★北朝鮮の代弁者となった武貞秀士を歓迎するー(天木直人氏)

武貞 秀士(たけさだ ひでし)という朝鮮半島の情勢に詳しい学者がいる。

 防衛研修所に36年間勤務し、その後メディアに頻繁に登場し、

いまは拓殖大学大学院特任教授という肩書だ。

 先般のアントニオ榎木の訪朝に同行していた事を、

私はきのう9月17日夕5時半から始まったTBS報道特集で知った。

 武貞氏は防衛研修所に36年間も勤務していたことからもわかるとおり、政府側の立場に立つ学者だ。

 これまでの発言から見てもその事は明らかだ。

 ところがその武貞氏が、きのうの報道では、まるで北朝鮮の代弁役を果たしているような発言を繰り返した。

 いわく、北朝鮮の核実験は日本を標的にしたものではないと北朝鮮労働党幹部は語っていたと。

 目的はあくまでの米国に対する牽制であり、

米国が北朝鮮の安全を保障するなら北朝鮮は核兵器の交渉に応じる用意があると。

 最後は、日本は北朝鮮に対する制裁強化ではなく、二国間対話に舵を切るべきだと発言した。

 これには驚いた。

 さては武貞氏は北朝鮮に洗脳されて帰って来たのか。

 もちろん違う。

 武貞氏は北朝鮮の核開発の進捗状況を見て、どうやら本気でそう思い始めたのではないか。

 そして、私はそれを歓迎する。

 北朝鮮の核脅威を解決するのはそれしかないからだ。

 拉致問題の解決の日朝国交正常化とともに包括的に解決するしかないからだ。

 果たして武貞氏は御用学者仲間を裏切って反政府に転じたのか、

それとも安倍政権の了承を得た観測気球役(バロン・デッセ)を演じているのか。

 私にはわからない。

 私は菅官房長官がアントニオ猪木の訪朝について不快感を示した事を見て、

猿芝居だと書いたが、武貞氏のテレビでの発言も安倍政権の了承を得た上での発言ではないのか。

 安倍首相もまた、制裁強化を叫ぶ一方で、北朝鮮との対話維持を並行して模索しているのではないか。

 安倍首相が拉致家族者と会ったのも、その事を伝える目的があったのではないか。

 そう思っていたら、北京発共同が報じ、それをきょう9月18日の日経が報じた。

 平壌放送は次の通り日本が米国に便乗して対北朝鮮敵視政策を追求しているとして、

「日本の朝日平壌宣言に対する背信行為により、

朝日関係は再び後戻りできない最悪の事態に突き進んでいる」と。

 これは本気の対日非難ではない。

安倍首相がその気になればいつでも二国間の話し合いに応じるというシグナルだ。

 そのことを武貞氏は安倍政権に伝えているいるのではないか。

 すべては安倍政権が今後どう北朝鮮に対応するかにかかっている。

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