★新党憲法9条の公約を語ってくれた加藤典洋・田中優子新春対談-(天木直人氏)

きょう元旦の京都新聞に、

文芸評論家の加藤典洋氏と法政大総長の田中優子氏の

「時代みつめて 今、求められているものは」という新春対談が掲載されていた。

 私がこの年末、年始を京都で過ごさなかったら、京都新聞を読むことはなかっただろうし、

したがってまたこの対談記事を読むこともなかっただろう。

 これもまたひとつの運命じみためぐりあわせだ。

 その対談の中で二人は、奇しくも、新党憲法9条の公約とでも言うべき内容に言及している。

 すなわち、天皇陛下の退位問題についてこう述べ合っている。

 そもそも象徴天皇とは何かということを、誰も真剣に考えてこなかったから、

天皇自身がつくり上げるしかなかったのだと。

 そして、天皇陛下はそれを、憲法9条の精神を体現する事だと信じて行動してきたが、

国民はそれを是とするかと問いかけられたのだと。

 それにもかかわらず、有識者会議はその議論を避け続けたと。

 その通りだ。

 しかし、議論を避けたのは有識者会議だけではない。

 メディアも国民も、みなそのことについて議論を避け、

天皇陛下のお言葉は憲法違反の政治的発言であるとか、生前退位を認めるべきかどうかや、

認めるとして一代限りにするかどうかや、

退位を認める場合には皇室典範の改正行うのか特別立法で行うのか、

といった事ばかりに関心を集中させた。

 そうではないのだ。

 後に続く天皇に同じ悩みを引き継がせてはいけない、

後に続く天皇の個人的考えで象徴天皇の役割が変わるようなことになってはいけない、

願わくばみずからたどり着いた象徴天皇の姿を、国民的合意の下で確立してもらいたい、

これこそが天皇陛下のあの言葉で伝えたかったことに違いない。

 その思いに応える政党こそ、新党憲法9条なのである。

 しかし、私がこの対談で最も注目したのは、

新党憲法9条の公約を見事に言い当てた加藤典洋氏の次の言葉である。

 すなわち、田中優子氏の、「今後米国との関係ではどのような選択肢がありますか?」という問いかけに対し、

加藤典洋氏はこう語っている。

 「ひとつは理不尽な要求を突き付けられても、徹底従属でついていく。

もうひとつは、核武装含みで軍事増強を伴う反米、自立。

でも、ともに展望はなく、『自前』で第三の道をつくるしかない。

(その時)支えになりうるのは憲法の平和主義しかありません・・・日本流の平和主義を築き上げていくのがいい」

 まさしくこれこそが、「憲法9条を国是として世界に掲げる」という新党憲法9条の公約なのである。

 新年早々、私は縁起のいい対談記事を京都新聞に見つけてスタートすることになったのである。

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