★米国で、現TPPが批准は100%ない。両大統領候補はTPP反対。
推進の共和党の院内総務「上院の年内承認ない」
ライアン下院議長「否決される案の審議意味はない」。
だが日本、今次国会でTPP批准が最優先だという。
この国は本当にどこか狂っている。ー(孫崎享氏)

 今次国会で安倍政権はTPP批准を最優先課題としている。

 こんな馬鹿げた政策はない。米国が現TPPを批准することはない。

 まず、TPP,貿易協定は大統領選挙で、最大の案件となっている。

 共和党候補トランプは明確に反対である。

 民主党候補、ヒラリーの立場は複雑である。

 彼女は基本的にTPP支持である。しかし、民主党大統領候補戦でサンダースがTPP反対を掲げ、激しく追った。

 ここからヒラリーは態度を変えた。

 最初は、「私はTPPを支持していたが、このTPP案は自分の考えるものでないので反対」といった。

 しかしそれでも、攻撃され続けると、「私が大統領になってもTPPは行わない」と態度変更した。

8月11日ミシガン州で演説し”環太平洋連携協定(TPP)は職を奪う。

選挙が終わって大統領になっても反対だ”と強調」(共同)した。

 ヒラリーは本来TPP推進ではあるが、民主党の大多数はTPP反対である。

大統領になってすぐに、民主党議員の大多数を反対に回すことはできない。

したがって、少なくとも大統領期間の前半にTPP批准はない。

 ではオバマが大統領である本年中に批准の可能性はどうか。

 まず米国議会では

①TPP賛否は過去でも極めて拮抗していた。

②共和党議員が推進し、民主党が反対するというねじれ現象であったの状況がある。

 大統領選挙と合わせ、上院、下院選挙がある。

米国国民の反対がある中で、TPP支持を打ち出せば票が減る。そのリスクを冒せない。

 ここで共和党のリーダーたちの動向を見てみたい。

・ライアン米下院議長は8月4日、TPPの米国での批准について、

十分な賛成票を得られる見通しがなければ批准の是非を問う投票を行わないとの意向を示した。

ライアン氏は、批准にあたる実施法案の審議・可決について、

「票が得られていない以上、否決されるためだけに審議を行うことに意味はない」と述べた。

ライアン氏はTPPの合意内容が不十分だった結果、「議会で数十票を失った」と指摘。

農業や労働規制、バイオ医薬品に関する知的財産保護の分野で合意内容を再交渉する必要があると指摘した。

・「アメリカ議会で多数を占める野党・共和党の上院トップ、マコネル院内総務は、

TPP環太平洋パートナーシップ協定について、上院が年内に承認することはないという考えを示している。

マコネル院内総務が25日、地元ケンタッキー州で農業団体との会合に出席し、

「現在のTPPには、深刻な問題がある。ことしは承認されない」と述べたと伝えました。」

・上院金融委員会議長Orrin Hatch,は医薬品特許期間の短縮は問題であるとの立場を示した。

 安倍首相などは、日本がTPP批准を行うことによって米国の批准を促進したいと言っているが、

米国世論が日本が批准して促進されるものではない。

 さらに言えば、27日代表説明で、

安倍首相は「仮に米国から再交渉を求められても再交渉に応ずる考えはない」と強調した。

再交渉なしに米国議会のTPP承認はありえない。

 米国内を見れば、現TPP案は終わった。

 これが米国議会で批准されることはない。

 米国で批准される可能性のないTPPを今国会の最優先する、どこか狂っているとしか言いようがない。

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