★「共謀罪」法案は不可欠だと社説で説いた読売新聞には驚いたー(天木直人氏)

ナベツネは健在なのだろうか。

 そう思わせるほど、最近の読売新聞の社説はおかしくなった。

 きょう8月31日の社説もそのひとつだ。

 何と、「共謀罪」法案はテロの未然防止に不可欠だと書いた。

 これには驚いた。

 過去三度も廃案になった天下の悪法である共謀罪を、

安倍政権は9月から始まる臨時国会で通そうとしている。

 それを、メディアの代表格を自認する読売新聞が堂々と容認し、安倍暴政を援護射撃しているのだ。

 いくらナベツネが安倍首相びいきだといっても、歯止めをかけなければいけない時は反対していた。

 ところが、いまの読売は完全に安倍政権のお先棒担ぎになってしまっている。

 共謀罪は今度こそ強行成立させられるだろう。

 私がそう思うのにはいくつかの理由がある。

 ひとつは何といっても野党の弱体化だ。

 その中でも民進党の体たらくだ。

 本来なら一刻も早く国会召集を迫り、安倍政権の行き詰まりについて徹底追及すべきところを、

犬も食わない代表選挙のために国会開始を9月下旬に遅らせる借りをつくった。

 こんな野党第一党ではとてもまともな国会審議など出来ない。

 ふたつは、テロ対策のためには民主主義を制限する事が当たり前のような風潮が世界を覆っていることだ。

 非民主国家ならいざ知らず、

民主主義を売り物にしてきた西側主要国が軒並みテロ対策で基本的人権を制限し始めた。

 米国はいうまでもない。

 フランスは今でも非常事態宣言を撤回できないでいる。

 そこへ、ドイツのメルケル首相までも、

対テロ戦争に備えて国民に臨戦態勢に入るように呼びかけ始めた(8月28日東京新聞「木村太郎の国際通信」)。

 三つ目には、なんといっても東京五輪の成功だ。

 東京五輪の最大の課題は金メダルをたくさん取る事ではない。

 無事に終えることだ。

 なにしろ世界中から人が集まる。

 二週間以上の長丁場だ。

 東京五輪を無事に終える為に警備に万全を尽くす事に反対する国民はいない。

 そして何といっても今回の提案は4度目であるということだ。

 三度目の正直を通り越して四度目に提案して、それでも成立させられなけば、安倍首相の面子丸つぶれだ。

 そうなれば安倍政権そのものが揺らぐ。

 安倍首相は今度の臨時国会で共謀罪を強行成立するだろう。

 読売新聞の今日の社説はそれを教えているのだ。

 しかし、こんな悪法は成立させてはいけない。

 野党は何としてでも阻止しなくてはいけない。

 野党の正念場である。

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