★「安倍首相の真珠湾訪問、現職初」の報道。
朝日「誤報でした」との謝罪はないが、「誤報」であることを裏付ける事実を報道。
「皆で誤報しても怖くない」。
官邸、省庁説明を検証なしに報じる体質が誤報を招いた。-(孫崎享氏)

A:事実関係 16日朝日新聞13面は「安倍首相が現職初」の報道」との標題の下、次の報道を行った。

「安倍首相は今月5日、真珠湾訪問を発表。

朝日新聞を含む複数メディアが“現職として初”と報じた。

その後吉田首相が真珠湾を訪れていたとの指摘もあり、朝日新聞は当時の資料などを調べた。

ワシントンの米海軍歴史センターで朝日新聞が入手したラドフォード米太平洋司令官(当時)の日報によると、

ラ氏が1951年10時45分吉田氏の表敬を受けたとの記載があった。

1980年に出版されたラ氏の回顧録によると、司令部の建物前からは真珠湾が見下ろせ、

その司令部一階にあるオフィスで、ラ氏の飼い犬を抱き上げたエピソードなどが紹介されている」

B:評価

・朝日新聞は自己も含め、多くのメディアが、真珠湾訪問を、“現職として初”と報じた。

その後吉田首相が真珠湾を訪れていたとの指摘もあり、朝日新聞は当時の資料などを調べ、

今回、真珠湾訪問を、“現職として初”とする報道を否定する事実を報じた。その努力を評価したい。

・他方“現職として初”は一面トップで大々的に扱われ、

これを読んだ読者のどれ位が今回の13面の記事を読んだか。

・併せて「誤報した」との認識も、謝罪も直接には紙面に出ていない。

・それより重要なのはなぜ誤報が出たのかということの検証が報じられていないことである。

今日大手メディアには官邸、省庁の説明には何の検証も躊躇もなく掲載する姿勢が身についた。

ここから、起こるべくして起こった「誤報」である。

「皆で渡れば怖くない」「皆で誤報しても怖くない」か。

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