★「核先制不使用政策」への反対発言を否定した安倍首相の不徳ー(天木直人氏)

米紙ワシントン・ポストが、安倍首相自ら米太平洋軍司令官に対し

核先制不使用政策には反対だと伝えていたと報じた事について、

安倍首相はリオに出発する羽田飛行場で、これを否定したらしい。

 この安倍首相の否定発言に先立つきのう8月20日の産経新聞は、

事実の確認もなく無責任な報道をした米紙を批判する論説さえ掲載する始末だ。

 それはそうだろう。

 この発言が事実なら、唯一の被爆国である日本の首相として面目丸つぶれである。

 核廃絶どころか、核兵器を先制攻撃に使わないことすら反対するのだから、平和宣言への裏切りである。

 そして、米紙が誤報や、捏造報道をすることを、私は外務省にいた時に体験的に知っている。

 だから、ひょっとして安倍首相は記者を前にみずから語ったごとく、

「核先制不使用についてのやりとりは全くなかった。

どうしてこうした報道になるのか分からない」というのも、あながちウソではないのかもしれない。

 しかし、問題は、「安倍首相なら核先制不使用には反対だと言いかねない」、と皆に見られていることだ。

 実際のところ安倍首相は、これまでの発言の中で、

中国や北朝鮮に対する米国の核抑止力の重要性について認める発言を様々な機会に述べてきており、

今度の報道でも、やはりそうだったのか、安倍首相なら米太平洋軍司令官にそう伝えかねない、

と思わせるに十分なのだ。

 まさに安倍首相の不徳の致すところである。

 米紙の報道の真偽がいずれにあるにせよ、そのような報道がなされた時点で安倍首相の負けである。

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