★沖縄が海兵隊の全軍撤兵を求めるのは決して異常なことではない。
ドイツは米軍基地の撤退要求の権利を条約の中に持ち、撤退実現。-(孫崎享氏)

沖縄で20歳の女性が行方不明になった。

三週間後、遺体が発見され、5月22日、事件の容疑者フランクリン(32)が

「強姦し、発覚を恐れて殺害した」と供述をした。

フランクリンは元海兵隊員で、米軍で働く軍属という身分である。

事件に対して、沖縄県民の怒りと悲しみは大きく、5月26日沖縄県議会は、

①沖縄の全ての米海兵隊の撤退、

②普天間米軍基地の辺野古移転の断念、

③日米地位協定の見直しを求める決議をした。

自民党議員は退席している。

 女性の死体遺棄容疑事件を受け、抗議の意思を示すために開かれる県民大会の要求が

「在沖米海兵隊の撤退」に決まった。

翁長雄志知事を支持するグループが6日、那覇市内で準備会合を開いて決めた。

数万人規模の参加を目指し、これから広く賛同を呼びかけるという。

 ここで、私達は米軍の撤退を求める動きがどこまで正当性を持つかを、

日本と同じく、米軍基地を持つドイツの事例でみてみたい。

 ドイツは日本と同じく米軍に関する地位協定を持つ。そこに次の条項を有する。

48条5

軍隊又は軍属機関による施設区域の返還については、次の規定を適用する。

⒜軍隊又は軍属機関の当局は、使用する施設区域の数及び規模を必要最小限度に限定することを
確実にするために、施設区域の需要について絶えず検討する。
これに加えて、ドイツの当局から要請があるときは、個々特殊な場合におけるその需要を点検する。(省略)

特定の施設区域については、共同の防衛任務に照らしてもその使用よりも

ドイツ側の利益が明らかに上回る場合には、

ドイツ当局の当該施設区域の返還請求に適切な方法でこれに応ずるものとする。

「ドイツ側」の「利益」という基準は、合意議事録ではいっそう明確に表され、

「ドイツの非軍事部門の基本的な必要性、特に国土整備、都市計画、自然保護および農業上、

経済上の利益に基づく」と表現されている。」

(注:本間浩著「ドイツ駐留NATO軍地位補足協定に関する若干の考察より」

 沖縄に当てはめれば、海兵隊基地の持つ安全保障上の重要性と、

返還後沖縄に戻る利益と比較して後者が大きい時には

沖縄は返還要求の権利を持ち、米国はこれに従うものとしているのである。

海兵隊は特定地域を守る部隊ではない。

緊急展開部隊である。米国本土、ハワイ、グアム、フイリピン、豪州どこでもいい。

 日本はかかる条項を持たない。

しかし、この精神は日米関係に適用されて何らおかしい物ではない。

日本では基地返還要求をすると日米関係が壊れるというが、

ドイツは基地返還要求を行い実現させてきた。それでドイツ・米国関係が壊れたか。

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