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◆ オスプレイ墜落と北方領土献上 ◆ー(兵頭正俊氏)
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(今年も暮れました。今年は、「新しいアプローチ」(!)による北方領土献上が、

象徴的なフィナーレでした。

プーチンは、米国経済誌・フォーブスが発表する「世界で最も影響力のある人物」ランキングで

4年連続首位の巨大な政治家です。今や米国大統領選にまで影響力を発揮しています。

その巨大な政治家に、それもナショナリズムが燃えさかっているロシアに、

37位の安倍晋三が領土問題など持ち出したところに、そもそも大きな間違いがありました。

プーチンが大統領にある間は、北方領土問題は出さずにおこう、といった愛国心と賢明さが

安倍と外務省にあったらよかったのですが、そんなものは毫もない人物と組織でした。

首相官邸ホームページで 「プーチン訪日で北方領土返還」とほらを吹き、

この成果をもとに年明け解散と吹きまくっていたのですが、

記事もこっそり削除し、解散など「頭の隅にもない」とする体たらくです。

ほんとうにこの者たちには、政治も外交もわかっていないのです。

安倍晋三で北方領土が返ってくるのだったら、とっくに返還されています。

軽くプーチンにひねられて、もう領土問題は両国にないとまで総括されてしまいました。

それを保証する3000億の経済協力です。

さて、『兵頭正俊の知らなきゃ滅ぶニュースの真相』は、

現在、PC用と携帯用(内容は同じものです)とを合わせて3300部ほどです。

これから合計で4000部を目指すことにします。読者の皆さまのご支持に感謝申し上げます。

今年の配信は、今号で締めくくり、次回配信は新年の1月8日(日曜日)の予定です。

お楽しみにお待ちください。

皆さまに来年が良い年でありますように祈り上げます)

今年を振り返ると、安倍晋三の手法に日本が染め上げられた1年であったといわざるを得ない。

それは、嘘で塗り固められた腐敗国家、死せる国ということだ。

政権もメディアも嘘をつき、その嘘に染め上げられ、間抜けな政権が何でもできる、

愚かさの極致に達したということだ。

もっともすでに日本は終わっている。

安倍政権は墓場で国民の死体を食い散らしているのに過ぎないのだ。

この状態は社会的弱者いじめとして、来年も継続されるだろう。

その結果、生活保護の受給者が増える。社会的コストはますます増える。

すると、安倍晋三は裕福層には目もくれず、貧困層からさらなる収奪を図る。

この愚かな悪循環は、安倍晋三がトップにいる限り、続くだろう。

こんな世相を現した素敵なツイートを見つけた。

「KAMEI Nobutaka

語彙がまたひとつ増えましたね。どんどん集めましょう。

戦争→事変
戦闘行為→衝突
武器輸出→防衛装備移転
公約違反→新しい判断
産めよ増やせよ→結婚・妊娠・出産・育児の切れ目ない
支援
年金カット→持続可能性
賭博→リゾート
差別→区別
事故→事象
墜落大破→不時着 ←イマココ


近未来の言い換え語録を予測します。

徴兵制→給付型奨学金
軍事教練→インターンシップ
軍事研究→大学の社会貢献
原発→クリーンエネルギー
学徒動員→フィールドワーク
強制無償労働→ボランティア
子ども産んで家事やれ→ワークライフバランス
非正規雇用・失業→みんな違ってみんないい」

(引用終わり)


