★メディアが煽る「アベノミクス・安保法対決」のウソくささー(天木直人氏)

参院選がきょう6月22日公示され、7月10日の投開票日に向けて走り出した。

 メディアは、今度の選挙をアベノミクスの評価と安保法廃止が二大争点だと書き立てる。

 そして、これからの2週間余り、この言葉が紙面からなくなる事はない。

 しかし、それは大ウソだ。

 今度の参院選の唯一、最大のテーマは、安倍一強支配を許すか、打倒安倍かである。

 亀井静香が週刊誌で喝破した通り、およそ政策で選挙が決まったためしはないのだ。

 百歩譲って、もし経済政策と安保政策が二大争点であるとしよう。

 岡田民進党代表は何と言っているか。

 財政再建にとって消費税増税やむなしと言い、経済成長を目指す事は正しいと繰り返している。

 そうではないのだ。

 増税に頼ることなく、ましてや消費税増税に頼らずに財政再建ができる、

しなければいけない、と言わなければいけない。

 もはやゼロ成長を前提に政策を組み立てなければいけない、

と言わなければ本当の対立軸にはならないのだ。

 岡田民進党代表は、安保法廃止は訴えるが日米同盟強化は重要だと繰り返す。

 わざわざ選挙前にケネディ大使を表敬し、日米同盟は揺るがしませんと念押しまでしている。

 そうではないのだ。

 憲法より上位にある日米安保体制の倒錯を見直すと言わなければいけない。

 主権を放棄した戦後70年の日米関係を、自主、自立した健全な日米関係に正すと

言わなければ本当の対立軸にならないのだ。

 本来は日本共産党がそれを選挙に掲げるべきであり、

実際のところ共産党は唯一の野党を誇って、そうしてきた。

 ところが、今度の選挙ではいきなり国民連合を言い出して棚上げにしてしまった。

 これが今度の選挙の現実だ。

 今度の選挙結果がどのようなものになろうとも、この国の抱えている問題の根本解決は望めない。

 そのような参院選は大騒ぎする価値はない。

 だからといって、私は日本の政治に悲観しているわけではない。

 それどころか参院選の後にあらたな動きが出てくる事間違いないと思って高揚している。

 既存の政党、政治家たちでは何も変わらない事が、今度こそ明らかになる。

 おりからイタリアのローマでビルジニア・ラッジという新たな市長が誕生した。

 とびきり美人だから歓迎しているのではない。

 五つ星が健在である事を知ったからうれしいのだ。

 しかもトリノでも五つ星市長の誕生だ。

 2009年にそれが出来た時、私は書いた。

 日本もそれに倣えと。

 その後鳴りを潜めていたと思った五つ星が見事によみがえった。

 まさしく既存の政党、政治家の否定だ。

 この流れはもはや世界的な流れである。

 世界の流れから何事も遅れを取る日本の事だから、そのうち必ず日本も同様の動きが出てくる。

 ラッジ氏の様な美人とは言わない。

 それをつくったベッペ・グリッロが日本に現れる時が来る。

 その時こそ、新党憲法9条が始動する時だ。

 私の関心はもはや参院後の政治の動きに移っている。

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