★築地・豊洲・汐留と五輪利権をつなぐ点と線-(植草一秀氏)

築地、豊洲、東京汚リンピック、ゼネコン、利権政治屋

これらは一気通貫でつながる事項である。

汚染物質まみれの普通には使いようのない土地。

これを「お上」が高値で買い取ってくれるなら「売り主」は儲けもの。

「売却話」を仕切ってくれた「政治屋」に巨大な「金封」を差し出しても十分におつりがくる。

「築地」というのは「汐留」の隣接地。

「築地」の「市場」が消滅して、「築地」が「ビジネスセンター」として「汐留」と合体すれば、

「汐留・築地地区」が「巨大ビジネスセンター」として価値は激増。

「大手町」に匹敵する「巨大ビジネスセンター」に昇格する。

「ゼネコン」はどこでもいい。

「巨大ビジネス」が転がり込んで来れば、「濡れ手に粟」だ。

「入札」と言っても、形だけの入札で、予定価格ピッタリの札を入れての落札は、いわゆる

「談合」。

取り仕切ってくれた「政治屋」さまに巨大な「金封」を包んでも、十分におつりがくる。

これらを仕切る「政治屋」にとって、こんなにうまい話はそうざらにはない。

「築地」は「築地」だから、

市場は「築地」で再整備するのが筋。

当初は「移転反対」の業者が多かったが、多くの業者がいつのころからかおとなしくなった。

「新銀行東京」

が絡んでいる。


「築地」を移転する方針が定められたのは1999年。

移転先は「豊洲」となったのは2001年。

環境基準の4万3000倍のベンゼンが検出されたのは2008年5月。

豊洲新市場整備方針が決定されたのは2009年2月。

このときは「盛り土」実施方針だった。

「盛り土」が「地下空間」に入れ替わったのは2011年3月から6月の間である。

当初は、盛り土の上に「高床式」施設が建設されるはずだった。

これが、「盛り土」部分に「地下空間」を作り「高床式」にしない設計に変貌した。

2011年6月のことだ。

豊洲汚染地の売買が行われたのは2011年3月。

1859億円が東京都から東京ガスおよび関連会社に支払われた。

しかし、「汚染地」であるから「汚染対策」が必要になる。

東京ガスは汚染対策費の100億円と追加費用負担78億円を支払った。

しかし、汚染対策はこの金額では実現せず、東京都がさらに849億円も投入した。


2011年3月と言えば、あの原発事故と東日本大震災が発生した、まさにその時である。

埋立地では「液状化」現象が発生した。

実際、豊洲新市場敷地においても、百数箇所で液状化が発生したと報じられている。

このなかで、東京都は土地売買を実行してしまった。

しかも、東京ガスが負担した汚染対策費はその後の実費をはるかに下回る金額である。

「不正売買」で東京都が損失を蒙ったとして訴訟も提起されている。

築地、移転、豊洲、土地売買、「盛り土」から「地下空間」への変化、のすべては、

1999年から2011年までの間に生じたことである。

この期間、東京都知事の地位にいた者は誰か。

答えは、

石原慎太郎氏

である。

石原氏は1999年4月から2012年10月まで東京都知事の地位にあった。

築地移転、豊洲決定、土地売買、「盛り土」から「地下空間」への変身は、

すべて石原氏の都知事時代に発生した事象である。

一連の事象の本質を洞察する「カギ」は、これらの事象で「利益を得たのは誰か」という視点にある。


汐留、築地地区に立地する主要企業は

電通

日本テレビ

共同通信

朝日新聞

である。

これらの企業にとって、築地が「市場」から「ビジネスセンター」に変貌することは巨大な「うまみ」である。

石原慎太郎氏の子息の石原伸晃氏は日本テレビに就職した。

そして、日本のメディアを支配しているのが「電通」である。

CIAとの関係も深いと見られている。

築地を整備するのでなく、築地を移転することを誰よりも強く望んだのは電通・日本テレビであると考えられる。


移転先はいくらでもあったが、最初に除外されなければならない場所は

汚染地

である。

汚染地にもいろいろあるが、生命の危険をもたらす物質に汚染されている土地は問題外である。

豊洲新市場敷地は

絶対に除外されなければならない「代表例」として挙げられるような敷地である。

「汚染地」だから「安く買える」と言うが、東京都はまったく安く買っていない。

「汚染対策費」を売り主負担にしないとおかしい。

国がリップルウッドに長銀を売却した時には、「瑕疵担保特約」をつけて、リップルウッドが巨万の富を得た。

東京都が東京ガスから汚染地を購入する際には、この「瑕疵担保特約」がついていない。

東京都民の利益を損なう売買である。


そして、最も重大な問題は、東京都が虚偽事実を公表し続けたことだ。

敷地全体に「盛り土」を行うことが「汚染地対策」の中核だった。

この「盛り土」を実施したとの「虚偽事実」がホームページなどを通じて公表され続けてきた。

議会審議においても、「虚偽答弁」が行われてきた。

今回の都知事選で移転が中断され、新事実が公表されなければ、

この「不正」が闇に埋もれたままになっていたのである。


これらの無数の「疑惑」と関係するのが、東京都の「天下り利権」である。

築地移転、豊洲決定、不正売買疑惑の動きのさなか、

2005年に東京都局長から東京ガス執行役員に天下った人物がいる。

東京ガスに利益を供与し、見返りに天下りポストを東京都が獲得する。

このような見立ても可能だろう。

実はこれが「天下り」問題の本質である。

官僚機構が民間事業者に「利益供与」を行う。

その「見返り」として「天下りポスト」を提供させる。

「天下り」問題は霞が関官庁だけの問題でない。

地方自治体の「天下り」問題の方が、はるかにすそ野が広い。

日本の地方を含めた国家財政支出の規模は十分に大きい。

それにもかかわらず、社会保障が極めて貧困である最大の理由は、

財政支出の大半が「利権支出」に回されていることにある。

この「利権支出」が「天下り」と表裏一帯をなしている。


豊洲新市場の総事業費は2011年度段階での3900億円から約1.5倍の5900億円に膨れ上がっている。

さらに拡大の見通しだ。

これだけの費用を投下したものを取り壊すわけにはいかない。

しかし、取られるべき土壌汚染対策が実際には実行されなかった豊洲を、

生鮮食品を取り扱う市場として利用することは許されない。

別の用途で建造物を活用するべきである。

東京都の職員が活動する施設として利用するべきだろう。

そして、築地市場は築地の地で再整備するべきである。

これが適正な対応方法だ。

東京五輪は、すでに誘致活動段階で「汚染」されている。

東京汚リンピックは開催するべきでない。

一刻も早く、IOCに開催返上の通告を行うべきである。

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