★参議院の野党共闘の成功は自民、公明に深刻な影響。
衆議院一人区共闘成立なら自民議席大幅に減少さす。
公明、追い込まれ,山口代表は9条に手を付けないと発言。
逆にこれをうけ、民進党内に党首選びで前原・長島、細野ら共闘崩しの動きー(孫崎享氏)

先の参議院選挙では、自公などの「改憲勢力」が参議院の議席で3分の2を確保し、

自公の圧勝という面が強調された。

しかし、冷静に選挙結果を分析すると、自公には大きい不安状況が出てきている。

自民党の獲得議席は56であったが、これは前回の65議席から大幅減になっている。

大幅減を作り出したのは小選挙区で、予想以上の敗北をしたことにある。共闘は11議席を獲得した。

これは、安倍首相が先頭にたち、

従来にない強力な利益団体への締め付けにも関わらず実現したことによって、打撃は大きい。

11議席の特徴を県内の地域別にみると、

都市部だけではなくて、その他の地域にも平均的に票を伸ばしている。

参議院選挙で野党共闘ができれば、自民党は大きく票を失う可能性が出現した。

だからこそ、この危機をうけて、民主党内に野党共闘を崩そうという動きが出た。

第2自民党としか呼べない人々の動きである。

名前を列記するまでもなく、それは前原氏、長島氏、細野氏、馬淵氏などである。

先の選挙で、共闘で利益を得たのは民進党である。

それを崩そうというのであるから、彼らは民進党のために動いているのではない。

自民党以上に深刻な影響を受けたのが公明党である。

公明党の基盤は「平和の党」である。

安保法制への参加によって、これが大きく揺らいだ。完全に安倍首相から「改憲勢力」と位置付けられた。

これが公明党支持者に大きい打撃を与えた。

選挙期間中創価学会員、公明党支持者が、野党共闘の集会に公然と現れ始めたのである。

すでに、ブログで書いたが次の減少が出た。

「参院選の投開票日の翌11日、

朝日新聞は与党と野党統一候補が戦った1人区の投票行動について報じていた。

各政党の支持層が与野党候補のどちらに投票したのかを分析したのだ。

それによると、「自民候補」と「野党統一候補」に投じた割合は、

自民支持層は86%、11%、公明支持層は66%、24%、民進支持層は7%、90%、

共産支持層は9%、84%──だった。

 つまり、党の方針に従わなかった有権者の割合が

自民支持層で11%、民進支持層で7%、共産支持層で9%だったのに対し、

「鉄の規律」を重んじる公明支持層は24%も離反したのである。

 さらに朝日新聞は〈公明党支持者中、改憲4党に投票した人(66%)の憲法改正への意識は

『必要がない』が36%〉と報じた。

大ざっぱにいえば、改憲4党の投票者の中でも24%(66%×36%)は改憲に反対で、

離反者と合わせて計48%にも達するのだ。」

選挙戦、公明党は「改憲勢力」と呼ばれることを嫌い。「加憲」という言葉を出してきた。

それだけではない。選挙戦後半では山口代表は「憲法9条に手を付けない」と強調した。

選挙戦が終わって、自民党は選挙中の発言は反故にしても支障はないが、

公明党はそういうわけにはいかない。「憲法9条に手を付けない」は安倍首相の思惑とは異なる。

自民、公明は3分の2をとれたから即、憲法改正とはいかない。

とりあえず、

①民進党党首選挙をめぐる動きがどうなるか

②野党共闘の実現に貢献した市民グループの動きがどうなっていくか

③公明党内で憲法論議がどう展開されるか

に着目したい。

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