★ 橋下・小池・野田登壇いかさま三文芝居にご用心ー(植草一秀氏)
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【市村悦延の視点】

<小池都知事の報道加熱にかねてから疑義を抱いている。小池氏はいまなお自民党議員であることを
 国民は忘れている。「安倍対小池」の構図にするなら、小池氏が自民党から離脱することが先決だ!
 小池劇場は、師匠の小泉純一郎の手法を模倣しているに過ぎない。「築地移転問題・東京五輪問題」等、
 何一つ問題解決されず、見直しや抜本解決が図られていない。要するに、問題化される話題をプレイアップ
 するだけの劇場政治である。国民は情緒政治に傾きがちだが、じっくりと考えていただきたい。
 決して「表層に囚われず、政治の本質と成果だけを注視しなければならない!」>
 
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<以下、植草一秀氏の記事>

2014年12月総選挙と2016年7月総選挙の間には重要な変化が観察される。

比例代表選挙の得票率を見てみよう。

2014年12月総選挙では

自民  17.4

公明   7.2

自公  24.7

民主   9.6

野党計 28.0

だった(いずれも%、全有権者数に対する得票率)。

これが2016年7月参院選では大きく変化した。

自民  19.6

公明   7.4

お維新  5.0

こころ  0.7

与党系 32.8

民進  11.5

共産   5.9

野党計 19.9


つまり、2016年7月参院選では、与党系政党の得票率が上昇しているのである。

最大の要因は維新が野党系から与党系に鞍替えしたことである。

維新は2014年12月の選挙で8.3%の得票率を得ているが、

民主との一部合流などの紆余曲折を経て、現在の維新は完全に与党サイドの政党に変質し、

この新・維新が2016年7月参院選で5.0%の得票を得た。

何が目論まれ、何が起きているのかを洞察することが重要である。

人為的に「第三極」を創設し、

この「第三極」を「準与党化」すること

が目論まれているのである。

この「第三極」創設にもっとも尽力してきたのは、

日本のマスメディアである。

2008年夏にフジテレビが「CHANGE」と題する政治ドラマを放映した。

人為的に「第三極」政党を創設するために作られたドラマであったと思われる。

このドラマの延長上に「みんなの党」が創設された。

しかし、2009年8月総選挙での政権交代を阻止できなかった。

「みんなの党」は、政権交代を阻止する防波堤に成り得なかったのである。


そこで、日本の支配者は、次の一手として、「橋下維新」の熱烈宣伝を始めた。

日本のマスメディアが一知事の動向をトップニュースとして伝え続けることはあり得ない。

ところが、日本のマスメディアは橋下徹氏に関する過剰報道を展開し続けて、

2012年12月総選挙に際して「日本維新の会」所属議員は13名に過ぎなかったが、メディアがこの勢力を

「第三極」

として大宣伝し続けた結果、54議席を獲得し、「第三極」を実現してしまったのである。

2012年12月総選挙の際に、現実の「第三極」であったのは

「国民の生活が第一」(=「未来の党」)で、議員数は46だった。

メディアは「国民の生活が第一」の結党パーティーも選挙公約もまったく報道しなかった。

これに対して、「維新の会」については、連日連夜、大宣伝に次ぐ大宣伝を繰り返した。

つまり、「日本の支配者」は、本当の意味の革新政党をせん滅するために、

「準与党」である「第三極」をマスメディア総動員の「大宣伝活動」によって急拡張を推進しているのである。

日本政治を、「与党と準与党だけで仕切る体制」が目指されている。

いま、この動きに動員されているのが、小池百合子氏と野田佳彦氏(=蓮舫氏)である。

与党と準与党で、政界を占有してしまう。

その目的は、真の革新政党をせん滅することである。

この「敵」の策謀を見抜き、根底からの巻き返しを図らなければならない。


現代日本政治において、支配者が用いる最大、最強の武器は、

「情報空間の支配」

である。

マスメディアを完全なる支配下に置いて、人心をコントロールする。

「洗脳」

が、最大の支配ツールになっている。

その象徴が「内閣支持率」である。

「内閣支持率」が信用できるものであるとの「証拠」は、何ひとつ示されていない。

このことは、「内閣支持率」が信用に足る数値ではないことのひとつの証明になっている。

「内閣支持率」は、約20~30%のゲタを履かされていると見ておくべきだ。


第二のツールは

「芝居」

「劇場」

である。

「トランプ政治」を「プロレス政治」とする評論がある。

プロレスではオーバーな物言いと、オーバーなリアクションが多用される。

全体の筋書きは事前に用意されており、その筋書きに沿って「興業」が行われる側面が強いが、

レスラーもレフェリーも観客も、これらを暗黙の前提として理解して「興業」を楽しむ。

いま日本で展開されている政治現象の多くが、この

「プロレス興行型」

の「芝居」、「劇場」になっていると判断できる。


気を付けなければならないのは、主権者がこの「芝居」に騙されてしまうことだ。

夏の都議選が

「小池新党」と「自民党」の戦い

として演出されることなどは、その典型例である。

民進党の野田佳彦氏が小池新党との連携を示唆する発言を示しており、

日本政治の誘導が顕著に観察される。

日本政治が

「与党」



「準与党」

に支配されると、

変化は永遠に生じなくなってしまう可能性が高い。


米国では「共和党」と「民主党」が政治を支配しており、

「どちらに転んでも大差がない」

状況が生み出されている。

これを私は

「二党独裁」

と表現している。

本質が

「一党独裁」

と大差がないのである。


「日本の支配者」は日本政治を

「二党独裁」

状況に移行させようとしている。

このことに気付いて対応しなければならない。

必要なことは、

「真の革新政党」

を結集することだ。

そのために必要なことが、

「政策基軸選挙」

である。

「反核・反戦・反格差」

の主権者と政治勢力の結集を図る。

党派にはこだわらない。

党派を超え、政策を基軸に、主権者が主導して結集を図る。

もっとも肝に銘じておくべきことは、

民進党

野田佳彦氏

を信用しないことだ。


民進党・野田佳彦氏を思考の枠組みから外して、

「反核・反戦・反格差」

の三ッ星を追求する。

橋下氏、小池氏、野田氏が表舞台に出てくる寸劇は、

すべてトリック、三文芝居である。

そして、これらをもてはやすマスメディアはリングサイドで絶叫する実況アナウンサーのような存在だ。

こんな三文芝居に見切りをつけて、本当の「政治革新」を目指さなければならない。

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