★東電が企業として存続し続けている不条理ー(天木直人氏)

少し前に、東電が炉心溶融で原子炉底部に存在する物質をはじめて公開したことがあった。

 百数十トンにも及ぶその高濃度放射性物質はまさに人間の手に負えない怪物だ。

 その怪物に思いをはせる時、東電は一体これから廃炉に向けてどうするつもりだと思った。

 さっそく東電は廃炉費用を政府に求めた。

 政府もそれに応じる方針をほのめかした。

 しかし、費用は廃炉だけではない。

 損害賠償費もどこまで膨れ上がるか不明だ。

 その一方で電力料金収入も確保しなければいけない。

 とてもじゃないが東電は採算のとれる私企業ではない。

 それでも主要銀行は融資を続ける。

 いや、採算の以前の問題として、もはや東電には福島事故の後始末を自力で成し遂げる力はない。

 これを要するに、どう考えても東電はとっくに終わっているのだ。

 それにもかかわらず政府は国有化を拒否続ける。

 東電の破綻を認めると日本経済に与える衝撃が大き過ぎるからだ。

 アベノミクスが吹っ飛ぶからだ。

 しかし、死に体を支え続ける日本の官民の姿は異常で不条理だ。

 この異常で不条理な姿を一日も早く終わらせ、日本は再出発しなければいけない。

 それを決断できるのは、与野党を超えた政治力しかない。

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