アベ友事件」に発展する蓋然性が高いのである。

財務省の責任が問われる場合、行政の最高責任者である安倍晋三氏の責任が問われることは当然である。

この事案のカギは、安倍首相夫人が開設予定の小学校の名誉校長を務めていたことを背景に持つ事案であり、

安倍晋三小学校と明記した振込用紙で寄附が募集されていたことに関係する事案である。

安倍首相の責任が重大であることは論を俟(ま)たない。

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