★翁長氏実質基地容認姿勢に物言わぬ新報タイムスー(植草一秀氏)

暴政を排除するために最も有効な手法は

民主主義の活用

である。

具体的には、

選挙で議会の議席構成を変えること

が何よりも有効だ。

安倍政権は暴政を加速させている。

TPP批准案・関連法案

年金カット法案

カジノ法案

などを、審議を尽くさぬまま、数の力で押し切る姿勢を示している。

NHKは臨時国会が大詰めを迎える12月11日の「日曜討論」で、各党代表者による政治討論を行わずに、

高齢者ドライバー自動車運転事故

に関する討論を行った。

TPP関連法案の強行採決、カジノ法案の是非、年金カット法案の是非という、

国政上のお最重要課題があるなかで、この問題に関する政治討論を行わなかった。

NHKの解体が必要である。

現在のようなNHKに対して、テレビ設置者にNHKとの受信契約締結を義務付けることは正当性を持たない。

NHK放送をスクランブル化して、受信契約締結を任意制に移行させるべきだ。

そのためにも、議会の議席構成を変えなければならない。


この国会でカジノ法案を強行可決する場合、公明党は来年夏の東京都議選で大敗することになる。

都議選でカジノ法案の是非が最重要争点として取り上げられることになるだろう。

年金カット法は、年金加入者の権利を侵害するもので、強引に押し通すべきものでない。

TPP批准案および関連法案は強行採決されてしまったが、

このことは、安倍政権が究極の売国政権であることを人々に知らしめる結果をもたらした。

日本の主権者の多数が、

「安倍政治を許さない!」

と考えるなら、その判断、意思を国政に反映させなければならない。

そのために民主主義を活用しなければならない。

民主主義を活用して、主権者多数の意思を現実政治に反映するには、選挙に勝つことが必要である。

衆議院選挙は「小選挙区制度」を基軸にして実施されるから、

この小選挙区制度で勝利するための方策を検討しなければならない。

具体的には、政策を基軸にして、党派を超えて、候補者を一本化して、

この候補者に主権者の投票を集中させることだ。

これを実現できるのは、主権者自身しかいない。


沖縄、鹿児島、新潟の県知事選で、この方式が成功した。

安倍自公政権側が擁立した候補者に、

安倍政権に対峙する主権者側が擁立した候補者が打ち勝ったのである。

極めて大きな成果が生まれたと言える。

しかし、選挙は、現実を変えるための

「入口」

であって

「出口」

ではない。

主権者が連帯して選挙に打ち勝つという成果を獲得しても、それでゴールではないのである。

選挙は「ゴール」ではなく「スタート」と言うべきだろう。

主権者の連帯によって獲得した勝利が意義を持つのは、

当選した者が、選挙の際の公約を確実に実行したときである。

選挙に勝ちながら、公約を実現できない、公約を実現しようとしないなら、意味はなくなる。

2012年の総選挙に際して、野田佳彦氏は

「シロアリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい」

と大声で叫んだ。

その野田佳彦氏が首相に就任して、

「シロアリを退治しないで消費税増税を強行決定」した。

日本政治刷新の偉業が水泡に帰した最大の原因がここにある。

鹿児島県知事による川内原発再稼働容認

沖縄県知事による高江ヘリパッド建設容認、辺野古米軍基地建設容認の行動を

主権者は黙って見ていてはならない。

この点に厳しく対応しなければ、主権者のための政治実現の目標は、空のかなたに飛んでしまうだろう。


鹿児島では、川内原発稼働停止を訴えて、見事に自公候補を打ち破った三反園訓氏が、

早くも馬脚を現している。

鹿児島県知事選があったのは、7月10日のことだ。

原発稼働阻止を訴えて当選を勝ち取った。

三反園氏は検討委員会に原発反対派の人物も登用すると、記者会見で明言していた。

ところが、三反園知事は検討委員会が結論を出す前の原発稼働を容認。

さらに、検討委員会の人選で、反対派のメンバーを登用するとした発言について、

記憶にないなどのごまかし発言を示している。

私の元には、選挙直後から、

「三反園新知事は、原発稼働反対の鹿児島県民を裏切る可能性が高い」

との情報が寄せられていた。

あまりにも早く、馬脚を現したことに驚きを禁じ得ない。


