★失敗に終わった司法制度改革と誰も問わない最高裁の責任-(天木直人氏)

裁判員裁判制度の破綻が明らかになった。

 暴力団の脅しを受けて、ついに裁判員が一斉に辞任するという事態が起きたからだ。

 私は当初から裁判員裁判制度に反対だった。

 なぜならば、その意に反しても国が裁判員を強制する事は、

憲法18条が定める苦役からの自由に反すると思うからだ。

 そして、強制を認めなければ、裁判員の成り手がなくなり、

裁判員制度自体が成り立たなくなる、そんな冗談のような事を真面目に語る関係者を知ったからだ。

 こんな間違った制度はない。

 そして、ついに最高裁は、裁判員が暴力団から脅かされるという事態に直面し、

裁判員を辞退する事を認めざるを得なくなったのだ。

 裁判員裁判制度は、法科大学院制度や検察審査会強制議決と並んで、司法制度改革の柱であった。

 ところが、法科大学院制度は失敗し、検察審査会強制議決は

小沢一郎事件によってその不合理性が明らかになった。

 そして今度の裁判員に対する暴力団からの脅迫だ。

 これを要するに司法制度改革は完全に失敗だったということだ。

 それにもかかわらず最高裁はその非を認めようとしない。

 それどころか、「改善」しながら制度を維持していくという。

 そんな最高裁を糾弾し、責任を追及する者はいない。

 政治家や官僚を叩くことが仕事であるメディアも、最高裁だけは叩かない。

 こんな組織は最高裁しかない。

 けだし最高裁は、この国の聖域のごとくである。

 こんなことが許されていいはずがない。

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