★安保法がおかすもうひとつの憲法9条違反ー(天木直人氏)

きょう8月25日の東京新聞が一面トップで書いた。

 稲田防衛大臣は24日、安保法にもとづく新任務に着手することを表明したと。

 国連平和維持活動(PKO)として南スーダンに11月から派遣する自衛隊の交替部隊による新任務の訓練が、

9月中旬から本格的に始まると。

 いわゆる憲法9条違反の「駆けつけ警護」が安保法成立後の最初の任務になりそうだというのだ。

 たしかにこれは深刻な憲法9条違反だ。

 南スーダンのPKOにとどまるだけならまだいいが、米国の戦争に巻き込まれるようになるのは時間の問題だ。

 しかし、この懸念は、野党が共闘して大騒ぎする割には、杞憂に終わるおそれがある。

 臆病な安倍政権と自衛隊は、自衛隊員が犠牲になるような真似は極力さけようとするからだ。

 しかし、安保法の成立によって確実に進む、もう一つの憲法9条違反がある。

 それは米軍に対する後方支援だ。

 8月19日の日経新聞が、小さい記事だが、とても重要な記事を書いていた。

 それを私は見逃さなかった。

 日米両政府は自衛隊と米軍が物資を融通し合う物品役務相互提供協定(ACSA)を

8月中にも改定するという。

 日本に直接攻撃がなくても米軍への後方支援として弾薬の提供ができるようにする改定だ。

 こんな事は、これまでには認められなかったが、安保法の成立によって可能になったのだ。

 誰も気づかないが、

これこそが、安保法の成立にもとづき確実に行われる目に見えない憲法9条違反である。

 そして、それはものの見事に武器輸出禁止三原則の放棄と通底する。

 すなわち戦争の出来る国になるということは、大手を振って軍需産業を儲けさせるということだ。
 
 この物品役務協定の改正案は、8月下旬から9月前半にかけて、岸田外相とケネディ大使らが署名して、

9月末に召集される臨時国会において提出され、成立を図るという。

 ならば、審議はこれからだ。

 まだ時間はある。

 野党は改定を阻止すべく共闘すべきだ。

 共闘は選挙だけでなく、国会審議の場で共闘してこそ、本物の共闘につながるのである。

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