★反原発 主権者連合 絶対勝利3-新潟県知事選ー(植草一秀氏)

新潟県知事選が10月16日に投票日を迎える。

最大の焦点は原発だ。

東京電力柏崎刈羽原子力発電所を再稼働することの是非を問う選挙である。

既得権勢力は、もちろん原発再稼働推進である。

「原発の安全性を確認すること」

を強調していても、本音が原発再稼働にあることは明白である。

原発が推進される理由はひとつしかない。

「巨大利権」

であるからだ。

「国民の生命、自由、幸福を追求する権利を根底から覆す明白な危険」

そのものであるのが原発である。

このことを東京電力福島第一原子力発電所の現実が明白に示した。

国民の生命、自由、幸福を追求する権利を尊重するなら、

原発稼働の選択はない。

それにもかかわらず、安倍政権が原発を熱烈推進している。

「いまだけ、カネだけ、自分だけ」

この「三だけ主義」が安倍政権の基本である。

そして、新潟の主権者が判断を迫られている。


愛媛県の伊方原発が再稼働された。

巨大地震の発生源と言える中央構造線に極めて近い場所に立地する伊方原発。

伊方原発は狭隘な半島の付け根部分に立地しており、事故を引き起こした場合、

原発よりも半島の先端側に居住する住民は逃げ場を失う。

見殺しにされるのである。

それにもかかわらず、10月2日に実施された伊方町町選挙では、

原発推進の元県議・高門清彦氏が原発稼働に反対する西井直人氏を大差で破り、新しい町長に選出された。

得票数は高門清彦氏が5451票、

西井直人氏が765票

だった。

投票率は71.45%、当日有権者数は8834人だった。

重要な選挙であるが、この選挙に決定権を持つ主権者は8834人しかいない。

地元の住民が原発稼働に積極的であるのは、原発稼働が「巨大利権」をもたらすからである。

しかし、原発が事故を引き起こすときに被害を受けるのは立地自治体だけではない。

フクシマ事故では東日本全土、あるいは日本全土が喪われる危険が表面化した。

現にフクシマ事故のために、10万人を超える人々が移住を迫られる事態が発生した。


立地自治体の了解を必要とするなら、事故を引き起こしたときに、

被害が及ぶ可能性があるすべての自治体の了解を取ることが必要である。

原発が立地する、その場所の自治体の了解だけで原発を稼働させることが正しくないことは誰にでも分かる。

県知事選では県民全体の判断が示される。

「巨大利権」に群がろうとする人々が存在するのは推察できるが、

県民は単なる「利権追求」ではなく、問題の本質を理解して、賢明な判断を示すべきだ。

選挙を通じて主権者が求める政治を実現させるには、選挙の際に、明確な選択肢が示されることが必要だ。

県政の課題は原発だけではないが、原発問題は、突出して重要な問題であると言える。

日本の主権者全体が新潟県民の判断を注目している。

この選挙で特筆するべきことは、

民進党の最大の支持母体である「連合新潟」が、原発稼働反対の候補ではなく、

原発推進と見られる候補を支援していることだ。

そのために、安倍政権に対峙すると振る舞っている民進党が、原発稼働反対の候補を支援していないのだ。

これが民進党の現実である。

日本の主権者全員がこの重大事実を知らなければならない。

民進党は原発稼働阻止ではない、原発稼働推進なのだ。

新潟県民は、原発稼働推進の新知事を選出するべきでない。

原発稼働を阻止するため、原発稼働阻止の方針を示す米山隆一氏を必ず新知事に選出するべきである。


7月10日に実施された鹿児島県知事選で、原発推進の現職候補である伊藤祐一郎がまさかの落選を演じた。

当選したのは元テレビレポーターの三反園訓氏である。

あの、保守王国の鹿児島で、原発推進の与党候補が敗れ、

鹿児島にある川内原発の稼働停止を求めた新人候補が当選を果たしたのである。

三反園氏は反伊藤の保守陣営の票も取り込んだと見られるから、

三反園氏が本当に川内原発の運転停止をやり抜くのかどうか、

鹿児島県民は監視を強める必要があるが、

安倍政権の原発稼働熱烈推進に一定の歯止めが掛けられたことは事実である。

原発リスクは通常のリスクとは異なる。

絶対に冒してはならないリスクというものがある。

それは、リスクが表面化したときの影響の大きさによって判断される。

絶対に避けなければならないリスクというものがある。

たとえ、発生確率が低くても、そのリスクが表面化したときの損失が膨大であれば、

そのリスクを取ることはできない。

これが「リスク管理」の基本のひとつだ。


原発はひとたび事故を引き起こせば、破滅をもたらす恐れがある。

そして、その事故は現実に起きた。

「絶対安全」

とされてきた、その

「絶対安全神話」

が崩壊した。

だから、そのリスクを再度取ることはできないのである。

地震が事故を引き起こす原因として有力なものが、

地震と津波

である。

フクシマはこのいずれか、あるいは両方によって事故を引き起こした。

そして、地震と津波は今後も日本列島を襲う。

だから、原発稼働という選択そのものを放棄せざるを得ない。


しかも、日本の原発は発生し得る地震に対してすら、十分な耐久性能を有していない。

その原発を稼働させるというのは「悪い冗談」でしかない。


それにもかかわらず、原発推進を熱烈に推進している人々は、

「目先のカネに目がくらんでいる」

だけなのだ。


原発を稼働させなくても、重大な障害は発生しない。

CO2が多く排出されるという意見があるが、そもそもCO2と地球環境の因果関係自体がはっきりしない。

少なくとも、原発が事故を引き起こす場合の影響の重大さと比べるなら、

原発稼働を阻止することの方がはるかに緊急性が高い。

新潟では、民進党の支持母体である連合新潟が、明確に原発稼働推進の態度を示した。

はっきり言葉に表さなくても、原発推進と見られる候補を支援し、

原発稼働阻止を掲げる候補を支援しないのだから、そう見ることができる。

日本の全主権者は、民進党の正体を新潟県知事選を通じて正確に読み取らなければならない。

民進党は原発推進と見てよいのである。

民進党の支持母体である連合は労働組合の総連合とされているが、その中核を担っているが、

電力、電機、鉄鋼、自動車

の労組なのである。

共通するのは、

完全なる御用組合

であり、

「原子力ムラ」

の構成員であるということだ。


民進党に所属する議員、民進党から出馬を予定する候補者の多くは、

連合を敵に回したくないから「反原発」を明確にしない。

これが日本政治をダメにしている元凶なのだ。

連合傘下の労働組合のなかには、はっきりと

「反原発」

の旗を掲げている組合がある。

また、

TPP

についても、はっきりと

「TPP断固阻止」

の旗を掲げている組合がある。


そして、連合に参加していない組合の多くが、はっきりと

「反原発・TPP断固阻止」

の旗を掲げている。

全労連加盟の労働組合などは明確にこの方針を掲げている。

この現実を踏まえると、

連合が二つに割れて、

「反原発・TPP断固阻止」

などの方針を明示する勢力は、全労連などと合流することが合理的である。


この問題が日本政治刷新を妨げている最大の問題だ。

公明党支持者と共産党支持者の政策理念、基本的判断は本来近い。

しかし、この両者が反目する状況に置かれている。

既存の組織を一度リシャッフルして、

政策、基本的な政治理念を基軸に、

対立と糾合の図式を根本から整理する必要がある。

新潟県民は原発問題を最重視して、

新潟県の柏崎刈羽原発が再稼働されるのを防ぐために、10月16日の知事選に全員参加するべきである。

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