tejinashiP

てじぴー · @tejinashiP

10th Dec 2016 from TwitLonger

『作問のすゝめ』/作問にまつわる(文法以外の)技術について


この文章は「クイズやる人 Advent Calendar 2016」用に作成しております。
思いつきで急遽作成することにしたのですが、本日(2016年12月10日・・・に書き始めたものの、完成時点で既に11日)の枠が既に埋まっているので、過去の日付(12月8日)の枠にねじ込む形で公開します。(企画意図無視でごめんなさい)
http://www.adventar.org/calendars/1990

さて、この文章では「日頃どのようにして作問するか」ということを主眼に置き、私なりのやり方をご紹介したいと思います。
なおタイトルにある通り、ここでは「作問時のクイズ的文法」については省略するものとします。
もちろんこれについても自分なりの考えはありますが、クイズ歴2年半程度の素人があれこれ語るのはおこがましいと思うので・・・。
作問の為の「ネタ集め」であったり、作った問題を保存するフォーマットであったり、そのあたりについて触れていきます。
ただ極めて一般的な事柄が多いので、読んでも参考にならないかもしれませんが、私自身の備忘録を兼ねている面もあるのでご容赦ください。
一番参考になる(?)のは最後の【作成した問題の管理】なので、そこまで読み飛ばしていただいても構いません。


【作問用のネタ集め】
まずは「どんなことを出題するか」ということを決めないと話にならない訳ですが、ネタ集めをする前に「そもそも何故作問するのか」ということについて考えてみましょう。
作問の目的は人それぞれで、たとえば大会や企画を主催したいからとか、他者の大会で問題提供を受け付けているからとか、いつか出題する時に備えてストックしておくとか、自身の勉強の為に作問するとか、理由は色々あります。
私の場合、自身の勉強用という理由が大きく、次点で「問題数が必要になった時(特に問題提供)に備えて」という理由でしょうか。
「問題を提供すると、大会で使用した問題一覧のPDFがもらえる」というオープン大会はいくつかあり(「abc」等)、積極的に提供したいとは思うのですが、日頃からストックしておかないと30問提供というのはなかなかハードルが高いんですよね・・・。(クオリティを無視すればいくらでも出せますが、やはり自分なりに納得できるものを提出したいので)
あとは「作問すると覚える→強くなる」のは明白で、黒坂さんが良い例だと思います。
短期間で強くなった黒坂さんを見習って、最近は日頃から作問するようにしています。
※この文章はスポンサー記事です。

話が逸れました。
作問する理由によってネタ集めの方法も変わるはずですが、大きく次の2種類に大別されるのではないでしょうか。

①自発的に情報収集する
これは多くの問題を用意したい時(主催・問題提供)や自身が勉強したい時に有効です。
以下に具体例を示します。

・私はスポーツが苦手なので、スポーツについて勉強する為に作問をしようとしています。ただし、具体的な種目等は絞っていません。(スポーツ全般が苦手なので)
・おもむろにYahoo!ニュースのスポーツカテゴリを開きます。すると、現在フィギュアスケートのグランプリファイナルが開催中であると分かりました。
・グランプリファイナルの特集記事を開くと、ロシアのエフゲーニャ・メドベージェワ選手が世界歴代最高得点となる79.21点をマークし、首位に立っていると書かれています。
http://live.sportsnavi.yahoo.co.jp/live/sports/figureskate_all/6981
・メドベージェワ選手について調べると、「フィギュア世界女王のメドベージェワ選手がアニメ「ユーリ」の神回・第10話を視聴&驚喜」という、つい昨日の記事が見つかりました。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1612/09/news112.html
・「ユーリとは何ぞや?」ということで調査を続けると、現在『ユーリ!!! on ICE』というアニメが放送中であると分かりました。
http://yurionice.com/

さて、ここまでの連鎖的なネットサーフィンによって、いくつかの事実が分かり、作問用のネタが集まりました。
・現在、フィギュアスケートのグランプリファイナルが開催中である(時事問題)
・メドベージェワ選手が世界歴代最高得点を叩き出した(フィギュアスケート問題)
・現在『ユーリ!!! on ICE』というアニメが放送中である(アニメ問題)
・アニメ『ユーリ!!! on ICE』には、主人公の勝生勇利(かつき ゆうり)と、そのライバルであるユーリ・プリセツキーという、「二人のユーリ」が登場する(『ユーリ!!! on ICE』問題)

