★米国TPP先送り確定で日本先行批准根拠消滅ー(植草一秀氏)

8月24日付のブログ記事

「TPPの詳細を分かりやすく伝える最良ブックレット」

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-4585.html

ならびにメルマガ記事で紹介したが、TPPを正確に、

そしてよく理解するために最適なブックレットが発行されたので、改めて紹介させていただく。

TPPは私たちのいのちとくらしに直結する最重要問題である。

戦争法の日常生活版と言ってもいいだろう。

マスメディアは米国産牛肉のステーキが安く食べられるようになるとしか伝えないが、

すでに輸入牛肉のステーキは十分に安くなっている。

でも、その安いステーキを食べ続けたら、私たちのいのちが蝕まれることはほとんど伝えられていない。

TPPは日本の主権者にとっては、

「百害あって一利のない」

条約である。

そして、ひとたびTPPに足を踏み入れたら最後、足抜けすることも容易ではなくなる。

日本は国家主権を失う。

日本が国家主権を失うということは、日本の主権者が主権を失うことと同義である。

このTPPを秋の臨時国会で批准することは絶対に許されない。


問題は、TPPの内容が詳しく、そして、正確に伝えられていないことだ。

よく分からない。

それをマスメディアは、あたかも「正義の味方」であるかのように伝える。

また、「正義の味方」のように装う人々のなかにTPP推進の旗を振っている人がいる。

そのような人が推進するものだから賛成してもよいのではないかと思ってしまう人も少なくない。

しかし、その賛成している人々をよく調べてみると、

実はグローバルに経済を支配しようとしている強欲資本=ハゲタカとつながっていることが分かる。

TPPを推進している人は、何らかの意味でハゲタカとつながっている、

ハゲタカの手先であると見て、まず間違いない。

このことをしっかりと頭に入れておく必要がある。

本題に戻る。

TPPを理解する上で最良のブックレットが発行された。

その内容をブログ記事でも紹介させていただく。

『このまま批准していいの?
  続・そうだったのか!TPP 24のギモン』

http://notppaction.blogspot.jp/2016/08/tppq.html

である。


元農林水産大臣の山田正彦氏、

アジア太平洋資料センター事務局長の内田聖子氏などをメンバーとする

TPPテキスト分析チームが取りまとめた分析内容を、分かりやすいブックレットにしたものである。

なんと、ありがたいことにネットから無料でダウンロードすることができる。

現物が欲しい場合には、1部100円で取り寄せることもできる。

申込フォームは

http://notppaction.blogspot.jp/2016/08/tppq.html

素晴らしい資料であるので、この資料を日本全国に拡散することが非常に大事である。

『このまま批准していいの?
 続・そうだったのか!TPP 24のギモン』

http://notppaction.blogspot.jp/2016/08/tppq.html

40ページの小冊子。

TPPについての素朴な疑問や日本への影響を、わかりやすく24のQ&A方式でまとめている。

発行者は学習会やイベントでTPPの問題を考えるテキストとして利用するのにも最適だとしている。

概要は以下の通り

●A5版/40ページ/カラー

●価格:1部100円(送料別。購入は5部以上)

●発行:2016年8月19日

●発行:TPPテキスト分析チーム
山田正彦(元農林水産大臣、TPP交渉差止・違憲訴訟の会幹事長)
内田聖子(アジア太平洋資料センター事務局長)
近藤康男(TPPに反対する人々の運動)
和田聖仁(TPP交渉差止・違憲訴訟の会副代表、弁護士)
山浦康明(TPPに反対する人々の運動、明治大学)
東山 寛(北海道大学准教授)
岡崎衆史(農民連国際部副部長)
坂口正明(全国食健連事務局長)
寺尾正之(全国保険医団体連合会)
布施恵輔(全労連国際局)
三雲崇正(TPP交渉差止・違憲訴訟の会、弁護士)他

●編集:
内田聖子(アジア太平洋資料センター)
奥留遥樹(パルシステム・リレーションズ)

●デザイン:柴田篤元(matricaria.)

●料理・スタイリング:滝本知美(p10)


【もくじ】

○トピックス
Q1.TPPって結局、誰のためのルールなの?
Q2.自由貿易はいいことではないの?
Q3.ISDS条項って何が問題なの?
Q4.日本のような先進国が訴えられることはないのでは?
Q5.アメリカの大統領候補も反対なんでしょ?
Q6.交渉過程が秘密なのは、外交だから仕方ないのでは?
Q7.政府の試算ではメリットもあると聞いたけど?
Q8.じゃあ、TPPはどうやったら止められるの?

