★「安保理報道声明」と言う名のごまかしー(天木直人氏)


 国連安保理が北朝鮮のミサイル実験や核実験を非難する時、

最近の報道はみな、やたらに「報道声明」とか「報道向け声明」いう言葉を使い始めた。

 このことに気づいている読者はどれほどいるだろうか。

 声明を発するのはメディアが対象であるのに、

なぜわざわざ報道声明とか報道向け声明などと呼称する必要があるのか。

 私の記憶が正しければ、このような言葉が頻発するのは最近の事だ。

 なぜだろう。

 それは、安保理決議が合意されるまでの、手のいいごまかしであると私は睨んでいる。

 つまり、非難であれ、ましてや制裁は、安保理決議の形を取ると、

常任理事国の全会一致が不可欠で、常に中国とロシアが難色を示す。

 合意までに時間がかかり、合意ができるかどうかもわからない。

 しかし北朝鮮を非難するのは一刻も早いほうがいい。

 だから、安保理決議ではなく安保理の報道向け声明という便法を考えたのだ。

 そして、それがいつかの時点で容易に全会一致で合意されたらか、

次からは、味をしめて、そればかりになったのだ。

 これなら安保理決議の合意に手間取ってもかまわない。

 どうせ決議が出来てもしり抜けになる。

 そんな安保理決議にこだわるより、口先だけでもいいから早く北朝鮮を非難した方がいいというわけだ。

 これからは、スピード性を優先させて、すべて安保理報道声明で済ませるようになるかもしれない。

 国連安保理の形骸化がますます進む事になる。

 私はそう見ている。

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