★上原元国立市長に巨額の賠償を命じた最高裁を許してはいけないー(天木直人氏)

これも東京新聞だけが詳しく報じている問題である。

 昨年12月、最高裁は上原元国立市長の上告を棄却し、約4500万円相当の賠償を命じる判決を下した。

 これにより上原元市長個人の支払い義務が確定した。

 しかしこの最高裁の判決はとても許せるものではない。

 「国立マンション訴訟」と呼ばれる一連の訴訟は、

JR国立駅前から一橋大学へ延びる「大学通り」で高さ44メートルの高層マンションを建設する計画が

持ち上がったことに端を発し、反対する住民側と住民を代表する上原元市長側と、

建設業者やそれを支持する側の間で起きた訴訟合戦であり、市長の交替と絡んで政治化した問題だった。

 結論から言えば、いずれの訴訟も最後は最高裁の判断により、住民側が敗訴する形で終わり、

国立市が建設業者側に損害賠償を支払う事で終わった。

 ところが、あらたに一部住民によって上原市長に対する個人賠償請求訴訟が起こされ、

紆余曲折を経て、昨年12月15日、最高裁が上原元市長の上告を棄却し、

上原氏個人の損害賠償が確定したという問題だ。

 私はこの上原元市長に対する個人損害賠償を求める訴訟は、政治がらみの悪意に満ちた訴訟であり、

それを認めるような最高裁の判決は、いわゆる弱い者いじめであるスラップ訴訟に加担する判決だと考える。

 このような判決が前例になれば、安倍政権のように司法を完全に権力の下に置くような政権下では、

気に入らない首長の判断をすべて訴訟沙汰にして、

すべてそれを違法にして高額の損害賠償を求めれば市民の反対の声を押しつぶす事が出来る。

 とんでもない事が起きているのだ。

 こんな深刻な問題を、問題意識をもって取り上げるメディアが東京新聞だけというところに

この国のメディアの堕落を感じる。

 せめてもの救いはきょう1月14日の東京新聞が「ニュースの追跡」で次のように教えてくれているところだ。

 景観保護に尽力した上原元市長一人に負担を負わせてはいけないと

市民が立ちあがって基金をつくる動きがあると東京新聞は書いている。

 東京新聞は是非ともその基金作りに協力し、基金が出来たあかつきには、

寄付口座を公開して寄付集めに協力すべきだ。

 小泉元首相の被ばく米兵救済基金集めに協力した東京新聞だから、それが出来ないはずがない。

 小泉基金よりよほどまともな基金だ。

 小泉基金には寄付する気は起きないが、上原基金なら喜んで寄付する。

 そう考える世論は多いだろう。

 4500万円を超える寄付金は全国からすぐに集まるに違いない。

 権力の暴政を市民の良識が一蹴する。

 その好例を東京新聞は見せつける絶好のチャンスを得たのである。

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