★トランプ、辞任したフリン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の後任に
マクマスター陸軍中将を起用。マクマスターは想定される中で最高級の人選。
ただし安全保障分野では異端児バノンの影響力強く、この両者の力関係今後の焦点。-(孫崎享氏)

A:事実関係

1: トランプは20日、国家安全保障担当大統領補佐官にマクマスター陸軍中将を指名した。

2: 安全保障の要職に軍人を任命するという姿勢は、
①マティス国防長官、②前回のフリン大統領補佐官に次いで今回も継続している。
こうした形の任命の仕方は文民優位の伝統を崩している。

3:マクマスターは湾岸戦争、イラク戦争、アフがニスタン戦争に参画してきている。
湾岸戦争では大佐として戦車部隊を率い、イラク軍を撃破。
1999から 2002年中央軍幕僚として勤務。
04年イラク戦争に参画。彼の指揮したタルアファル攻撃はイラク戦争の中でも著名。
イラク戦争で最も著名軍人の一人(the most celebrated soldiers of the Iraq War)の評価を獲得、
2010年アフガニスタンに赴任(wiki)。

4:知的能力の高い人物との定評がある。アメリカ史でノース・カロライナ大学で博士号を取得している。
ここでベトナム戦争に批判的見解を述べている。
この博士論文は後、『義務の怠慢Dereliction of Duty (1997 book) 』の本になり、
軍人は文官の政策が機能しない時は断固主張すべきとしている(WIKI)。2003年フーバー研究所で研究。

2008年、U.S. Army Training and Doctrine Commandで今後20年の陸軍軍事戦略作成に関与。
2011年Dempsey陸軍参謀長はマクマスターを我々の最高の准将と呼ぶ(WIKI)。

5:2014年マクマスターはタイム誌の「世界で最も影響力のある100名」の中に入り、
「米陸軍の将来の設計者」との評価を得る。
Dave Barno将軍は、マクマスターを21世紀の
最も著名な「兵士であり戦略家warrior-thinkerになりうる」と評価している(WIKI)。

6:ホワイトハウスの中でバノンとの関係がどうなるかが不透明(NYT)

7:国家安全保障担当大統領補佐官の任務は各機関の調整。議会の承認不要。(WP)

8:マケイン上院軍事委員会委員長は「任命は素晴らしい選択。これ以上のチームは予想できない」と評価(WP)。

B:評価

・フリン補佐官のロシア関連で混乱、

・後任はトランプの第一候補が辞退する中、いい選択が出来るか不安視された。

・最高級の人選であろう。

・安全保障分野ではバノンが発言力を強めており、
体制派の超エリートのマクマスターとアウトサイダーの雄バノンの関係が今後の最大の注目。

Reply · Report Post