★国民を不幸にするTPP拙速批准絶対阻止!-(植草一秀氏)

11月30日までの日程で開かれている臨時国会で安倍政権が

最重要法案と位置付けているのがTPP承認案である。

衆議院TPP特別委員会理事に任命された自民党の福田照衆院議員は

9月29日に同氏が所属する二階派の会合で

「この国会ではTPPの委員会で西川(公也)先生の思いを、

強行採決という形で実現するよう頑張らせていただく」

と発言して同委員会理事ならびに委員を更迭された。

審議も始まる前から「強行採決」を明言するなど前代未聞のことである。

メディアはかつて小沢一郎氏に対して

「数の論理をふりかざす」

と激しく批判したが、「数の論理」を振りかざして暴走を続ける安倍政治に対してはまったく批判しない。

政府の御用機関に成り下がるマスメディアの惨状が

日本政治の惨状をもたらす元凶になっていると言っても過言ではないだろう。

TPPは日本の主権者にとって最重要の事項である。

昨年9月19日に戦争法制=安保法制が強行制定された。

日本の主権者は安倍政治の暴走に異議を唱え、

8月30日には10万人を超える主権者が国会議事堂を包囲した。

主権者の多くが「安倍政治を許さない!」の思いを共有し、積極的な行動を取り始めている。

戦争法制を廃止することは無論重要なことだが、

TPP批准を阻止することも、重要性において、まったく劣後しない。


TPPは単なる関税引き下げの協定ではなく、諸制度、諸規制全般に重大な影響を与える

「経済版の憲法」

と言ってもよい条約である。

「経済版の憲法」

であっても、内容が良いものなら導入は歓迎すべきだ。

しかし、内容が日本の主権者にとって重大な害悪を与えるものであるなら、

日本の主権者はその批准=承認を阻止しなければならない。

TPPは分かりにくく、マスメディアがTPPを良いものとしてウソの情報を流布するために、

正しい情報が広く主権者に行き渡っていないが、客観的に正しく評価する限り、日本の主権者にとって

「ほぼ害悪だけの」

条約である。

しかも、その「害悪」の程度が深刻すぎる。

笑って済ませる話ではない重大な害悪だらけの条約であると言える。

だから、この臨時国会で安倍政権が「数の力」でこの承認案を押し通すことを絶対に許してはならない。

そのためには、主権者が立ち上がって行動することが重要である。

このような重要な審議でありながら、野党第1党である民進党の姿勢は国民の不信を招くに十分なものである。

民進党支持母体である連合内部において、

電力、電機、鉄鋼、自動車の各業界労組は原発やTPPに賛成しているのではないかという疑義が

持たれているが、民進党は参議院予算委員委員に自動車総連出身の磯崎哲史氏を起用して

テレビ中継の入る予算委で質問に立たせたが、

TPP反対どころかTPP賛成ではないかというような質問を展開した。

こんな国会審議を実行してTPP批准案を拒絶できるのか。

主権者は民進党の行動を厳重に監視する必要がある。


10月15日の土曜日、東京港区の「芝公園23号地」
(JR「浜松町」12分、都営地下鉄三田線「御成門」5分)
https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/map001.html

において、

「TPPを批准させない!10.15一万人行動」

が実施される。

スケジュールは以下の通り

プレイベント:11:30~12:00
中央集会:12:00~13:15
銀座デモ:13:30~16:00 
※デモコース 
芝公園~新橋駅横~銀座~東京駅手前・鍜治橋交差点(JR東京駅近く)