ところで、今回の調査はどんな理由でスタートしていたでしょうか。
振り返ると「スポーツについて勉強する為に作問をしようとしている」というのがきっかけだったにも関わらず、時事問題やアニメ問題もカバーすることが出来ました。
何かしらの起点(Yahoo!ニュースでも良いですし、具体的な種目名でも良いです)からスタートし、周辺知識を拾っていくことによって、複数のジャンルにまたがるネタを短時間で集めることができました。
自発的な情報収集は、どこに着地するか分からない一方、予想しない広がりを見せることがあります。

②アンテナを張って、飛んできた情報をキャッチする
これがもう一つのネタ集めの方法です。
あなたが習慣的に行うことの中で、多くの情報を収集できるものは無いでしょうか。
ニュース番組や新聞記事をチェックするとか、ラジオを聞くとか、そういったたぐいのものです。
究極的には、まとめサイトを眺めたり、twitterのタイムラインを眺めたり、そういったものでも構いません。
その中で、「2回以上目にした言葉」や「自分が知らない言葉」があったら、それをメモしたり調べたりする、というただそれだけのことです。
特に難しい作業ではありませんが、自発的に情報収集しない代わりに、自分のアンテナの感度を高めておく必要があります。(あらゆる情報を「流し読み」していては、当然ネタは集まりません)
私は海外ドラマが好きでよく観ているのですが、その中に出てくる警察用語や心理学用語をメモすることが多いです。
専門的な言葉なので作問するにも難しいことが多いのですが、前述①の「自発的な情報収集」では辿り着かない言葉でもあるので、良い収穫です。


【集めたネタの管理】
言ってしまえばどんな方法で管理しても良いのですが、個人的には「オンライン上で管理できて、PCとスマートフォンのどちらからでもアクセスできる」サービスが良いと思います。
私の場合、紙のメモだと情報の保管場所が分散しやすく(常にネタ集め用のメモ帳を持参していれば別ですが)、「スマホでネタをメモ→PCで作問」というパターンが多い為です。
欲を言えば、TODOリストのように「チェックを入れれば消える」ものだとなお良しです。(作問したらどんどん消していく)


【集めたネタの厳選】
集めたネタが必ずしも使えるということは無く、裏取りしきれなかったり、問題文に起こしづらかったり、色々な理由で没になります。
また「自分の周りで出すには難しすぎる/簡単すぎる」ということもあるかもしれません。
しかし注意しておきたいのは、「どんな難易度であっても作問して損にはならない」ということです。
簡単すぎる問題は初心者向け企画で使えますし、難しすぎる問題は大会提出用やペーパー(の後半の難しい問題)の対策になります。
没にする前に、まずは問題として完成させましょう。


【作成した問題の管理】
ようやく本題です。
まず問題を管理する為のツールですが、やはり王道のExcelになろうかと思います。
もちろんExcelも万能ではありませんが(たとえばスマホからは見づらい等)、管理のしやすさや汎用性を考えると、「ベストではないがベター」と言ったところでしょうか。
ここではExcelで問題管理をする前提で、Excelのフォーマット整備について触れたいと思います。

https://twitter.com/tejinashiP/status/807610772415053824
私が現在使用している、問題管理用のExcelフォーマットです。
掲載されている問題と答えはネットで公開されている問題を流用しておりますが、それ以外の項目は再現の為に新規で入力しています。

①番号
単純明快、問題番号です。
不要と言えば不要ですが、「今までに自分が何問作成してきたか」ということが分かるとモチベーションにも繋がるので、記入しています。
なお問題番号は、数字を入力するのではなく「ROW関数」を使用しています。(この例では「=ROW()-2」と入力してあります)
「ROW関数」を使用するとそのセルの行数を返してくれるので、問題を削除したり入れ替えたりしても影響がありません。

