★ついにロシアがパレスチナ和平の提案をするようになった驚きー(天木直人氏)

きょう9月7日の産経新聞が、モスクワ発共同を引用して一段の小さな記事を載せた。

 すなわち、イスラエルのネタニヤフ首相が

プーチン大統領の中東和平提案を検討している事を明らかにしたという。

 これは大きな動きである。

 イスラエルとパレスチナの中東和平交渉と言えば、

米国が唯一、最大の仲介役であると相場は決まっていた。

 イスラエルと米国の特別のつながりがあったからだ。

 イスラエルに影響力を及ぼす事の出来る国は米国の他になく、

イスラエルがいう事を聞く国は米国をおいて他になかったからだ。

 ところが、ついにロシアが和平提案を行い、イスラエルがロシアの和平提案を検討する時が来たのだ。

 その背景には、もちろん米国の影響力の低下がある。

 プーチンのオバマに対する攻勢がある。

 イスラエルと米国の関係が悪化し、米国がイスラエルの絶対的な庇護役ではなくなり、

それを知ったイスラエルが庇護役を他にも求めるようになった背景がある。

 この動きは決してパレスチナの為に関係国が善意で動いたものではない。

 それにしても、米国とロシアの関係が冷却している中にあって、

イスラエルがロシアの中東和平提案を受け入れるようになったことは注目すべき国際政治の変化だ。

 プーチンのロシアが「公正で持続的」な中東和平を実現できる保証はどこにもない。

 それどころか、シリア情勢をめぐるロシアの対応を見ていると平和実現は無理だ。

 それでも私はロシアの中東和平提案を歓迎する。

 その提案をイスラエルとパレスチナが受け入れ、ロシアの仲介で和平交渉が始まる事を期待する。

 それほどまでに、中東和平は絶望的だからだ。

 それを誰も動かそうとしないからだ。

 ロシアの提案が失敗に終わったところで失うものは何もない。

 イスラエルの非道さとパレスチナの絶望さが一層世界に知れ渡る事になるからだ。

 世界の関心がパレスチナ問題に向かうことからすべてが始まる。

 私はロシアの中東和平提案を歓迎する。

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