さわやかな季節の週末の貴重な時間であるが、

安倍政治の暴走を防ぐには主権者である市民が連帯して行動する必要がある。

集会にはTPPに反対する野党代表者も駆けつけて、TPP批准阻止の意思を確認する。

一人でも多くの主権者が参集して、国民のいのちとくらしを破壊するTPPを断固阻止しなければならない。

多くの主権者はTPPの詳細を知らないと思われる。

その理由はTPPが複雑であることも影響しているが、より重要な背景は、

TPPの内容が隠されているからである。

国会審議といっても、黒塗りされた資料が提示されて、

「この資料は海苔弁当である」

などの批判が渦巻いているだけに過ぎない。

審議時間がすでに長時間に達していると言っても、

実質的な審議がまったく行われていない

のである。

安倍政権は主権者がTPPの内容をよく知る前にこれを押し通すことを意図しているのだ。

それほど「やましい」という自覚があるのだ。

内容も明らかでない条約案を押し通す理由は完全に皆無である。

これこそ

「狂気の沙汰」

と言うよりほかにない。

一人でも多くの市民が1万人行動に参加して、安倍政治の暴走にブレーキをかけなければならない。


TPPの重大問題が三つある。

第一は、TPPの全体像、詳細がはっきりしないこと。

第二は、TPPに関する情報が隠蔽されていること。

第三は、TPPが国家主権を奪うものであること。

これが問題だ。

第三の問題をもたらしているのはISDS条項と呼ばれる取り決めだ。

投資を実行した資本が、

当該国の制度や規制によって損害を蒙ったとICSIDという裁定機関に提訴することができる。

ICSIDは提訴について審理して裁定を下す。

ICSIDが下した裁定が強制力を持つ。

国家といえどもこの決定に逆らえない。

日本のことは日本が決める。

これが本来の基本だが、これが崩壊する。

「日本のことは日本が決める」

というのは、

「日本のことは日本の主権者が決める」

ということだが、これが壊れる。

日本のことを外部のICSIDが決めるのだ。

そして、このICSIDに強い影響力を持つと考えられるのが、世界の巨大資本なのだ。


この巨大資本は自己の利益しか考えない存在である。

この巨大資本が自己の利益を極大化させるために世界に流布しているのが

「新自由主義」と呼ばれる考え方だ。

市場原理、小さな政府、規制撤廃、民営化

などを「絶対善」として、経済活動をこれらの諸原則だけで運営しようとするものだ。

つまり、日本の諸制度、諸規制が、

グローバルに市場を支配しようとしている巨大資本にとって都合の良いかたちに完全に改変されてしまう。

そのとき、日本の主権者が、この制度は良くないと訴えても、

それがまったく力を持たない状況が生み出される。

これがISDS条項の採用なのだ。


第一の問題である、全体像がつかめない、詳細がはっきりしないというのは、

実はこの第三の問題と関係している。

ISDS条項が活用されて日本の諸制度、諸規制が完全に改変されるまでに長時間が必要である。

TPPが発効しても、その瞬間には制度変更の最終的な着地点が見えない。

最終的な着地点がはっきり見えないから、批判をする場合の焦点がぼけるのだ。

しかし、

「どのように改変されるかわからない」

ことほど恐ろしいことはない。

また、その最終的な改変を誘導する主体が巨大資本であるなら、その結果が何をもたらすのかは明白だ。

資本の利益はすなわち市民の不利益なのである。


しかも、TPP交渉の内実は4年間隠蔽されることになっている。

TPPの手法そのものが、民主主義のルールを逸脱しているのである。

国会審議で

「海苔弁当」

という批判が巻き起こりながら、これまでのところ、一切の情報が開示されていない。

情報が開示されずに、審議など行えるわけがない。

審議時間が経過したのではなく、委員会の開催時間が経過しただけで実質審議は行われていない。

採決の要件に委員会の単純な開催時間をカウントするべきでない。

「実質的な」審議が行われずに採決することを許してはならないだろう。


10月15日の1万人行動の後も、

毎週水曜日の国会議員会館での水曜日行動が継続して実行される予定である。

http://tpp.jimdo.com/2016/10/05/hijunsoshi/

10月5日(水)~11月30日(水)秋の定例国会行動
(11月23日は祝日のため休み)

進行:17時~18時・国会報告と意見交換(議員会館内会場)
   18時半~19時半・議員会館前抗議行動
(10月19日は総がかり行動のため、上記時間帯が1時間前倒しになります)

会場:
10月19日(衆院第1議員会館多目的ホ-ル) 
10月26日(衆院第2議員会館第一会議室)
11月2日(衆院第2議員会館多目的会議室) 
11月9日(衆院第1議員会館大会議室)
11月16日(衆院第2議員会館多目的会議室)
11月30日(予定:衆院第1議員会館多目的ホ-ル)
(11月23日は祝日のため行動はお休み)

衆院議員会館は地下鉄千代田線・丸ノ内線の国会議事堂前1番出口から数分

主権者の連帯行動でTPP批准を必ず阻止しなければならない。

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