★激増する五輪国民負担は深刻な政治詐欺だー(植草一秀氏)

日本人研究者のノーベル賞受賞の報が届いた。

暗いニュースの多いご時世。

明るい話題は人々の心を和ませる。

研究者にとって、研究の業績が広く社会から認知され、高い評価を得ることは大いなる喜びである。

研究者でもアスリートでも、永年にわたる努力の蓄積が大きな結果につながることは、大いなる励みになる。

しかし、社会的な評価と人物の価値が常に一致するとは限らない。

社会的には高い評価を得ていなくても、十分に価値ある仕事を積み重ねている人は無数に存在する。

私たちは、社会的評価という一種の色眼鏡を通してものごとを見るのではなく、

自分の目と耳と心によって、ものごとの本当の価値を見出す必要がある。

ノーベル賞を否定する気はさらさらないが、ものごとの本当の価値は、

特定のかたちにあるのではなく、ものごとのそのもの自身にあることを知っておく必要があるだろう。

秋の臨時国会が召集されて補正予算審議が行われている。

補正予算審議と言っても、補正予算の内容を改変するための審議ではない。

一定の審議時間が経過すると採決が行われ、多数議席を占有している与党が政府案を承認して予算が決まる。

予算審議とは形式的なものに過ぎない。

重要なことは、その審議を通じて、政府のさまざまな問題点が浮き彫りにされることだ。


この臨時国会では、TPP承認案が最大の重要案件であるとされる。

TPPは12ヵ国で協議され、本年2月4日に合意文書に署名が行われた。

この最終合意を交渉参加国が国内手続きを経て承認して、初めて発効される。

発効には条件があり、2年間に最低6ヵ国が承認し、

かつ、その承認国のGDP合計が域内GDP全体の85%以上を占めなければならない。

この条件がクリアされないと、TPPは幻に終わる可能性もある。

日本と米国のGDPは域内合計値の15%を上回っているため、

日米2ヵ国のいずれかがTPPを承認しない場合、TPPは発効しない。

米国では現在大統領選が行われているが、民主党のクリントン候補、共和党のトランプ候補は、

いずれもTPP反対の見解を表明している。

オバマ大統領は批准に前向きだが、承認するかどうかの判断を下すのは議会である。

現在、米国議会では上下両院の過半数を共和党が占有しているため、

共和党の意向が重要だが、議会運営の鍵を握る議会議長や各院の院内総務が

オバマ政権下でのTPP批准は困難との見方を示しており、

来年1月で終了するオバマ政権の任期中に米国がTPPを批准する可能性はほとんどない。

新大統領が就任する明年2月以降も、クリントン氏、トランプ氏のいずれが大統領に選出されても、

TPPの早期批准は困難であると見られている。

この情勢を踏まえて日本は対応を決めなければならない。


トランプ氏はTPP反対を明確に示している。

トランプ政権がTPP批准に進む可能性は極めて低い。

他方、クリントン氏は大統領に選出されれば、

TPPの内容を修正したうえでTPP承認に進むのではないかと見られている。

この場合、TPP最終案は現在の合意文書とは異なるものになる。

したがって、現時点で日本はTPPを承認するべきでない。

承認してはならないと言える。

TPPは日本を完全に米国化してしまう制度、枠組みであり、日本は安易にこの協定に参加してはならない。

日本にTPP参加は日本国民に計り知れぬ大損失を与えることが間違いなく、

日本のTPP参加は完全に誤った選択である。

ところが、この重大事実が十分に国民の間に浸透していない。

その浸透していない間に、国会でこれを承認してしまおうというのが安倍政権の判断である。

危険極まりない。

こうした現状に対して、主権者が意思を示してTPP拙速批准を阻止しなければならない。

通常国会に続いて、臨時国会においても議員会館および議員会館前でのTPP批准阻止水曜行動が実施される。

10月5日(水)~11月30日(水)秋の定例国会行動(11月23日は中断)

17時~18時・国会報告と意見交換(議員会館内会場)
18時半~19時半・議員会館前抗議行動
(ただし、10月19日は総がかり行動のため、いずれも1時間前倒しになります)

場所

10月5日(衆院第2議員会館多目的会議室)
10月12日(衆院第2議員会館第一会議室)
10月19日(衆院第1議員会館多目的ホ-ル)
10月26日(衆院第2議員会館第一会議室)
11月2日(衆院第2議員会館多目的会議室)
11月9日(衆院第2議員会館多目的会議室)
11月16日(衆院第2議員会館多目的会議室)
11月30日(予定:衆院第1議員会館多目的ホ-ル)