「みんな違ってみんないい」と現実を正当化されたら、さぞかし1%は嬉しいだろうが、99%は困るのだ。

わたしたちが目指すのは自立と共生の社会であり、そこは「みんな同じでみんないい」でなければならない。

米軍による、墜落したオスプレイの残骸撤去が進んでいる。

墜落したオスプレイについては、第11管区海上保安本部が、

航空危険行為処罰法違反で捜査に着手している。

しかし、米軍によって部分解体され、証拠隠滅されてしまえば、

後に解体部品を見せられても捜査も原因解明も困難であろう。

この一件を見ても、日本が植民地状態にあることがわかる。

日米地位協定によって、日本の法律が及ばない世界がこの日本には厳として存在するのだ。
http://bit.ly/2gVK3MP


12月16日には、放射性物質が積んであったのか、

それとも機体部品の一部に放射性物質が使われていたのか、

米軍関係者が福島第1原発で見るのと同じ白づくめの防護服を着てオスプレイの解体撤去作業を始めた。

この理由についての説明は何もない。

ただ、墜落直後に、放射性物質が漏れているので近付かないようにという警備の注意があったことは、

ネット上にも投稿されていた。

こうなると、オスプレイ墜落の恐怖は尋常ではない。

おそらくパイロットたちが、あの激しい損傷で、2名の怪我程度ですんでいるのは、

空中で制御不能になり、墜落するとわかった時点で、放射性物質の不安もあり、

機体からできるだけ遠ざかるためにパラシュートで脱出したものと思われる。

この重要な事故に対して、日本だけ、できるだけ軽微に見せかけようとして、

「不時着」と評価し、国民の洗脳に努めている。

しかし、米国の主要メディアは、米軍準機関紙「星条旗」新聞、

米海兵隊専門誌「マリンコータイムズ」を含めてすべて「墜落」と報道している。

それだけではない。米軍岩国基地所属のFA18戦闘攻撃機の高知沖墜落をも採り上げ、

1週間以内に米軍機が墜落事故を起こしたことを報道している。

日本のメディアは隠すこと、小さく括ることに懸命だ。

日本の大手メディアは、米国以上に米日1%の利権メディアなのである。

今回のオスプレイ墜落事故の規模を、米海軍安全センターは、最も重大な「クラスA」に分類した。

このクラスAという評価は、被害額が200万ドル以上の場合と、死者が発生した場合に該当する。

今回の場合、死者は出ていないので、被害額が8060万ドル(約95億円)だと見積もられた結果である。

これに対して、日本政府の対応には国民を守ろうとする意思がまるでない。

15日に、沖縄を訪れた若宮健嗣防衛副大臣は「陸地部分では大きな事故につながるが、

パイロットが洋上に出て、なんとか浅瀬で着水できた。不幸中の幸いだ」と述べた。

若宮は、墜落現場では「(パイロットの)判断で人けがない場所に落ちたんですね」と語った。

これは、在沖米海兵隊トップのニコルソン四軍調整官が、

沖縄の怒りに火を付けた「パイロットは住宅、住民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」を

彷彿させる感想である。若宮はわずか7分であたふたと現地を後にした。

若宮にも、ニコルソンに似たような植民地意識を感じる。

報道によると、墜落現場までは歩いて約15分の距離なのに、

若宮は目の前で墜落した機体を見ることもなく、沖縄県民への謝罪を述べることもなく、

そそくさと現場を立ち去った。

傑作は、「「人けのない所に落ちた」という若宮の発言について、

「当日はイザリ漁をしようとしている人もいて被害が出た可能性を指摘されると

「米軍から情報を聞き取りたい」と答えた」(『琉球新報』)ということである。

米軍の情報の方が優先されるらしい。

いずれにしても、「不幸中の幸い」とは、こういう場合に使う言葉ではない。
http://bit.ly/2gVFguu


沖縄の不幸は続くだろう。北方領土をロシアに貢いだように、沖縄は米国に貢ぐ。

それは、自民党が対米隷属を党是としているからだ。

そのためには国民の不満を一定程度に抑えなければならない。

それで弱者としての沖縄が、犠牲の島として選択されたのである。

沖縄だけが差別され、犠牲を強いられねばならないのである。

この理不尽を解消していくひとつの手段として、

今後、米軍絡みの事件・事故が起きて、米軍に抗議するときは、工夫する必要があるだろう。

ひとつは、東京の大手(「記者クラブ」)寿司友メディアは、政府広報機関にすぎないから、

国連、外国特派員協会、独立系メディア、市民メディア、フリーランス、ブロガーにも幅広く声を掛け、

公開の場で抗議するのである。

今回、翁長雄志が、なんちゃって防衛相の稲田朋美などに抗議しているが、

それより国際世論に理不尽な現実を広く訴える。その道を模索するべきである。

ところで、日本にとってきわめて重要な北方領土問題が、ほぼ同時並行して起きた。

訪日した相手がプーチンとあれば、世界も競ってこの話題を採り上げると思いきや、

騒いでいるのは日本だけだった。

安倍晋三が総理になってから、日本の地盤沈下が凄まじい。

今回のプーチン来日でも、相手がもっとも動向の注目される国際的人気スターであったにもかかわらず、

