★ブレアは日本に大量破壊兵器が無かった事を教えたのかー(天木直人氏)

読者のひとりから、月刊「社会民主」という雑誌の8月号に、

成澤宗男氏の「『チルコット委員会』の報告書の真実」と言う興味深い記事を見つけたと、

その記事の添付とともに情報提供を受けた。

 「チルコット委員会」報告書とは、英国のイラク戦争への参戦を検証した独立検証委員会の事である。

 その報告書とは7月6日に公表された260万語に及ぶ膨大な検証報告書の事である。

 成澤宗男氏は週刊金曜日の企画委員を務めるジャーナリストだ。

 成澤氏とは、2010年に出版した「さらば日米同盟!」(講談社)を書く時に手伝ってもらった間柄だ。

 その成澤氏の記事の要旨はひとことでいえばこうだ。

 7年間もかけて検証し、大々的に発表されたこの報告書は茶番だ。

その事は、この委員会が出来た経緯
(ブレアの後任者であり、みずからもイラク戦争に賛成・推進したブラウン元首相が2009年に設置)や、
委員の顔ぶれ(すべてイラク戦争支持者)を見れば明らかだ。
現在の英国に真に求められているのは、
英国をイラク戦争に引きずり込んだブレア首相の戦争犯罪者としての法的処罰である。

 まこと厳しい指摘だが、その通りだろう。

 しかし、私がここで言いたいのはその事ではない。

 成澤氏がこの記事の中で触れている英サンデー・タイムズのスクープ記事の事だ。

 すなわちサンデー・タイムズは2005年5月1日付で

イラク開戦前に英国首相官邸内で開かれた秘密会議(2002年7月29日)の議事録
(いわゆるダウニング・ストリート・メモ)をスクープ報道したことがあった。

 このメモが教えてくれることは、

ブッシュ政権内部は大量破壊兵器が偽情報であることを知っていながらそれを口実にイラク攻撃をした、

その事をブレア政権が知っていたという驚くべき事実だ。

 そこで思い出すのが7月14日の産経新聞の記事だ。

 福田康夫元首相はイラク戦争を支持してくれと英国から頼まれた事を講演で明らかにした。

 その事を私は7月14日のメルマガ第546号
「イラク戦争支持は間違いだったと認めた福田康夫元首相」で書いた。

 当時、小泉政権の官房長官だった福田氏は知っているはずだ。

 ブレア首相が日本にイラク戦争支持を要請して来た時、果たしてブレア首相は正直に、

米国がサダムフセインが大量破壊兵器を持っていない事を知りながら

イラク攻撃をしようとしている事を告げ、それでもイラク戦争を支持すべきだと言ってきたかどうかを。

 それを告げられ、それでもブレア首相のようにイラク戦争を支持したなら

小泉政権もまた戦争犯罪に加担した事になる。

 もし、ブレア首相から何も告げられず、米国の本当の意図も知らずに、

大量破壊兵器があるかもしれないと思って支持したなら、あまりにも軽率であり、無責任だ。

 あまりにも米英同盟追従だ。

 日本がイラク戦争の検証をする時の最大の検証ポイントである。

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