★北方領土問題、トーン変化。
北方領土問題 菅官房長官「生易しい問題ではない」。
トランプ当選。トランプは不動産関係でロシアとの深い絆。
かつフィン国家安全保障補佐官(予定)もロシアと繫がり。
ロシア側、対日融和のインセンティブ後退ー(孫崎享氏)

A:事実関係

「官房長官 北方領土 政府の基本的立場変更ない」(NHKニュース11月21日 )

菅官房長官は安倍総理大臣とロシアのプーチン大統領との会談について、

「有意義な会談だった」と述べました。

菅官房長官は、プーチン大統領がその後の記者会見で、

北方領土での共同経済活動についても話し合ったことを明らかにしたことに関連して、

「2人だけの会談なので、私から言うのは控えたい。

4島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結する基本的立場に変更はない」と述べました。

そのうえで、菅官房長官は「70年間解決できなかった領土問題なので、

一挙に解決できるような、なまやさしい問題ではない。

1歩1歩、超えていくべきことを超えながら、

4島の帰属の問題を解決して、平和条約を締結するという立場で交渉していく」と述べました。

B:評価

・安倍政権は、プーチン来日で歯舞色丹が返却され、領土問題が一挙に前進し、

これを背景に総選挙に出るという雰囲気を報道機関に流してきた。

しかし、プーチン大統領でも、この時点で歯舞色丹ですら、日本に返還できないことを述べている。

・プーチンをめぐる情勢に関しては、クリミア問題以降、制裁措置を行う西側に反発し、

ロシア国民内に強いナショナリズムが勃興し、それを背景にプーチンの高い支持率があるが、

それは強固なものでなく、ロシア国民が歯舞色丹の返還ですら反対している中で、

強行すれば世論の強い反発にあう。

・プーチンが日本との関係改善に意欲的だったのは、国際社会での孤立がある。

 しかし、トランプによって、この孤立が解消する可能性がある。

このような中、日本との関係改善のインセンティブは後退している。

<トランプ自身がロシアとの関係を持つ(過去の私のツイート)>

トランプは、不動産業を通じ、ロシアの実業家、及び政治家と豊富な人脈を有している。

(1)ニューヨーク・タイムス紙

ロシアセルゲイ・リャブコフ副外務大臣はInterfax に対して、

彼の同僚たちがトランプ陣営と接触していたことを認めた。

(2)bloomsberg:トランプはロシアとのより良い結びつきを歓迎し、

シリアでのISを破るためへの協力の用意がある事、クリミア併合の承認を考慮していると述べた。

(3))bloomsberg

 トランプは過去、ソ連・ロシアとの間で次のような関係を持ってきている。

1987年にレニングラード、モスクワを訪れ、ホテル経営について協議した、

①1997年、トランプはロシアを訪れ、Trump Organizationが、高層建築、モスクワホテル、

ロシアホテルの再構築を含めるホテル事業に関心を持っている旨述べた、

この時期、大統領候補でもあったAlexander Ivanovich Lebedと協力関係にあった、

②1990年代開発業者Howard Lorberとモスクワを訪問している、

③2008年Trump Organizationがモスクワでエリートレジデンス、

ホテル開発に関心を持っていることを表明した、Trump Organizationホテル、

④2013年トランプはモスクワにSoHo 住宅地区開発を行う為、

Aras Agalarovや Alex Sapir と接触している、

⑤トランプはReal Estate Weekly.にロシアでの市場に関心がある、

ロシアの富豪と関係を持ってきていることを述べている。

⑥トランプは2013年ミス・ユニバース・ページェントをモスクワで行い、

プーチンをここに招待していた(最終段階でプーチンは出席せず)

・国家安全保障補佐官に指名されたフィン氏は2015年モスクワに招待され、

晩餐会にプーチン大統領の隣に座るという関係を持っている。

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