★米ロ対立の深刻化が北方領土外交の妨げになると書いた読売新聞ー(天木直人氏)

きょう10月5日の各紙が報じている。

 シリア停戦の合意が完全に破たんし、米国とロシアとの対立が先鋭化したと。

 この報道については、私は驚かない。

 プーチンがシリアの独裁者アサドを擁護した時から、

シリア情勢は解決不能になることは、わかりきっていたからだ。

 そして米国とロシアとの関係は修復不能になることはわかりきっていた。

 私が驚いたのは、読売新聞が、この米ロ関係の悪化によって、

日ロ平和条約締結交渉に悪影響が出てくる事を政府が懸念している、と書いていた事だ。

 笑止千万だ。

 何をいまさらそんな事を書いているのだろうか。

 安倍首相は、オバマの再三にわたる忠告も聞かずに、

日本外交は米国には左右されないと覚悟を決めて

プーチン大統領との関係を進めて来たはずではなかったのか。

 シリア情勢だけではない。

 ウクライナ情勢をめぐる米ロの対立はもっと深刻だ。

 それにもかかわらず、安倍首相は日本は米国の言うなりにはならないと言って

プーチン大統領との個人的関係を重視してきたはずだ。

 覚悟の上だろう。

 そして安倍首相の御用新聞である読売新聞はそれを知っているはずだ。

 それとも危ない綱渡りであることを安倍首相も読売新聞も知っていて、ひやひやしているのか。

 たしかに危ない賭けだ。

 いくらオバマ大統領が死に体だからといって、

いくら米国が大統領選挙の真っ最中だからといって、米国を読み間違えたら取り返しのつかない事になる。

 米国を本気で怒らせたら安倍政権など一瞬にして吹っ飛ぶ。

 その事を外務官僚は安倍首相に教えていないのか。

 教えても安倍首相はいう事を聞かないほど自信を持ってしまったのか。

 それとも人事を握られた外務官僚たちは、教える勇気さえ捨ててしまったのか。

 元外務事務次官の谷内正太郎は一体何をしているのだろうか。

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