★安倍政治はなぜ「米国の命令に全面服従」なのかー(植草一秀氏)

今日は選挙の投票日。

選挙日当日は選挙運動が禁止されている。

しかし、投票所に足を運ぶことを呼び掛けることは構わない。

日本政治の停滞を招いている最大の要因は、選挙に行かない人が多すぎるということだ。

政治に無関心でも政治に無関係ではいられない。

政治に無関心な人ほど、政治の影響で苦しみを与えられていることが多いと思う。

最近の日本では、選挙に熱心に行く人の比率は5割まで下がっている。

半分の人が参政権を放棄している。

参政権を捨てて、政治によって苦しみを与えられても、文句は言えない。

この半分の人が行動を変えると政治は変わる。

日本が変わる。

日本を変えた方が、これまで選挙に行かなかった人にとっては、圧倒的に良い社会が生み出されると思う。

だから選挙に行くべきだ。

日本の政治は選挙に必ず行く人のうちの半分の人々の意向を反映するものになっている。

利権集団とその周辺にたむろする人々だ。

これはこれで、正当な権利の行使だから悪いとも言い切れないが、

特定の利権集団だけが利益を得て、圧倒的多数の主権者の利益を損なうような政治はやめた方がいい。

国家は巨大なお金を動かす。

人々から税金を強制的に取り上げて、それを財政支出としてバラまく。

この税金の取り方とバラマキ方に大きな問題がある。

良い社会にするには、

能力に応じて税金を徴収し、

最低生活保障ラインをしっかり守るために税金を使う。

これが「良い社会」の政治の動き方だ。

「良い社会」というのは

「社会のすべての人々が、平和に豊かに生きて行ける社会」

という意味だ。

力がある人にはその力に応じた負担をしてもらう。

そのお金で、全員の最低ラインを引き上げるのだ。

北欧の「福祉社会」というのは、このやり方だ。

自由主義を全面否定するのではない。

「自由主義」は守りつつ、力のある人に大きな負担をしてもらい、全員に保証する最低ラインを引き上げるのだ。

しかし、日本の財政はまったく違う。

力のない人から無理やり税金をむしり取り、その集めた税金を特定の利権集団にバラ撒いているのだ。

利権集団とは、

官僚機構であり、

大企業であり、

利権政治屋が関与する特定の事業者である。

特定の事業者は財政支出で甘い蜜を吸う。

この事業者の末端に、おこぼれ頂戴の寄生虫が群がるのだ。

財政支出は本来、最低保障ラインを引き上げるために使われるべきだが、

財政を仕切る財務省が目の敵にして徹底して切ろうとしているのが

この社会保障支出

である。

日本は世界第3位の経済大国で、財政規模も十分に大きいが、国民生活の最低保障ラインは著しく低い。

所得の少ない人に対する生活保護は憲法第25条が保証している生存権に基づくもので、

国民の正当な「権利」だが、生活保護を受給するために役所に行くと、

役所の末端の小役人が生活保護を受給しようとする国民をいじめ抜く。

そのために自殺を図る人も出てくるありさまだ。

これが安倍政治の現実である。

政治を私物化して、利権集団とおこぼれに群がる寄生虫だけが栄えれば、

それ以外の国民が死のうと苦しもうと構わない。

こんな「貧困な政治」にサヨナラするべきだろう。

そのためには、選挙に行かなくてはならない。

投票率が5割を大きく超えて、特定の利権集団のための政治を排して、

すべての国民のための政治を実現しようとする政治勢力、

候補者に自分の一票を入れることが実現すると、日本の政治はいっぺんに大転換する。

この政治革命を、時間をかけてでも、必ず実現しなければならない。

安倍政治の本質はアメリカへの隷従だ。

それは、安倍晋三の祖父である岸信介氏がアメリカによって助命されたことに起因している。

岸信介氏は本来、日本の戦争責任を問われるべき行動をした人物である。

満州での日本軍による麻薬利権創設にも深く関与したと見られている。

日本の中国侵略にも深く関与していると見られる。

ところが、岸信介氏は戦争犯罪の責任を免れて釈放された。

公職から追放されたが、のちにこれも解かれた。

そして、日本の総理大臣になって安保改定などに進んだのである。

この「起死回生」とも言える「大転換」を演出したのは米国である。

自由民主党の創設も米国のCIAによる秘密資金提供によっている。

米国のエージェントになることと引き換えに、岸信介氏は米国により助命されたのだと考えられる。

岸信介氏が戦争責任を問われた際、恩師は岸信介氏に潔く命を絶つことを進言した。

ふたつなき 命に代へて 惜しけるは

千歳に朽ちぬ 名にこそあれ

「命よりも名誉を重んじよ」

と進言した。

しかし、岸氏は米国による助命の道を選んだのだと思われる。

魂を捨ててでも、命を得ることを優先したのだと思われる。

そして、この、魂を捨てた岸信介氏に対して、米国は破格の厚遇を示したのである。

その、屈辱を覆い隠すための「言い訳」が次の返歌に示されていると言えるだろう。

名に代へて このみいくさの正しさ 

来世までも 語り残さむ

「この みいくさ(御いくさ)の 正しさを

来世までも伝えるために、名誉を捨てて生きながらえる」

という意味に受け取ることができる。

魂を捨てて米国にひれ伏すことになった、その姿を、何とか正当化するために、

「このみいくさの正しさを来世にまで伝えるのだ」

としたのである。


この心情をそのまま受け継いでいるのが安倍晋三氏であると見て取れる。

それが、

大日本帝国への回帰を目指すかのような言動



政策運営における完全なる対米隷属

という

奇妙な組み合わせになって表れているのだ。

米国にとって日本の民主主義など関心の外である。

米国は国内と国外を完全に切り離す

世界最大のダブルスタンダードの国

である。

他国の政権転覆、

元首暗殺

傀儡政権樹立

軍事介入

侵略戦争

など、日常茶飯事の国である。

安倍首相の民主主義破壊にも、さしたる関心を寄せることがない。


米国の関心事項はただひとつ。

日本支配を維持できるのかどうかだけだ。

この点で、安倍晋三氏の行動は、文字通りの模範生なのだ。

米国の命令に隷従する。

米国が右を向けと言えば右を向き、

米国が左を見ろと言えば左を見る。

これが安倍晋三氏の行動である。


そして、この

米国が支配する日本で、

積極的にその支配に身を委ね、特定の利権集団のための政治を目指しているのが、

官僚機構

大資本

そして、

電波産業なのである。

これと利権政治集団が利権複合体を形成している。

そして、この利権複合体のおこぼれ頂戴に預かろうとする寄生虫集団が

地方を中心に日本政治の根幹に巣食っている。


自民党政治はこの地方の有権者に、より大きな参政権を付与してきた。

参政権は一人一票でなければならないが、

日本ではこれが著しく歪められてきた。

それは、利権集団のおこぼれに群がる寄生虫集団が多い地方において一票の重みを大きくし、

利権集団とは無縁の都市市民の一票の重みを小さくするものである。


この腐った日本政治の構造を変えるには、これまで選挙に行かなかった人々が選挙に行き、

少数の利権集団のための政治は排除して、

大多数の主権者のための政治実現を目指す政治勢力と候補者に投票するしかない。

「そんなに簡単に変えることができるのか」

という疑問が浮かび上がるかもしれないが、

やればできる。

それが民主主義の本当の力である。

いまの日本を変える、本当の秘策は、

民主主義を活用することである。

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