○分野別
Q9.農産物は例外があるから守られたのでは?
Q10.漁業にも影響はあるの?
Q11.林業は自由化されているから影響ないのでは?
Q12.国産表示があれば心配いらいなのでは?
Q13.遺伝子組み換え(GM)表示はなくならないの?
Q14.食の安全基準は守られたの?
Q15.検疫がしっかりしていれば大丈夫では?
Q16.医療制度は変わらないんでしょ?
Q17.国民皆保険制度が守られたなら大丈夫では?
Q18.かんぽ生命や共済はどうなるの?
Q19.金融って私たちに関係あるの?
Q20.著作権の分野はメリットもあるんでしょ?
Q21.公共事業や地域経済はどうなりますか?
Q22.公共サービスにも影響はありますか?
Q23.環境に関する政策に影響はありますか?
Q24.私たちの雇用は大丈夫?

【ご利用・ご購入のご案内】

1.PDF版をダウンロードする(無料)
  http://www.parc-jp.org/teigen/2016/tpp-q&a.pdf

2.購入する
 1部100円で、購入は5部以上。送料別途。
 ご注文後、ブックレットとご請求書をお送りしますので、到着後1週間以内にお振込みください。
 ※送料について
 10部まで:全国一律85円
 20部まで:全国一律170円
 21部以上:宅配便実費(地域により異なります)
 ★申込フォーム
 http://notppaction.blogspot.jp/2016/08/tppq.html

●問い合わせ
特定非営利活動法人 アジア太平洋資料センター(PARC)
〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町1-7-11 東洋ビル3F
TEL:03-5209-3455 FAX:03-5209-3453
E-mail:office@parc-jp.org

ぜひ、このブックレットを最大活用していただきたい。


このTPPについて、重大ニュースが飛び込んできた。

米国共和党の上院院内総務のマコネル上院議員が8月25日、

「TPPを上院が年内に承認することはない」

との見解を表明したのだ。

院内総務は日本で言えば、党の議員会長にあたる要職である。

米国では現在、上下両院ともに共和党が多数議席を占有している。

その共和党の上院院内総務が

「TPPを上院が年内に承認することはない」

と発言したのであるから、年内に米国がTPPを承認する可能性は消滅したと考えて間違いないだろう。

1月末にはオバマ大統領の任期が終了する。

つまり、オバマ政権下での米国のTPP承認の可能性は基本的に消えたと言えるのだ。


次期大統領候補のトランプ氏はTPPを絶対に承認しないことを大統領候補受諾演説で明言した。

トランプ氏のTPP反対派筋金入である。

クリントン女史は、民主党支持者の支持を獲得するためにTPP反対を表明しているが、

最後までTPP拒絶を貫くかは不透明だ。

クリントン氏は、TPPを推進する強欲資本から大規模な資金支援を得ているから、

この大資本の意向には逆らえないと考えられる。

米国のマスメディア、そして、日本のマスメディアまでもが、

徹底してトランプ氏攻撃の情報流布を実行している最大の理由がトランプ氏のTPP拒絶にあると考えられる。

トランプ氏は自前資金で選挙活動を展開しており、ハゲタカ強欲資本の命令に従う必要性がいまはないのだ。

だから、明確にTPP拒絶を示している。


クリントン氏が大統領に選出される場合には、最終的にTPP承認に進む公算は極めて高い。

しかし、その場合、新政権はTPPの内容修正を求めることになる。

8月25日の発言で、マコネル共和党上院院内総務は、

「TPPにはいくつかの深刻な欠陥があり、年内は動かない」

と述べるとともに、

「次期政権がTPPの内容を修正する可能性がある」

とも指摘した。

この点に関しては、共和党の実力者ライアン下院議長も

TPPの内容を修正しない限り審議には応じないとの方針を示している。

つまり、米国がTPPを承認する場合には、必ず現在のTPP最終合意文書に修正を加えてくることになる。


このことは、日本が秋の臨時国会でTPPを批准してはならないことを意味する。

つまり、TPPを承認してしまったあとでTPPの内容が修正されてしまえば、

日本にとって不利な条件をむりやり呑まされることになるリスクが高いからだ。

TPPは交渉参加12ヵ国のなかの6ヵ国以上が批准手続きを終え、

かつ、12ヵ国のGDPの85%以上の国が批准手続きを終えて初めて発効する。

GDP比率を見ると、米国が60%、日本が18%を占めており、

日本と米国のいずれか1ヵ国が承認しないと発効しない。

米国の批准なしにTPPは発効しないのだ。

したがって、米国が仮にTPPに参加することがあっても、

TPPの内容に修正を加えることが間違いのない状況下で、

その内容も分からずに日本がTPPを承認することは、明白に国民の利益に反する行為になる。

このことだけをもってしても、秋の臨時国会での日本のTPP批准は正当性のかけらをも有しない。


安倍首相は臨時国会でのTPP批准を強行する姿勢を示しているが、

国民の利益に反するTPP承認は絶対に不当である。

日本の主権者、そして、主権者の利益を尊重するすべての国会議員は、

自民党所属議員も含めて断固とした姿勢で、背徳のTPP承認を阻止しなければならない。

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