★トランプショックに鈍感な安倍首相を震撼させるイアン・ブレマーー(天木直人氏)

米国の専門家たちは、当然のことながら、トランプ氏の勝利について、

日本よりはるかに深刻に受け止めている。

 米国の有数な政治学者であるイアン・ブレマー氏もその一人だ。

 きょう11月11日の日経新聞インンタビュー記事「トランプショック」でこう語っている。

 ソ連崩壊時に匹敵する重要な出来事だと。

 パックスアメリカーナ(米国主導の平和)に終止符を打ち、

世界は本当に指導的な国が存在しない「Gゼロ」時代に入ったと。

 これを要するに、これからの世界は何が起きるかわからない、

何が起きてもそれぞれの国は自らの国益に応じて柔軟に対応するしかないということだ。

 裏を返せば、日米同盟は不変だなどと言っているようでは、世界の流れに取り残されるということだ。

 彼が指摘していた中で次の二点に私は注目した。

 いずれも安倍首相にとって衝撃的な指摘だ。

 ひとつは米ロ関係が「劇的に改善する」と予言していることだ。

 ただの改善ではない。

 劇的に改善すると言っている。

 米ロ関係の改善は、プーチン大統領の来日を控えて北方領土問題の解決や

日ロ経済協力を進めようとする安倍首相にとっては、追い風のように聞こえる。

 しかし実際はその逆である。

 米ロ関係が劇的に改善されれば、日本は、米国にとってもロシアにとっても、用無しになる。

 利用するだけ利用して、あとはどうでもいい国にされるおそれが出てくるのだ。

 北方領土問題など、まったく動かなくなる。

 もうひとつは、トランプ政権のカギを握る人物は、

トランプ氏の長女イバンカの夫であるジャレッド・クシュナー氏だと喝破しているところだ。

 トランプ氏にはアドバイザイーと称する者が多くいるが、トランプに直接会う者はいない。

 共和党の外交専門家たちもトランプ氏とは一緒に仕事をしようとはしない。

 そう言った後で、ブレマー氏は、一族の、しかも有能なクシュナー氏こそが

トランプを動かすことのできる人物だと言っている。

 白紙のトランプを安倍色に染めあげるなどと、

ピンと外れの過信をしているような安倍首相には、トランプ氏は手に負えない大統領になるのだ。

 この日経新聞のイアン・ブレマー氏のインタビュー記事を読んだ安倍首相は、

衝撃を受けて腹痛を起こすに違いない。

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