★問題本質を全く理解していない五輪組織委森喜朗氏ー(植草一秀氏)

オリンピック、パラリンピックにかこつけて利権に群がる寄生虫が蠢く。

そんな

汚リンピック

は返上するべきだ。

「コンパクトな五輪」

は単に地理的な問題を表現したものでない。

費用の面でも「コンパクト」にすることを謳っていた。

そもそも、日本の主権者は五輪招致に積極的でない。

五輪に注ぐ財政資金があるなら、その前に注ぐべき対象がある。

これがまともな判断力を持つ主権者の判断である。

招致の段階で、東京五輪費用は施設関連費として新国立競技場などの建設等で約3600億円。

これに諸経費を加えて約7300億円としていた。

これが、3兆円を超す可能性がある。

東京都の調査チームの第1次報告書で明らかにされた。

大会組織委員会が見込む収入は5000億円。

残りを誰が負担するのか。

組織委員会の森喜朗氏が私財を提供するなら、森氏の意向通りに計画すればよいだろう。

しかし、森氏が1円でも私財提供したという話は聞いたことがない。


報告書は、都が整備する、ボートとカヌー・スプリント会場「海の森水上競技場」、

バレーボール会場「有明アリーナ」、水泳会場「オリンピック・アクアティクスセンター」の整備を見直すことを

提言している。

また、都や国などの分担のルールを早急に検討すべきだとも提言した。

これに対して、組織委員会の森喜朗会長は、

29日午前8時から文科省で開かれた東京五輪パラリンピック調整会議で、

「それぞれの施設には作る理由がある。

小池氏には『(見直しは)極めて難しい問題だろう』と申し上げた」

と発言したと伝えられている。

森氏は問題の本質はまるで理解していない。

五輪が森氏の私財で実施されるなら、森氏が何を決めても自由だろう。

しかし、都民の税金、国民の税金が投入されるなら、

それは都議会、あるいは国会が判断するべき性格のものだ。

議会制民主主義の根源は財政民主主義であり、

「代表なくして課税なし」

の言葉が示すように、血税の徴収と血税の支出を監視するために議会が設置されているのである。

公金を用いる事業の運営を、私財の取扱いと同等にする人物は、

こうした責任あるポジションから排除されるべきだ。

森氏の更迭がまずは必要なのではないか。


築地の移転は、汐留地区の関係者および築地地区の関係者が

汐留、築地地区の資産価値を高める目的で推進されたものである。

移転先の豊洲は深刻な土壌汚染地である。

この汚染地を法外な価格で東京都が買い取ることは東京都民に対する背任行為になる。

土壌対策費用の大半を東京都が負担し、新市場建設工事においては、

盛り土方式の設計が密かに変更され、工事費用の大幅圧縮が行われた疑いが濃い。

これらの経緯を通じて不正利得が発生している疑いが濃厚である。

また、工事受注に際しては「官製談合」が行われた疑いがあり、

捜査当局は直ちに厳正な捜査態勢を敷くべきである。

すべてが利権の汚泥にまみれた五輪。

だから、仮に実施されるにしても

「汚リンピック」

にしかならない。

プロジェクトを実施するために必要不可欠なものはお金である。

当初の予算見積もりが正確に構築されて、初めて事業は成り立つ。

当初見積もりの金額が4倍になるとしたら、その時点で事業は失敗である。

返上以外に解はない。

「足りなければ国民からむしり取ればよい」

と考えているとしたら、とんでもない間違いだ。

この問題で最初に責任を取らされるべき人物が森喜朗氏であることは間違いないことだろう。


巨大施設を建造するとき、

業者と間に立つ政治屋が資金を懐に入れる。

これが「公共工事利権」である。

施設が出来上がってしまうと、その施設を運営する運営団体が必要になる。

施設の維持管理に費用がかかり、その維持管理に関わる事業者が収入を得る。

同時に施設管理機関が「天下り機関」になり、仕事のない理事職が創設され、多大な費用が発生する。

運営は赤字になり、そこにも税金が投入される。

こうしてダニやシロアリなどが国民の税金に群がる寄生虫になる。

2009年8月15日に野田佳彦と言う人物が大阪街頭で声高に叫んだ言葉を改めて紹介しておこう。


「マニフェスト、イギリスで始まりました。
 ルールがあるんです。
 
 書いてあることは命懸けで実行する。
 書いてないことはやらないんです。
 それがルールです。
 
 書いてないことを平気でやる。
 これっておかしいと思いませんか。
 
 書いてあったことは四年間何にもやらないで、
 書いてないことは平気でやる。
 
 それは、マニフェストを語る資格はないというふうに、
 ぜひ、みなさん、
 思っていただきたいと思います。
  
  
 その一丁目一番地
 税金の無駄使いは許さないということです。
 
 天下りを許さないわたりを許さない。
 それを徹底してゆきたいと思います。
 
 消費税1%分は二兆五千億円です。
 十二兆六千億円ということは、
 消費税5%ということです。
 
 消費税5%分の皆さんの税金に、
 天下り法人がぶら下がっている。
 シロアリがたかっているんです。
 
 それなのに、シロアリを退治しないで、
 今度は消費税引き上げるんですか?
 
 消費税の税収が二十兆円になるなら、
 また、シロアリがたかるかもしれません。
 
 
 鳩山さんが四年間消費税を引き上げないと言ったのは、
 そこなんです。
 
 シロアリを退治して、
 天下り法人をなくして、
 天下りをなくす。
 
 そこから始めなければ、
 消費税を引き上げる話は
 おかしいんです。
 
 徹底して税金の無駄使いをなくしていく。
 それが民主党の考え方であります。」


この発言をした野田佳彦という人物が、その後に何をしたか。

これによって、日本政治は一気に転落した。

野田佳彦という人物は、財務省から、

「シロアリ退治なき消費税増税」に突き進むなら財務大臣にし、首相にすると持ちかけられて、転んだ。

こう見られている。

「シロアリ退治」

の旗を降ろして、あろうことか、

「シロアリ退治なき消費税増税」

に突き進んだ。

このレールを敷いたのは菅直人という人物である。

菅直人、野田佳彦という人物は、現代日本政治を破壊した第一級戦犯である。


シロアリが巣食う国-日本。

その縮図が五輪

汚リンピック

である。

どうしても五輪を開催すると言うなら、費用を当初見積もりの範囲内に収めるべきだ。

それができないなら、開催を返上するべきだ。

小池百合子東京都知事は、豊洲への移転にブレーキをかけた。

しかし、ブレーキをかけただけでは意味がない。

築地・豊洲・盛り土の陰にある

巨大利権と巨大不正

を明らかにして、初めてブレーキは意味があったということになる。


そして、五輪費用について、根本的な転換を実行するべきだ。

組織委員会に権限はない。

主権者は国民なのだ。

組織委員会が何を言おうとも、最後の決定権は主権者国民にある。

間接的には議会が適正な判断を示さなければならない。

安倍政権が国会議席の数の上にあぐらをかいて、

組織委員会の暴走を止めぬなら、最後は主権者国民が安倍政権の暴走に厳しい裁定を下すことになる。

当初見積もりが4倍になるような杜撰な運営を行っている関係者をこの機会に一掃するべきだ。

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