★福島原発事故は収拾していない。危機的状況が継続。
その①福島2号機危機、1~3号機のデブリのおよそ半量の138トンが未反応、
連鎖反応なら広島原爆約7,000発分の放射性物質(セシウム137換算)が生成(村田光平氏)-(孫崎享氏)

原発の危険を発信続けている元駐スイス大使村田光平氏からのメールです。

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 元国連職員の松村昭雄氏から寄せられたメールをお届け致します。

同氏とは福島4号機の危険性を協力して世界に訴えた経緯がありますが

このたび竹本修三京大名誉教授の見解を踏まえ、

新たに浮上した福島2号機危機への真剣な対応を共に世界に呼びかけ出しております。

別添の入口 紀男熊本大学名誉教授の見解は、

下記の通り日本の将来を深刻に憂慮させるものであり、

また、予見される国際社会の反応もあり、

対策として建設費が100兆円ともいわれる石棺の要否についての検討を急ぐ必要があると思われます。

「1~3号機のデブリのおよそ半量の138トンが未反応であろうと考えられます。

その未反応のデブリは、濃度と形状によっては、

あるとき周囲の水を中性子減速剤として核分裂連鎖反応を起こし得ます。

すると熱エネルギーと同時に広島原爆約7,000発分の放射性物質(セシウム137換算)が

生成される可能性があります。

 使用済み燃料は、常に水中になければ、そこから発せられる中性子によって

ヒトは敷地全体に近づけません。

一方、未反応のデブリは、逆に、周囲に水があるとそれが中性子減速剤となって、

あるとき、たとえば無理に取り出そうとしたときに再臨界を迎えかねないという矛盾をはらんでいます。

デブリを奇跡的に取り出すことができない限り、その(再臨界の)可能性はこれから100万年間続くでしょう。」

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原子炉デブリについての某氏と入口先生のFB上での質疑応答

原子炉デブリに関する質疑応答(Toshiko Kato‎ ― 入口 紀男)

4基の原子炉、石棺は可能なのでしょうか?いまもこれからも大量の水で冷却していますが、

冷却水ストップして、デブリ臨界に達しないのでしょうか?

教えてください。

入口 紀男 1~3号機のデブリのおよそ半量の138トンが未反応であろうと考えられます。

その未反応のデブリは、濃度と形状によっては、

あるとき周囲の水を中性子減速剤として核分裂連鎖反応を起こし得ます。

すると熱エネルギーと同時に広島原爆約7,000発分の放射性物質(セシウム137換算)が

生成される可能性があります。

 使用済み燃料は、常に水中になければ、

そこから発せられる中性子によってヒトは敷地全体に近づけません。

一方、未反応のデブリは、逆に、周囲に水があるとそれが中性子減速剤となって、

あるとき、たとえば無理に取り出そうとしたときに再臨界を迎えかねないという矛盾をはらんでいます。

デブリを奇跡的に取り出すことができない限り、その(再臨界の)可能性はこれから100万年間続くでしょう。

Toshiko Kato ありがとうございます。未反応デブリはウラン235と中性子減速材などがとけて固まった物。

デブリから中性子が出ていて、水が減速材として働くと再臨界が起こるのですか ?

なぜ減速材が再臨界に必要なのかが分かりません。これとは別に、石棺は可能なのでしょうか?

入口 紀男 ひとつの中性子が「ほど良いスピード」で核燃料に衝突すると、

核燃料の中から二つ以上の中性子をたたき出します。

二つの中性子が「ほど良いスピード」で核燃料に衝突すると、

核燃料から四つ以上の中性子をたたき出します。

このようにしてねずみ算のように増えていくのが核分裂連鎖反応ですね。

中性子のスピードが速すぎると、核燃料の表面ではじかれてしまいます。これは本当です。

そこで中性子減速材として周囲に「水」や「カーボン」(黒鉛)があると、

中性子は減速されて「ほど良いスピード」になるのです。

核燃料棒を水の中に沈めて数センチの距離に近づけると、効率よく核分裂連鎖反応が起きます。

これが原子炉ですね。

 石棺は、先ず原子炉の地下を掘って水が流れ込まないようにコンクリートを流し込みます。

次に全体を石棺で覆います。

しかし、建造する前に、デブリが水につかって再臨界(核分裂連鎖反応を起こすこと)をしないように、

「水なし」となるようにしなければなりません。これも困難です。

チェルノブイリは黒鉛炉でしたので「水なし」にする工程が省けました。

福島第一の1~3号機ではまだ水冷が行われていますね。

水冷をやめても格納容器の底(1インチの厚さの鋼鉄)にあると思われるデブリが発熱で底を溶かして

メルトアウト(格納容器からデブリが地下などの環境に出ること)しないように

熱を外部に上手に逃がしながら行います。

また、中性子は、デブリが水に沈んでいないと格納容器を通り抜けて環境に出てきますので、

それが周囲の作業者を被ばくさせないように上手に建造していくことが必要です。これも容易でありません。

100兆円かかるでしょうが、できても、何十年かでやがて老朽化するでしょう。

外側に大きな石棺が必要となるでしょう。

Toshiko Kato 程よいスピードが必要、わかりました。

汚染水を止められない日本の科学・技術・工学では、石棺も無理ですね。

燃料取り出しも無理。分厚い圧力容器を破ったメルト燃料は、

格納容器内に止まるほどラッキーではない、とメルトスルーも考えられますね。

1号機は格納容器にみずを循環させて冷やしているらしいですが。

入口 紀男 「メルトスルー」(炉心貫通)とは、

デブリが圧力容器の底を突き抜けて格納容器の中に出ることで、

それはすでに1~3号機で起きました。

「メルトアウト」(炉心露出)はデブリが格納容器の底を破って環境(地下)に出ることですが、

それが起きているかどうかはまだ分かりません。

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