衆院議員会館へは
地下鉄千代田線・丸ノ内線の国会議事堂前1番出口から数分

また、
10月15日(土)の午前11時半からTPP批准阻止1万人行動が予定されている。

http://nothankstpp.jimdo.com/

11時半~12時プレイベント
12時~13時15分中央集会
13時半~16時(最後尾)銀座デモ
会場:港区芝公園23号地


本日、10月4日(火)には、午後1時半から

東京都永山にあるベルブ永山5Fホールにおいて、講演会

「どうなる?私たちの年金」

http://www.tohto-coop.or.jp/action/block/news/2016/09/post_51.html

が開催される。

私が講師を務めさせていただく。

日時:10月4日(火) 午後1時30分~3時30分

会場:ベルブ永山5Fホール
   東京都多摩市永山1-5

京王・小田急永山駅徒歩3分
(両線とも改札は一つ。改札出て左に見える「グリナード永山」の4Fレストラン街に上がりそこから外に出ると、
正面に 見えるのが「ベルブ永山」)

参加費100円

上記の東都生協サイトでの紹介文を以下に転載させていただく。

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が年金支払いのための大切な年金積立金の株式運用比率を、

2014年秋に従来の倍、外国株式を含めると50%に引き上ました。

そのため2015年4月~2016年6月に限ると10兆5千億円の損失が発生!将来埋め合わせは可能なのか?

事故などに遭ったとき支給される障害基礎年金も国民年金加入が条件であり、

年金は若い方にも重大な問題です!

講師の、植草さんは小泉政権下での郵政民営化や、

りそな銀行つぶしとその後の国営化を厳しく追及中に冤罪被害に遭われ、

大学教授や数々のテレビ番組出演の道を断たれましたが、

〚消費増税亡国論〛等々の数々の著作やブログ・ツイッターなどで活躍中!


主権者の多数が望んでいないオリンピック開催を強引に決定し、

主権者に巨大な費用負担を強制しようとする姿が伝えられている

五輪招致には主権者国民の賛同が不可欠である。

主権者の多数は五輪招致を希望しなかったが、

利権のために五輪招致を推進する勢力は世論調査をねつ造して五輪招致活動を正当化した。

その際に用いられた言葉が「コンパクトな五輪」

だった。

五輪開催の総費用を

約7000億円

としていた。

この金額での五輪開催ですら、主権者国民の多数は反対だった。

それを、ねつ造世論調査でごまかし、五輪招致活動を強引に進めた。

招致活動においては、

「コンサルタント料」

と称して、巨額の賄賂を贈与する活動も行われていた疑いが濃厚である。

この真相解明すら行われていない。


ところが、この開催費用7000億円



3兆円超

に膨張する可能性が指摘されている。

これは、

「詐欺」

である。

日本で最も深刻な詐欺事案は

「オレオレ詐欺」

ではない。

安倍政権の「詐欺事案」だ。


TPPについて、安倍政権は総選挙でどのように訴えていたか。

「TPP断固反対」

「TPP交渉への参加に反対」

と大書きしたポスターを張り巡らせて選挙を戦ったのである。

その安倍自民党が選挙から3ヵ月もたたないで、

TPP交渉への参加を決めた

さらに、各種重要事項を遵守できなければTPP交渉から撤退することを公約として掲げていたにもかかわらず、

その公約に反するTPPを合意に持ち込むのに、最も前のめりの姿勢を示したのが日本だったのだ。

その責任者は「睡眠障害」を語って審議の場から逃走。

事務方責任者は人事異動で海外に転出させられた。

日本は残念ながら

「詐欺国家」

に転落している。


主権者には

「シロアリ退治なき消費税増税」

で巨大重税を押し付け、

さらに、五輪で無用な設備建造のために巨大負担を強いる。

さらに、生活を破壊するTPPに突き進む。

生活保護、社会保障は切り下げられる一方、

国民の老後の生活を支えるはずの年金はどんどん細り、

さらにこれまでの保険料の運用でも巨額損失を計上している。

国民は踏んでも蹴ってもおとなしく黙っているだけと高を括られている。

このような暴走政権、詐欺政権には、選挙の際に鉄槌を下さねばならない。

それが、主権者が主権者自身を守る行動である。

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