★日米地位協定の見直しは裁判管轄権の問題だけではないー(天木直人氏)

日米地位協定の見直しといえば、裁判管轄権をめぐる不平等さの是正ばかりが報じられる。

 しかし、もちろん、それだけではない。

 あらゆる分野で不平等になっている。

 それを正さなくてはいけないのだ。

 そのひとつに、補償金の日本政府の肩代わりがある。

 きのうの6月7日の朝日新聞がそのことについてタイムリーなスクープ記事を書いた。

 2006年に神奈川県横須賀市で起きた米兵による強盗殺人事件をめぐる示談金の負担だ。

 この事件は2009年の一審判決で米兵の無期懲役が確定している。

 その一方で、遺族は損害賠償を求めて提訴し、一審は元米兵に約6500万円の賠償支払いを命じた。

 日米地位協定では本人に支払い能力が無い場合、米政府が保障する制度になっている。

 米政府はこの制度に従って昨年6月に「見舞金」提示したが、

それは元米兵を「永久に免責する」示談金であり、

しかもその金額は裁判で確定した賠償額の4割程度に過ぎない。

 遺族側が応じないのは当然だ。

 問題は、その後だ。

 なんと日米地位協定では見舞金と判決額の差額は、

「日本政府が払うよう努力する」事で合意しているという。

 その合意に従って、日本政府はこれまでの同様の損害賠償訴訟12件で、

総額4億2700万円負担して来たという。

 こんな賠償肩代わりが日本政府の予算、つまり我々の税金で行われて来たのだ。

 日本の肩代わり負担は、あの沖縄密約以来、密約の根幹だ。

 治外法権と共に、不平等条約の根幹である。

 何としてでも正さなければいけない。

 この二つを正せば、米国は在日米軍の縮小・撤退を考えざるを得なくなるに違いない。

Reply · Report Post