★1%対99%の戦いに勝つ秘策は民主主義の活用-(植草一秀氏)

英国の主権者が決定したEU離脱は、

反グローバリズム潮流

の端緒になる。

この視点が決定的に重要である。

「反グローバリズム起点になる英国民EU離脱決定」

http://www.data-max.co.jp/280625_uk1/

英国のEU離脱決定で為替・株式市場に大きな変動が生じているが、

株式市場で最大の影響を受けているのは日本市場である。

6月24日の株価下落率は以下のとおり

日経平均株価  -7.92%

NYダウ    -3.39%

FTSE100 -3.15%

DAX30   -6.82%

Hang Sen    -2.92%

Strait Times  -2.09%

株価下落が大幅になったのは日本とドイツである。

安倍首相は伊勢志摩サミットで「リーマンショック時に似ている」と発言して

主要国首脳に否定されたようだが、実は、日本の状況だけは

「リーマンショック時に似ている」

のだ。

リーマンショックの前後、日本では、

円高=株安

が急激に進行した。いまの日本が極めて似た状況にある。


つまり、世界経済はリーマンショック時とまったく似ていないが、

日本経済が置かれた状況だけは、リーマンショック時に似ているのである。

詳しくは、

『金利・為替・株価特報』

http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html

6月27日号

『英国EU離脱決定で安倍政権経済環境急変』

に記述したので、関心がある方にはご高覧賜りたいが、安倍政権下で日本経済は悪化の一途を辿っている。

アベノミクスはすでに破綻し、安倍政権は窮地に陥っている。

公約で断言した消費税再増税など、とても実施できる状況にはない。

増税を延期せねばならず、サミット参加国に積極策を取ってもらわなければ、日本経済の崩落を止められない。

そこで、サミットで主要国に懇願したが受け入れられなかった。

これが実情である。

実際、アベノミクス下の日本経済のパフォーマンスは最悪である。

この現実がありながら、

「アベノミクスを加速させる」

と言うのは正気の沙汰でない。

ガダルカナル島の戦いを分水嶺に連戦連敗の推移をたどるなかで

進軍ラッパを吹き鳴らした旧日本軍の姿勢と完全に重なる。

壊れたアベノミクスを加速すれば、爆発・炎上するのが関の山である。


経済のパフォーマンスを測る総合尺度は経済成長率だ。

この経済成長率がアベノミクスの失敗を明白に物語る。

2012年10-12月期から2016年1-3月期までの実質GDP成長率の平均値は+0.7%。

2009年10-12月期から2012年7-9月期までの実質GDP成長率の平均値は+2.0%。

あの民主党政権時の日本経済は決して好調でなかった。

いまひとつパッとしなかった、あの時期の成長率と比較して、

その3分の1の成長率に留まっているのが安倍政権下の日本経済である。

壊れたアベノミクスを自慢するのは喜劇でしかない。

そして、労働者の実質賃金指数は、安倍政権下で3年連続低下し続けている。

安倍首相が自画自賛する失業率の低下、有効求人倍率の上昇は、

悪い話ではないが、経済の超低迷下で、

減少した労働者の取り分を分け合う人数が増えたことを意味するもので、

大多数の労働者が下流に押し流されたことを裏付けるデータでしかない。

円安を止めようとして悪戦苦闘した日銀だが、6月16日には遂にさじを投げた。

白旗を揚げた。

安倍首相はせめてタオルを投げ入れる行動を取るべきだろう。

かくして、日本では円高=株安が持続する可能性が高まっている。

円高・株安・景気悪 

の三拍子こそ、アベノミクスを象徴する現象である。

このアベノミクスを掲げて選挙に臨めば、安倍政権が敗北しないわけがない。

マスメディアの情報誘導に乗ってはならぬ。

「安倍政治を許さない!」

主権者がひとつにまとまれば、必ずこの選挙に勝つことができる。

私たちの敵は、ウソを垂れ流すマスメディアであることを忘れてはならない。


英国のEU離脱をもたらした背景はいくつもあるが、この決定はのちに

「歴史の分水嶺」

として高く評価される事象になるだろう。

それは、

「グローバリズム」

の流れを押しとどめ、

「反グローバリズム」

に歴史の潮流を大きく転換させる起点になる可能性が高いからである。


グローバリズム

とは何か。

それは、世界支配を目論む強欲巨大資本=多国籍企業による世界制覇運動のことである。

米国のワシントン・コンセンサスに代表される

市場原理

社会保障圧殺

規制撤廃

民営化

の手法をグローバルに浸透させ、強欲巨大資本の利益極大化を実現する運動である。

利益を得るのは強欲巨大資本であって、すべての地域の労働者が搾取の対象になる。


安価な商品が提供されることがメリットであるかのように喧伝されるが、

この運動がもたらす最大の変化は分配率の趨勢的な変化である。

資本の分配が上昇し、労働の分配が低下するのだ。

つまり、労働者からの搾取によって資本家が潤うことがもたらされる。

グローバリズムのこの本質に着目しなければならないのである。


安倍首相が唱える

「成長戦略」

とは、

「資本の利益の成長戦略」

である。

「労働所得の成長戦略」

ではない。

「資本の利益が拡大すると労働所得の増大がもたらされる」

という

「トリクルダウン」

はウソ八百の詐欺話である。

これを

「トリクル詐欺」

と呼ぶ。


99%の労働者は、民主主義を活用して、グローバリズムを止めるべきである。

民主主義の活用

とは、

多数決原理の活用

だ。

英国でも、この多数決原理によってグローバリズムにブレーキが掛けられた。

99%側の市民、主権者が結束して、民主主義を活用すれば、グローバリズムを止めることができる。

7月10日の参院選では、1%の側に立つ安倍政治を止めるために、99%の側が結束して対応するべきだ。

32の1人区では反安倍政治の候補者が1人に絞られた。

99%の主権者が結束して、反安倍政治の候補者を支えれば、必ず勝つことができる。


日本におけるグローバリズムの最終兵器がTPPである。

これも、強欲巨大資本の利益極大化のための制度である。

グローバリズムに立ち向かった英国民の勝利の現実を確認し、

日本においても反グローバリズムの行動に主権者が結束して力を注ぐべきである。

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