★稲田防衛相の靖国参拝にコメントしない安倍首相の深謀遠慮-(天木直人氏)

真珠湾慰霊の直後に、同行した稲田防衛相が帰国して真っ先に靖国神社を参拝した。

 これは、私ならずとも、衝撃的だったはずだ。

 しかし、それを参拝直前に報じたNHKは、淡々と報じた。

 そして、早朝のニュースで報じた後、それ以降のニュースではほとんど黙殺した。

 一日遅れで報じるしかない大手新聞は、きょう12月30日の紙面で一斉に取り上げた。

 しかし、どれも間の抜けたものばかりだ。

 一日遅れだから間が抜けたというだけではない。

 その内容が、あまりにも紋切型であり、政府を追及する様子は皆無だからだ。

 民放のテレビ局が、ゴルフに興じる余裕を見せる安倍首相の「それについいてはノーコメント」を垂れ流し、

どのメディアも追及するわけでもない。

 安倍首相が知らなかったはずがないのに、である。

 これを要するに、今回の稲田防衛相の靖国参拝の背景には、

周到に準備された安倍首相の深謀遠慮があり、それにメディアが協力した、ということではないか。

 メディアが騒がなければ世論は騒がない。

 日本のメディアが騒がなければ、外国メディアは騒がない。

 外国メディアが報じなければ、中国も韓国も米国も、何が起きたかよくわからないまま、

とりあえずの反発をするしかない。

 おまけに年末であり、クリスマス休暇だ。

 米国も韓国も、事実上の大統領不在で、まともな反応をしている余裕はない。

 中国はトランプの米国との外交や、トランプの米国とロシアの関係がどうなるか、で頭がいっぱいだ。

 そのどさくさに紛れて、現職の防衛大臣を靖国参拝させて様子を見る。

 これは、安倍首相が日本のメディアを使って行った周到な戦略ではないのか。

 私は今度の稲田防衛相の靖国参拝を知った時は驚いたが、

一夜明けて、その後の動きを見ていると、そのように思えてならない。

 これ以上大きな外交問題にならなければ勝ちだ。

 もちろん、その先には安倍首相の靖国参拝という最終目標がある。

もちろん、その思惑通りにいくかどうかはわからない。

 中国、韓国、米国の反発はこれから本格化するかもしれない。

 しかし、もしこのまま稲田防衛相の靖国参拝が問題にならなければ、安倍首相の靖国参拝が可能になる。

 そして、それが容認されるなら、もはや靖国問題は国際問題にならないことになる。

 安倍外交が勝つのか負けるのか。

 すべてはこれからである。

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