②問題
特に注意点はありませんが、せいぜい「折り返して全体を表示する」にチェックを入れるぐらいでしょうか。

③解答
ここの使い方は人それぞれ好みが分かれるところだと思います。
「鈍角」には読み仮名を振ってみましたが、これを④に入れても良い気はします。
その使い分けは「解答欄をすっきりさせる」か「正誤判定しやすいように解答欄に情報を集約させる」か、ではないでしょうか。
それから、この欄はセルの書式設定を「文字列」にしておきましょう。
たとえば「大晦日と言えば何月何日のこと?」という問題があり、答えに「12/31」と入力したとしましょう。
Excelが「12/31」を日付だと理解してくれればセルには「12月31日」と表示されますが、内部的には「2016/12/31」となっており、正確な情報ではありません。
これはまだマシな方で、書式設定次第では「42735」となったり、「0.387096774193548%」となったりします。
Excel上で眺める限りは原因も特定しやすいのですが、これを他所にコピペした場合は手の打ちようがありません。(クイズ問題のbotで、日付と思われる解答が5桁の数字になっている例をよく見かけます)

④解説
これも③と同様です。
「素数」の問題では別解(英語表記)をここに入れていますが、解答欄に入れても問題ないと思います。

⑤文字数
ある事柄について色々な知識を持っていると、あれこれ入れたくなって、情報過多になるということは多々あると思います。
特に問題文の文字数というのは、人それぞれ「スタンダードが異なる」上、自分にとってはそれが普通なので、長いのか短いのか判断しづらい面があります。
これを定量化する為には、文字数の欄を設けておくと、色々参考になるのではないでしょうか。
もっとも、Excel上の文字数と実際の問題文の長さは、必ずしも連動しない(漢字の多用で文字数が少ない、漢字の読み仮名を入れているので文字数が多い、等)のですが、あくまでも参考ということで。
また大会への問題提供の場合、大会によっては文字数制限があることもあります。
「abc」は基本が60文字以内、多くても80文字以内で提出するよう求めている為、スタンダードな早押し問題であれば、私も日頃からこれに準拠して作問しています。(早押しボード用等、特殊な用途であればもう少し長くすることもありますが)

⑥作成日
この欄は、つい最近から設けるようになりました。
時事問題として作成した場合に、これがあると「どの程度新鮮な問題か」ということを把握しやすく、安心して使用することができます。
また時事問題でなくても、時間経過で問題の答えが変わることは多々あります。
作成日を明確にしておくと、こうした事象にも対応しやすくなるというメリットがあります。

⑦出典
作問時、出典(主にURLになると思いますが)は必ず明記しましょう。
自分の勉強用だったり、ちょっとした企画用だったりすると「出典不要では?」と思うかもしれませんが、出典を明記するということは「きちんとした裏取りを行う」こととほぼ同義であり、問題の正確性向上に繋がります。
また大会用の問題提供の場合、出典の明記はほぼ必ず求められます。
「とりあえず作って、時間のあるときに出典を追記する」という方法だと、同じWebページを探し当てるのは意外と難しいことがあるので、作問する時点で記入しておきましょう。
それと「問題の答えに関する出典しか書かない」というのは「全く意味が無い」ので即刻やめましょう。
問題文の前振り一つ一つを裏付ける出典をきちんと記載しなければ、出典の意味を成しません。
記載した例で言えば、「半島=ペニンシュラ」の出典だけでなく、「島=アイランド」の出典も記載しています。

⑧用途
先ほどの例にはこの欄を設けておらず、今現在もこの欄を作るべきか否か悩んでいるのですが・・・。
理由無く作問した場合には不要なのですが、明確な用途があって作問した場合(大会提出用、企画用、等)には、これを明記しておくと便利かもしれません。
私は現在、その情報は⑦に統合して運用しています。(用途を明確にせず作問することが多い為)

⑨問題ジャンル
これも先ほどの例には設けていませんが、分類用の欄があっても良いかもしれません。
「文系・理系・スポーツ・芸術・・・」というジャンルと、「人名・作品名・現象・・・」という問題形式で分ける方法が考えられます。
これらをプルダウンで設定すればジャンル限定等の開催は楽になりますが、一つの問題で複数の区分に該当する場合等で処理に困り、面倒になってやめました。


さて、非常に長い文章になってしまいましたが、私なりのやり方をご紹介させていただきました。
何度も見直しを行って今の形になっているので、多少は効率化していると思いますが、もちろん完全だとは思いません。
「俺はこうしているぞ!」と言った例や、より良いアイディアがありましたら、是非お知らせいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。

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