ほとんど国際的な関心を惹かなかった。

『第四メディア』でも『マスコミに載らない海外記事』でも、

18日現在、まったく採り上げられていない。

現在、国際的な関心の中心はシリアのアレッポ解放であり、米大統領選での、ロシア関与の問題である。

共同記者会見でも、ロシアの記者が真っ先に訊いたのは、シリア問題だった。

共同声明も出なかった。東京の大手(「記者クラブ」)陰謀メディアが共同声明を粉飾しているのは、

ただのプレス発表である。

今回、安倍晋三は、北方領土をロシアに献上し、あまつさえ3000億円の経済協力を献上した。

これはいつもの安倍晋三の手法である。国民の税金を日本国民のためには使わない。

官僚とグローバル大企業のために使うのである。

日本ではまだ伝えられていないが、これは今後、さらに拡大していきそうだ。

『Sputnik日本』(12月16日)が「露日協力の大規模深化」と題して、次のように報じている。

「プーチン大統領訪日に合わせ露日企業が68の文書の調印を行った。

ガスプロムは三井、三菱、JBIC・国際協力銀行と戦略的協力に関する合意を結んだ。

「ヤマルLNG」はJBICとの相互理解覚書を交わし、融資に関する合意を結んだ。

ロスネフチは極東ガス化学工場の建設プロジェクトの技術・経済的基盤に関する日本との協力について

合意に調印した。またロシアの大陸棚における化石燃料の調査と採掘について日本企業と合意を結んだ。

「ロシア郵便」と日本郵便が経験交換と協力拡大について合意した。

また露日は原子力エネルギー平和利用協力についても覚書を交わしている」
http://bit.ly/2hdOu1z

(引用終わり)


これまでの日本の対露姿勢は、領土返還があって、しかる後に平和条約があるというものである。

ところがこれがくるりと180度転換して、

領土返還がなくても(というかそれへの言及が消えた)平和条約を結ぶというのである。

しかもその前に経済協力が置かれ、早々と3000億が差し出された。日本側の国辱的な大敗北である。

これまで日本は、ロシア法の下での、北方四島での共同経済活動を行うことは、

ロシアの主権を認めることに繋がるとして拒否してきた。それがすべて瓦解した。

北方領土は献上されたのである。

換言すればプーチンの大勝利である。

(1)日露の共同経済活動、(2)信頼関係の構築、そして(3)平和条約の締結にいたる戦略。

まるで加害者は日本であり、謝罪のために貢ぐ道筋になっている。

最初の経済協力については、ロシア法のもとでの経済協力、

経済活動であることをプーチンは明言している。

つまり北方四島はロシア領土であることを認めたうえでの経済活動になる。

もしこの共同経済活動をしなければ、信頼関係の構築を拒否したことになる。

それを何十年もやらされて、信頼関係の構築がなされるというのだ。

その頃には、日本のグローバル大企業には愛国心など何もないので、

金儲けだけに夢中になっているだろう。

そこで平和条約の締結となる。もはや誰が領土問題など口にするのか。北方領土は献上されたのである。

ここでロシアの側からこの問題を考えてみる。すると、背景に米国の陰がちらつくことになる。

わたしは有料メルマガ『兵頭正俊の優しさ出前』の

12月14日号「オスプレイ墜落とプーチン来日に見る安倍外交の敗北」で、

プーチンが来日する前にこの交渉が失敗することを述べた。結果はわたしの予測したとおりになった。

失敗する根拠として、(1)日本はロシアに経済制裁をしている国であって、

ロシアにとっては加害者になっており、それでいて領土の返還など、頼む方が愚かなのだ、ということ。

(2)現在、ロシアが、もっとも重視し、信頼している外国は中国であって、

その中国を安倍政権は敵視しているから、ロシアは日本と必要以上の外交関係をもてない、ということ。

(3)かりにプーチンが四島を返還しようとしたら、その段階でプーチン政権は倒される。

この状況認識を安倍晋三が欠いている、ということ。

(4)アジアの分割統治が、米国の国是であり、その戦略のかなめに日本はおかれている。

日露、日中の反目対立は、ともに領土問題が前提になっているが、

それが解決することは米国が許さない、ということ。

今回、来日したプーチンが、しきりに信頼関係の構築と説いた背景には、

返還した北方四島に、米軍基地が置かれる可能性への警戒心と恐怖心とがある。

この問題を明確にクリアしない限り、領土など返ってはこないのだ。

世界の日本認識は、米国の傀儡国家、米国にNOといえない従属国、金を差し出す国、

実質的な植民地ということである。

米国から真に独立し、自立して対等な関係を築かなければ、

ロシアの信頼を得た北方領土問題など、ないのである。

今回の北方領土献上も、安倍晋三の対米隷属が、究極の形で露出したものである。

つまり、次期米大統領トランプとプーチンの友好を見越して、

北方領土をロシアに献上し、日露の共同経済活動で米国におもねったものだろう。

安倍晋三の無知と嘘に基づく日本破壊は、来年も続くことになる。

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