★ケネディ大使のこの言葉だけはいただけないー(天木直人氏)

ケネディ駐日大使がきのう1月16日、

岸田外相と並んで米軍属の範囲を明確化する日米地位協定の補足協定やらに署名した。

 おそらくこれがケネディ大使の最後の公務だろう。

 トランプ大統領の就任前に日本を去ることになるからだ。

 いまさら私が書くまでもなく、

この補足協定は日米地位協定の改正は決して行わないという日米両政府の意思表示である。

 在日米軍による沖縄女性の犠牲をなくすためには、

日米地位協定を改定して日本が主権を取り戻すしかない。

 しかし米国は決してそれを許さない。

 対米従属の日本政府は米国が認めないことは決して行わない。

 その結果が、軍属の定義の明確化合意というごまかしである。

 こんな文書に署名させられて日本を去るのは、ケネディ大使には似合わない。

 ケネディ大使には日米地位協定改定の署名を最後の仕事にして欲しかった。

 しかし、ケネディ大使をいじめるのはやめよう。

 ケネディ大使にはどうにもならない事だからだ。

 米国は日米同盟という名の日本占領を決して手放さない。

 それはオバマ政権になっても揺ぎない米国の方針だった。

 米国第一主義を唱えるトランプになってもそれは変わらないだろう。

 オバマ大統領の代理人よろしく、お人形さんのようにふるまって、

日米同盟関係の不都合な部分を隠し、日米友好関係を演出する。

 その仕事にするために、ただそれだけのために、任命されたのが、ケネディ大使だったからだ。

 腹立たしい限りだが、ケネディ大使に怒りをぶつける気にはなれない。

 われわれはその怒りを、トランプ大統領が派遣する新しい駐日大使にぶつければいいのだ。

 ここまで書いて、私はこの文章を終わらせたかった。

 しかしである。

 きのう在日米国大使館が、ケネディ大使のお別れのメッセージを公表したらしい。

 それを今日の各紙が一斉に報じた。

 そのメッセージの中に次のようなくだりを見つけた。

 「沖縄の苦闘や歴史を教えてくれた県民の皆さんにも感謝します」とある。

 その後に、昨年12月の米軍北部訓練場が返還された事に言及しているらしい。

 いくら何でもこれはないだろう。

 沖縄の苦闘を知って、なぜ沖縄のために動かなかったのか。

 沖縄の歴史を知って心が痛まなかったのか。

 北部訓練場の返還に言及するなら、

なぜ高江のヘリパッド建設に今でも住民が反対している事に言及しないのか。

 いくらお人形さんでもこれはない。

 米国大使館の書いたメッセージをここまで忠実に読み上げるのは、

いくらお人形さんでも、これでは操り人形だ。

 どうせお人形さんなら、沖縄について何も言及して欲しくなかった。

 お人形さんには政治は似合わない。

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