しかも、その技法があまりにもお粗末である。

記者会見で述べたことなど、映像が残されているわけで、

テレビメディアは、その部分を切り取って繰り返し放映する。

テレビコメンテーターの経歴を持ちながら、簡単に突っ込まれるような行動を示しているようでは、

再選は覚束ないだろうし、早期のリコールに追い込まれる可能性もあるだろう。

この点で、翁長雄志沖縄県知事の技法は、三反園知事よりは上であるが、

沖縄の現実は、知事選の際に懸念した通りのものになっている。

翁長氏は

「あらゆる手法を駆使して辺野古に基地を作らせない」

ことを公約に掲げた。

「辺野古に基地を作らせない」

が公約の核心であるから、翁長氏の評価は、最終的に、「結果」で判断されるべきものだが、

その前に、

「辺野古に基地を作らせないために最大の行動を取っているか」

が重要である。


「あらゆる手法」

のなかで、もっとも有効であると考えられてきたのが、

埋立承認の取消、撤回

である。

したがって、知事選公約にこのことを明記するべきであった。

しかし、翁長氏は頑なにこれを拒絶し続けた。

知事選出馬会見でこのことを問われた翁長氏は、質問した記者に対して

「失礼だ」

と逆切れの対応を示した。

一番痛いところを突かれて、思わず色をなしてしまったのであろう。


翁長氏が「埋立承認の取消・撤回」を公約に明示し、

知事就任後、直ちに「埋立承認の取消・撤回」の行動を取っていれば、

辺野古基地建設の現実はまったく違ったものになっていたはずだ。

翁長氏は「埋立承認の取消」に進んだが、そのタイミングは、

辺野古基地建設本体工事着工のための事前協議書を受理した後だった。

本体工事のための事前協議書を受理するまで、埋立承認の取消を先延ばししたものであると推察される。


このプロセスを経て、国は辺野古米軍基地建設の本体工事に着手したのである。

現時点でも、なお、もっとも有効な手法が残されている。

それは、

「埋立承認の撤回」

を行うことである。

埋立承認後の状況変化を理由に、埋立承認を撤回することができる。

これが、

「辺野古に基地を作らせない」

ために、いま、もっとも有効と考えられる手法なのだ。

ところが、翁長氏はその行動を取ろうとしない。

他方で、辺野古米軍基地建設の陸上工事部分について、

驚くことに、これを容認する行動を示しているのである。


他方、高江ヘリパッドについて、翁長氏は、知事選に際して、

「高江ヘリパッドでのオスプレイ離着陸に反対する」

ことを明言している。

ところが、米国と安倍政権は高江ヘリパッドにおけるオスプレイ配備の方針を崩していない。

この現実に対して、翁長氏は政府に対して、

オスプレイの配備がある限り高江ヘリパッド建設に反対するとの意思を一度も表明していない。

北部基地が返還されることを根拠に高江ヘリパッド建設を事実上容認するスタンスを示しているのである。


このような現実が明らかになっているいま、何よりも大事なことは、

翁長氏の知事当選に尽力した人々が、翁長氏に対して、行動の是正を迫ることだ。

「あらゆる手法を駆使して辺野古に基地を作らせない」

ことが翁長氏の公約であり、また、

「オスプレイが配備される高江ヘリパッド建設を容認しない」

ことが翁長氏の公約なのである。

できることを、最速のスピードでやり尽くして、しかし、結果が出ないのであれば、

翁長氏を追及することは酷であろう。

しかし、

できることもやらずに、

やることは迅速でなく、遅れ遅れに実行しているなら、

この行動を是正することを、選挙での勝利をもたらした主権者として、

正面から翁長氏に申し入れるべきである。


また、沖縄の有力メディアである、琉球新報社と沖縄タイムス社は、

翁長氏に対して、是々非々の姿勢で対応するべきである。

オール沖縄で勝利した翁長知事だから、何があっても無言を貫く、批判をしないというのは、間違っている。

政治は

選挙で選ばれた者のために存在するものではなく、

選挙で選んだ者のために存在するものなのだ。

翁長氏が主権者に示した公約を本気で守る意思があるなら、

直ちに行動を変えるはずだ。

埋立承認撤回に動き、

オスプレイが離着陸する高江ヘリパッド建設を拒絶する

行動を示すだろう。

琉球新報と沖縄タイムスが無言を貫くことは許されない。

Reply · Report Post