★英ジャーナリストが見つけた米国による日米安保条約違反ー(天木直人氏)

またひとつ、日米同盟関係の「不都合な真実」が明らかになった。

 きょう8月13日の東京新聞「ニュースの追跡」が教えてくれた。

 沖縄米軍基地で、米国の海兵隊が英国の海兵隊と合同訓練をしていたというのだ。

 これの何が問題か。

 それは、日米安保条約は日本の施設・区域を米軍に提供するものであり、第三国を対象にしていないからだ。

 そのことを、1971年12月の衆院本会議で、福田赳夫外相(当時)ははっきりと答弁している。

 「安保条約は我が国の施設・区域を米軍に提供するもので、第三国の人に対して提供するものではない」と。

 「第三国の人の訓練をわが国において行うということは許されない」と。

 ところが、2015年1月に沖縄県名護市の米軍キャンプ・シュワブなどで、

米英両国の海兵隊が合同訓練を行っていたというのだ。

 私がこの東京新聞の記事で驚いたのは、

このような重大な安保条約違反を見つけて問題提起したのが、

日本のメディアではなく、ジョン・ミッチェルという英国人ジャーナリストだったということだ。

 そして、この英国人ジャーナリストの情報公開請求に対し、英国防省がその事実を認めたことだ。

 ひるがえって日本政府の対応はどうか。

 防衛省報道室は東京新聞の取材になんと答えたか。

 「在日米軍による施設、区域の使用は日米地位協定に基づき行われていると認識している」

 と答えるのみだという。

 つまり米国が日米安保条約違反を行うはずがないと言っているのだ。

 事実の確認をしないまま、米国を信用する、これ以上ない対米従属だ。

 もう一つの対米従属の外務省は何と答えたか。

 よほど答えに窮したと見えて、日米地位協定室は担当者の不在を理由に回答しなかったという。

 この米英海兵隊の沖縄における合同訓練については、野党は、来るべき国会で徹底追及しなければいけない。

 野党共闘は選挙だけではなく、国会質問でも行われるべきだ。

 もし、日本の知らないところで米英海兵隊の合同訓練が行われていたとすれば、外交上の大問題となる。

 もし日本政府がその事を知っていながら黙認して来たとすれば、これ以上の国民に対する裏切りはない。

 そして日本のメディアもまたこの問題を徹底追及しなければウソだ。

 英国人ジャーナリストに先を越され、しかもそのジャーナリストは英国政府にその事実を認めさせたのだ。

 それでも動かなければ日本のメディアは死んだも同然だ。

 すでに東京新聞が書いた以上、他のメディアが知らないという事は出来ない。

 きょう8月13日に東京新聞が明らかにしたこの米英海兵隊の合同訓練という「不都合な真実」は、

またひとつこの国の対米従属の深刻さをわれわれに教えてくれたのである。

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