★安倍北方領土外交の無能さは公開情報でもこれだけわかるー(天木直人氏)

たとえば12月16日の朝日新聞が「時々刻々」でスクープ報道し、

週刊アエラの最新号(12月26日号)がその詳細を書いた。

 その他のメディアがその後に続き、いまや知る人ぞ知る内幕だ。

 谷内正太郎国家安全保障局長が11月に極秘訪ロした時、

「北方領土をロシアが返還したら、そこに米軍基地を認めるのか」というロシア側の質問に対し、

「その可能性はある」と答えたと。

 この元官僚の一言が北方領土返還をぶち壊したと。

 たしかにこの発言が本当だとしたら、谷内正太郎氏の元同僚である私も驚きだ。

 もし谷内正太郎氏が自分の一存でそう答えたなら、官僚の分限を超えた発言であり辞職ものだ。

 もし安倍首相の事前の了承を得てそう言ったとしたら、安倍首相の外交ベタはここに極まれりだ。

 たとえば12月20日の読売新聞の「検証 日露首脳会談」の記事だ。

 そこにはこう書かれている。

 「・・・(共同経済活動の対象範囲について)首相側近の谷内正太郎国家安全保障局長や外務省は

『4島を対象とすれば、プーチン氏が怒るのではないか』として、2島での実施を進言した・・・しかし。

首相は『いや、4島で突っ込もう。プーチン氏ならわかってくれるはずだ』と譲らなかった・・・」

 驚くべき内情だ。

 北方領土交渉の直前になっても、4島返還で押し通すのか2島返還で行くのかで、

外務省と安倍首相の意見が分かれていたというのだ。

 こんな腰の定まらない状況で北方領土交渉を進めていたのだ。

 きわめつけは、きょう(12月22日)発売の週刊文春(12月29日号)にある

ジャーナリスト山口敬之(のりゆき)氏の記事だ。

 元TBS報道局のワシントン支局長を経て、

いまではすっかり安倍首相の宣伝マンになった感のするジャーナリスト山口氏は、

安倍首相がプーチン大統領に、

合意文書の中に「平和条約締結への決意」という文言を盛り込ませるのに成功させた裏話を書いている。

 その時の決めゼリフが、「もうゲームは止めましょう」、「私を信じて欲しい」だったと書いている。

 しかし、その山口氏さえ次のように書かざるを得なかったのだ。

 「・・・首脳による最終確認という前代未聞の経過を経て完成した文書には、

実質的に『4島』、『特別な制度』、そして最大の焦点だった『決意』も盛り込まれた。

(しかし)一方で合意文書は『プレス向け声明』という玉虫色のタイトルで発表された。

ロシア側が最後に見せた『抵抗』が、今後の交渉の難しさを暗示している」

 首脳会談の結果が「プレス向け声明」という、およそ紙切れのようなものでしか示せなかったのだ。

 山口氏さえもがそう認めざるをえなかったのだ。

 やはり今度の安倍・プーチン会談の成功報道は壮大なゴマカシである動かぬ証拠である。

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