★民進党を分離しての野党共闘で道は拓けるー(植草一秀氏)

一歩ずつだが、確実に失地を回復し始めた。

7月10日の参院選では32ある1人区で11勝した。

自公および自公補完勢力を向こうに回して、激戦を勝ち抜いた。

選挙区で勝利したのは、

北海道、秋田を除く東北、新潟、長野、山梨、そして三重、大分、沖縄だった。

獲得議席数同数の選挙区が

茨城、東京、静岡、愛知、京都、広島だった。

面積で計算すると、主権者勢力が勝利した地域が国土全体の45%。

自公および自公補完勢力が勝利した地域が46%。

両社同数の地域が9%だった。

面積で計算すると完全に互角の戦いだった。

その地域は東日本に集中している。

戊辰戦争で官軍に最後まで抵抗したのが奥羽越列藩同盟。

この地域で主権者勢力が勝利した。

これ以外では、桑名(三重)、豊後(大分)、琉球(沖縄)で主権者勢力が勝利した。

明治維新は欧州の巨大金融資本が長州を使って日本でクーデターを引き起こしたものである。

だから、明治維新後の日本政治の実権を長州が確保し続けてきた。

その政治は「金を求める政治、金の力による政治」であり、

TPPを推進する安倍晋三政権にまで引き継がれている。


7月10日に実施された鹿児島県知事選では、

九州電力川内原発の稼働停止を求める三反園訓氏が

現職で原発推進の伊藤祐一郎氏を破って当選を果たした。

そして、10月16日の新潟県知事選。

東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題が最大の争点となり、

再稼働反対の姿勢を明確にした米山隆一氏が原発推進と見られる森民夫氏を打ち破って当選した。

鵺(ぬえ)政党の民進党は実質的に原発推進と見られる森民夫氏を支援したが、

選挙戦終盤で情勢が逆転すると、一転して米山氏を支持するかのような行動を示した。

米山氏の推薦を拒絶して自主投票を決定したのは、

実質的に原発推進と見られる森民夫氏を支援する行動だった。

この決定の最高責任者は民進党代表の蓮舫氏である。

原発推進候補を実質支援して、主権者の力でその原発推進候補が落選しそうになったのを見て、

選挙戦の最終局面で米山氏の応援演説に現地入りした。

こんな政党代表は後にも先にもいないだろう。

こんな人物に、支持した候補が当選したなどと言わせるべきでない。

民進党代表は原発推進候補を実質支援して、選挙戦終盤に情勢が逆転したのを確認して、

慌てて米山氏支持に「鞍替え」したのである。

最低、最悪の政治行動である。


この選挙で明らかになったことは、

民進党の「隠れ与党勢力」を排除して野党共闘を組んでも勝利できるということだ。

7月10日の参院選で民進党の獲得議席数は本来25だった。

これを32に押し上げたのは野党共闘の力である。

野党共闘の力がなければ民進党獲得議席数は25だった。

それにもかかわらず、この政党は野党共闘で最大の貢献をした共産党に

十分な感謝の意思を表明するどころか、共産党を批判する言動を続けている。

政治を語る以前の人の道を外している。

次の選挙で、民進党が単独政権を目指すと言うなら、好きにさせるのが良い。

そんなことは地球が逆さになっても実現しない。

唯我独尊の道を進んで消滅するのが関の山だ。

野党共闘の力なくして当選できる民進党議員はほとんどいない。

そのことに気づいて、民進党の側から野党共闘に参加させてほしいと言ってくることは目に見えている。


主権者にとって大事なことは、主権者の意思に沿う政治実現を目指す政治勢力の結集である。

その主権者にとって、党の名前は本質的に重要でない。

大事なことは明確な政策公約なのだ。

「オールジャパン平和と共生」の政治運動は、

「平和と共生」の政治実現を目指す主権者と政治勢力の広い連帯、結集を目指すものである。

民進党でも、共産党でも、自由党でも、社民党でも、どの政党でもいいのだ。

公明党であっても基本スタンスを変えて同じ旗のもとに結集するなら排除されない。

政策を基軸に党派を超えて大きな連帯を作ること。

これが「オールジャパン平和と共生」の目指すところだ。

「平和と共生」の政治実現を、具体的な政策路線に置き換えると、

原発再稼働を認めない

集団的自衛権行使を認めない

TPPに参加しない

辺野古に米軍基地を作らせない

格差を是正し消費税を増税させない

ということになる。

この基本政策で一致する主権者と政治勢力が連帯して選挙に対処し、

新しい主権者政権を樹立することを目指す。

民進党最大の支持母体である連合を仕切る勢力が「御用組合」で、

原発推進、集団的自衛権行使容認、TPP推進、辺野古米軍基地建設容認、消費税増税推進

の姿勢を示す。

そして、民進党議員のなかに、これと重なる勢力が存在する。

この勢力が「悪」であり、民進党の「鵺(ぬえ)」体質をもたらしている。

これらの悪徳衆は連合の御用組合勢力とセットであちら側=既得権勢力の側に移籍してもらう。

これが日本政治を刷新するために最重要の方策である。

連合内部の本来の労働組合勢力は、連合の分裂、分離実現に向けて直ちに行動を開始するべきである。


民進党が「鵺」から脱却して、

主権者側の勢力と既得権勢力側の勢力に分離すれば、日本政治は一気に変化するだろう。

主権者勢力に純化した新勢力は、野党共闘の中核にもなり得る。

共産、自由、社民との共闘体制はまったく問題なく樹立される。

今回の新潟県知事選の図式がこれにあたる。

民進党は既得権益勢力であるという「正体」を現した。

民進党最大の支持母体である連合を仕切っているのが、

電力、電機、鉄鋼、自動車

の御用組合であり、この御用組合は労働者や主権者国民の利益拡大をまったく目指していない。

原発稼働推進、集団的自衛権行使容認、TPP推進、辺野古基地推進、消費税増税推進

なのだ。

これと表裏一体の議員が民進党内部に巣食っている。


蓮舫氏が明確にこの路線に反対するなら、新潟県知事選に際して、

米山氏が支持要請をした際に、これを受け止め、米山氏の支持を決定するべきだった。

しかし、蓮舫、野田執行部は、

米山氏の支持要請を拒絶して自主投票を決定したのである。

そして、民進党最大の支持母体である連合の地方組織である連合新潟は、

原発推進候補と見られる森民夫氏を推薦した。

連合新潟を仕切っているのが電力総連であるからだ。

現在の民進党は、この意味で主権者の側に立つ政党ではない。

主権者連合にとっては敵対勢力なのである。

しかし、主権者勢力と敵対して当選できる民進党議員はほとんど皆無である。

民進党が政党として存立するためには、主権者勢力に受け入れてもらうしか道はない。

この道を民進党が選びたいなら、民進党の「鵺(ぬえ)体質」を払しょくするのが先決だ。

民進党は分裂して、安倍側に行く者と主権者側に来る者とに分かれるべきだ。

平和と共生の政治実現を目指す連帯運動では、民進党議員を選別することが必要不可欠である。

政策公約を明示してもらい、その基本政策によって民進党メンバーを分類する。

こちら側に来るメンバーとは連帯を形成できる。


新潟県知事選で自民党は共産党を誹謗中傷するビラを散布した。

しかし、新潟の主権者はそのようなプロパガンダに影響されなかった。

主権者の側の洞察力が上昇している。

一歩ずつの前進だが、辞退を大転換させる素地は確実に整い始めている。

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