★翁長知事はいまこそ日米地位協定の見直しで一点突破せよー(天木直人氏)

どのような政権になろうとも、日米同盟と言う名の対米従属は変わらない。

 その思いは私の中でますます強まりつつある。

 だから私はいまの日本の政治に、どのような政権が出来ようとも期待が持てないのだ。

 しかし、日米同盟重視という呪縛から解き放たれない限り、日本の未来はひらけない。

 果たして日本は日米同盟の鎖から解き放たれる日が来るのだろうか。

 そのカギを握っているのが沖縄だ。

 きょう6月3日の東京新聞「本音のコラム」で佐藤優が「翁長知事の苦悩」という見出しで書いている。

 米軍属による沖縄女性殺害事件で、沖縄の世論はもはや普天間基地の閉鎖、

辺野古移設阻止にとどまらず、沖縄から米軍撤退要求にまで高まりつつあると。

 しかし、外務官僚や防衛官僚は翁長知事が「沖縄の全基地閉鎖を要求する」と言い出す事を

心待ちにしていると。翁長知事がそう言い出すと、

「翁長の要求は非現実的だ。日本の国益の為に沖縄を力で押さえつける」政策が取りやすくなると。

 なぜならば、保守系の世論は日本政府を断固支持し、

大多数の国民は、「面倒な事には関わりたくない」と消極的に日本政府を支持するからだと。

 そして、佐藤優はこう翁長知事に助言している。

 「今、われわれ沖縄人に求められているのは、沖縄と日本の力関係を冷静に見極めることだ。

この現実を客観的に分析した上で、翁長知事には、中央政府と粘り強い交渉を行って欲しい」と。

 この意味不明な助言で、佐藤優は何を言いたいのか。

 ずばり日米同盟には手をつけるな、ということだ。

 沖縄から米兵は出ていけという左翼的な世論に迎合することなく、

あくまでも辺野古阻止に的を絞って安倍政権と交渉しろと言っているのだ。

 この佐藤優の助言は正しい。しかし同時に大きな矛盾だ。

 日米同盟を認める限り、辺野古移設阻止は貫けないからだ。

 それを佐藤優が知らないはずがない。

 つまり佐藤優はないものねだりをしているのだ。

 この矛盾をどう克服すればいいのか。

 それが、日米地位協定の見直し要求の一点突破である。

 日米地位協定見直しについては、日本国民に異論はない。

 今度の米軍属の沖縄女性殺人事件で、自民党さえも日米地位協定の見直し要求に反対できなくなった。

 ところが、日米地位協定の見直しは日米同盟の見直しに発展せざるを得ない。

 なぜならば、日米地位協定こそ日米安保条約の根幹であるからだ。

 その事を一番よく知っているのが米軍だ。

 きょう6月3日の朝日新聞が報じた。

 カーター米国防長官は2日、訪問先のシンガポールに向かう専用機の中で、

同行記者と会見し、沖縄の元米兵による死体遺棄事件には日米地位協定の見直しではなく、

運用の改善で対応する事を示唆したと。

 オバマ大統領でさえも口にしなかった運用改善を国防長官がはじめて口にしたのだ。

 危機感を抱き、先手を打って日米地位協定の見直しには応じられないことを示唆したのだ。

 しかし訪日して記者会見であそこまで日本国民の前で語り、

そして広島で平和宣言をしたオバマ大統領は、

沖縄が要求すれば日米地位協定見直しを拒否できないはずだ。

 オバマ大統領は今年一杯、まだ米国の大統領だ。

 オバマ大統領がその気になれば米軍を抑えることは出来る。

 翁長知事はいまこそ日米地位協定の見直しで一点突破せよ。

 それこそが、左翼に迎合せず、日本国民の理解を得られる形で、

辺野古移転を阻止する最善の方法である。

 沖縄から日米関係を変える事になる。

 知っていながらそれを言わない佐藤優に代わって、

私が翁長知事に助言することは、まさしく日米地位協定見直しという一点突破である。

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