★民進党一部候補者はオールジャパン支援対象から除外-(植草一秀氏)

2017年は日本国内の事象に焦点が当てられる年になる。

何が生じるのかをあらかじめ特定することはできないが、政治情勢に大きな変化が生じることが予想される。

安倍首相は自民党総裁の3期9年を狙っている。

3月の自民党大会で規約が変更されるだろう。

2期目の6年が2018年9月に終了する。

2017年9月から12月までに衆院解散総選挙を行うと、衆院の任期満了が2021年9月から12月になる。

これが、自民党総裁3期9年の満了時期と重なる。

2017年9月から12月の解散総選挙の可能性は高いと思われる。

2018年に入ると、任期満了が迫り、いわゆる「追い込まれ解散」になる。

2009年8月に「追い込まれ解散」を実施して大敗した麻生太郎政権の記憶がよみがえることになる。

安倍氏としては、チャンスがあれば2017年末までに解散総選挙を実施したいと考えていると思われる。

この意味で2017年は国内政局に焦点が当たる可能性が高い。

問題は、仮に選挙が実施されるとして、それが日本政治変革をもたらすものになるのかどうかだ。


2009年に政権交代があった。

しかし、鳩山政権は既得権勢力の総攻撃に遭遇し、8ヵ月半で破壊された。

2012年に野田佳彦政権は安倍晋三氏に大政を奉還したが、

それから3年間で日本の政治情勢は様変わりした。

時計の針が一気に戦前にまで戻されるような変化が生じている。

このことは、3年という時間が世界を一変させるに十分な時間であることを意味している。

日本政治の逆行を許さない。

戦前にまで引き戻された時計の針を、もう一度、現在に回帰させる必要がある。

そして、それは十分に可能な課題であると判断できる。

安倍政権の政策路線はさまざまな角度から捉えることができるが、経済政策全体を貫く核心は明確である。

それは、

「巨大資本の利益が第一」

「ハゲタカファースト」

というものである。

安倍首相が代表質問への答弁で、

「社会保障費を削減したことが政策運営の成果である」

と述べたことに驚きを感じた国民は少なくないだろう。

消費税を増税し、法人税を減税し、社会保障費は削減して、

公共事業やオリンピック関連の利権にまみれた政府支出は膨張の一途をたどる。

これが安倍政権の政策運営の姿だが、

ここから読み取れることは、

「庶民を犠牲にして」

「大資本、政官業の癒着勢力を肥え太らせる」

という明確なスタンスである。


この日本政治を、主権者国民の側に引き戻すこと。

「主権者が日本政治を取り戻すこと」

が日本政治の最大の課題である。

米国では新大統領に就任したトランプ氏が、

「米国政治をワシントンの既得権勢力から米国国民に取り戻す」

ことを宣言した。

この宣言が着実に実行されるのかどうかは、今後の動向を見守る必要があるが、

少なくとも基本方針としてトランプ氏はこのことを述べた。

日本のメディアはトランプ総攻撃の姿勢を示しているが、その理由は、トランプ氏の基本姿勢が

「既得権益勢力の打破」

にあるからだと考えられる。

日本国民はメディアのトランプ叩きの風潮に安易に乗ることを避ける必要がある。

そして、2017年の日本政治変革の具体的戦術を一刻も早く構築するべきである。


日本政治を変革するためには、選挙で勝たなければならない。

選挙で勝って、議会過半数を「改革勢力」で占有することが必要である。

その「勝利の方程式」を確立しなければならない。

安倍政権与党勢力は与党勢力による政治支配を永続させるために、二の矢、三の矢を放ち続けている。

この攻勢を傍観している限り、政治刷新の可能性は低下してしまう。

安倍政権与党勢力が推進している戦術は、

与党と準与党との対立図式を意図的に構築することである。

そのパイロットプランが東京における

自民党と小池新党勢力による対立図式の「演出」である。

両者は本質的に同一である。

この同一の二者が正面から対決する図式が、意図的に創作されているのである。


自民勢力と小池新党勢力が対立して、この二つの勢力が議会勢力の大半を占有してしまうことが理想なのだ。

与党と準与党の二大政党体制ができる。

できれば、国政においてもこの二大政党体制を構築する。

これが目指されていると考えるべきだ。

豊洲移転を断念し、石原元都知事の責任を追及すれば小池人気はさらに上昇するだろうが、

そのことによって、日本政治が与党と準与党で支配されるなら、その代償はあまりにも大きい。


重要なことは、

国民の側に立つ勢力の結集を図ることだ。

大事なのは

政策であって政党ではない。

国民にとって本当に重要な政策を実現するための政治体制を構築すること。

これが重要なのだ。


次の総選挙では

集団的自衛権の是非

原発稼働の是非

格差拡大の是非

を争点にするべきだ。

そして、

平和

安全

共生

を公約に明示する候補者を勝たせることが重要だ。


政党は問わない。

民進党の候補者でも、この公約を明示するなら主権者が全面支援する候補になり得る。

しかし、民進党の候補者でも

戦争法制、原発稼働、消費税増税に賛成

の候補者は支援しない。

これを明確にする。

戦争法制、原発稼働、消費税増税に賛成

の民進党候補者が出馬する選挙区では、

戦争法制、原発稼働、消費税増税を許さない

ことを公約に明記する候補者を主権者支援の統一候補者に定める。

共産党、自由党、社民党の候補者が主権者サイドの統一候補者になる。


「政策選択選挙」を実現すること。

これが「勝利の方程式」だ。

滋賀、沖縄、鹿児島、新潟の県知事選では

「政策選択選挙」

が実現した。

この結果、安倍自公勢力に対峙する候補者が勝利した。

これを「新潟メソッド」と呼ぶなら、

「新潟メソッド」

の活用が「勝利の方程式」ということになる。


これは、

単純な野党連合とは明確に一線を画す。

重要なことは、

民進党候補者は「選別推薦」になるということだ。

民進党候補者の一部は支援対象になるが、

民進党候補者の一部は落選運動の対象になる

ということだ。


民進党という政党を支援することはしない。

主権者の側に立つ「政策」を支援するのだ。

「新潟メソッド」を活用して

「政策選択選挙」

を実現するならば、

次の衆院総選挙で、日本政治を刷新するという大業を実現することも、決して不可能ではなくなるだろう。

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