★長嶺駐韓国大使を帰国させない安倍首相の独善外交ー(天木直人氏)

きょう1月17日の産経新聞が書いている。

 安倍首相が17日に外遊から帰国するのを待って、

政府は一時帰国させている長嶺駐韓国大使の帰任時期について本格検討に入ると。

 ここまでは私が書いた通りだ。

 しかし、その後に産経新聞が書いている記事を読んで私は驚いた。

 そこにはこう書かれていたからだ。

 「・・・安倍首相は周辺に『外務省は大使たちを早く韓国に帰したがっているが、早く帰す必要はない。

国民も納得しないし、それはさせない』と語っており、慎重な構えを崩していない・・・」

 驚いた。

 何という愚かな首相であろうか。

 これではっきりした。

 釜山の日本総領事館前に慰安婦像が設置された事に、

一番動転し、怒り狂ったのは安倍首相だったということだ。

 その怒りに任せて、大使らを帰国させよと命じたのも安倍首相自身だったということだ。

 しかし、安倍首相は振り上げたこぶしを下せなくなるだろう。

 長嶺大使は当分帰れなくなる。

 なぜならば、慰安婦像を撤去させることは安倍首相には無理だからだ。

 そもそも不可逆合意には、どこにも韓国政府が慰安婦像撤去を約束するとは書かれていない。

 韓国政府が約束したのは、撤去させるために努力する、である。

 そしてその努力は、ますます無力化しつつある。

 一つは不可逆合意をした朴大統領が死に体であるからだ。

 朴大統領の死に体と直結する事であるが、

韓国世論、特に若者が、朴大統領に怒り、慰安婦問題の合意そのものを否定する動きを強めているからだ。

 とりわけ慰安婦像の撤去は絶対に応じない。

 そのような世論の圧力に押されて、新しく大統領になろうとしている候補者は、

みな慰安婦像撤去問題に強硬にならざるを得ないからだ。

 それにしても、最近の安倍首相を見ていると、

トランプ大統領との関係強化を急いだり、対中包囲網に固執したり、武器輸出に熱をあげたり、

ここまで韓国に怒ったり、現実が見えないまま、ますます独善外交を嵩じさせているかのごとくだ。

 外務官僚と岸田外相は、そんな安倍首相に何の助言も出来ないまま、

まるで家来のように従っているかのごときだ。

 これだけ国際情勢が流動的で、外交力が試されている時はないというのに、

日本外交はまさしく危機的状況下にある。

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