★英国空軍と自衛隊の共同訓練は完全な憲法9条違反であるー(天木直人氏)

きょう10月23日朝6時のNHKニュースが、英国空軍と日本の空自の共同訓練が始まったと報じた。

 その意義を語る空自幹部の次のような趣旨の言葉が紹介されていた。

 
 英国空軍との共同訓練はアジアの平和実現にとって有意義だと。

 これをNHKは、一切のコメントをすることなく、当然のように報じるだけだった。

 これこそが、なし崩し的な憲法9条違反だ。

 ここまで憲法9条の精神が無視、否定されるような日本になってしまったのだ。

 在日米軍基地は憲法9条違反だと断じた、1959年のあの有名で明快な東京地裁の伊達判決。

 それを、国の安全保障政策は司法の判断になじまないとして統治行為論を持ち出して、

すかさず差し戻しした田中耕太郎最高裁長官(当時)。

 この戦後史の最大の出来事は、裏を返せば、日米安保条約は憲法9条と矛盾することを認め、

その上で、この矛盾を飲み込むしかないという政治的判断が下されたということだ。

 これを私なりに、さらに一歩踏み込んで解説すると、

日本の戦後は憲法9条と日米安保条約という相反する国策を、

昭和天皇の戦争責任免責による天皇制の維持という、もう一つの国策のために受け入れた。

 だから、憲法9条違反である安保体制(すなわち在日米軍容認)は、

法的判断を棚上げして、政治的判断で受け入れろ、

さもなければ戦後の三位一体の国家体制が崩れるという事である。

 さらにつけ加えて言うならば、徹底した反共主義者であった田中耕太郎最高裁長官にとっては、

日本を共産主義の脅威から守ることは司法の判断を超えた、これまた絶対的な国策であるという信念があった。

 この田中耕太郎の判断の適否を私はここでは議論しない。

 百歩譲って、日米安保体制と憲法9条の矛盾を受け入れるとしても、

今朝のNHKニュースが報じる英国(もっといえば米国以外のあらゆる外国)との軍事協力は、

どう考えても憲法9条違反なのだ。

 そして、さらに百歩譲って(二百歩譲って)、

今度の英国軍と空自の共同軍事訓練を日本のあらたな国防政策として憲法9条と両立させるのであれば、

日米安保条約と並んだ新たな条約を英国と結んで、

それを国会で批准し、日本国民の承諾を得なくてはいけない。

 日英共同軍事演習を日本の領土で行うということは、

そこまで大きな日本の基本政策の変更を意味するのである。

 それを、時の政権の考え一つで決定し、自衛官が当然のようにコメントする。

 それをメディアが何の疑義もなく、既成事実のように流す。

 これでは国民は気づかない。

 護憲政党はこの重大な憲法9条違反を国会で一切追及しない。

 私は絶望的な気持ちを抱かざるを得ない。

 絶望的な日本をもう一度、正常な日本に取り戻す。

 この私なりの、かすかな希望を求める最後の試みこそ、

誰もが言い出そうとしなかった新党憲法9条の結党宣言である。

 それはまた、憲法9条を、その他の二つの国策、

つまり日米安保体制と象徴天皇という国策よりも優位の国策としたいという、

私なりの天皇陛下のお言葉の解釈に従った、私なりの天皇陛下の生前退位の意向に応える試みである。

 これに護憲の国民が動かなければ、これ以上私にできることはない。

 私が残された人生をかけて政治的な言動を続ける意味は、もはやなくなる。

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